2017年11月22日(水)

「黒船」が来た? ネットフリックスの基礎知識

2015/8/25 18:00
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ネットフリックスのサイト画面。手ごろな料金に加え、独自に製作したコンテンツが多いのも人気の理由という

ネットフリックスのサイト画面。手ごろな料金に加え、独自に製作したコンテンツが多いのも人気の理由という

 米国の動画配信大手、ネットフリックスが9月2日から日本で配信を始める。米国を中心に世界約50カ国で6500万人以上が利用するサービスの到来は「黒船」とも評され、放送・通信業界は固唾をのんで見守る。果たして日本でも人気になるのだろうか。

■多彩な端末に動画 料金手ごろ

インターネット対応のテレビやパソコン、スマートフォンなどに映画やテレビ番組といった多彩な動画を配信する。米国では月10ドル程度で見放題という手ごろさも受け、CATVなどから乗り換える動きが広がった。

ネットフリックスの概要(2月23日)

米国では、ネットフリックスなどの動画配信サービスに加入し、ケーブルテレビをやめた家庭も多い(サンフランシスコで)

米国では、ネットフリックスなどの動画配信サービスに加入し、ケーブルテレビをやめた家庭も多い(サンフランシスコで)

■独自番組に力、視聴履歴から「おすすめ」も

ネットフリックスは膨大な視聴履歴の分析と豊富な資金を生かした独自番組も大きな強みとなっている。代表作の政治ドラマ「ハウス・オブ・カード」には1億ドル(約124億円)の制作費をかけた。新たな視聴者獲得に貢献し、ネット配信ドラマとしては初めて、米国の放送業界で最も権威があるエミー賞を受賞した。

ネットフリックス上陸(上)「テレビは無料」習慣変えるか(8月6日)

■日本では月650円から ライバル意識?

日本での料金は画質に応じて月650円、950円、1450円の3段階とした。最低料金は米国の7.99ドル(約960円)に比べて安い。米系の競合サービスで日本では日本テレビ放送網の子会社が運営する「Hulu(フールー)」の933円よりも低く抑えた。

 日本進出にあたり、ネットフリックスはソフトバンクと提携する。携帯電話の販売店で申し込みを受け付け、月々の支払いも携帯料金と一緒にできるようにする。ネットフリックスはソフトバンクの営業力を、ソフトバンクはNTTドコモやKDDIが手掛ける動画配信に対抗する武器を手に入れる格好。「黒船」来航は、テレビ局や通信会社の連携・競争を加速しそうだ。

■テレビ局、家電メーカーにも動き

 若い世代を中心とする「テレビ離れ」に悩むテレビ局。動画配信とは視聴者の時間を奪い合う関係でもあるが、むしろ商機ととらえる動きが目立っている。ネットフリックスはアニメなど世界で売れる日本のコンテンツを必要としているからだ。

映像の作り手であり、配信者でもあるテレビ局にも世界約50カ国に広がるネットフリックスの配信網は魅力だ。フジテレビジョンは国際化の加速を大きな理由に独自作品の先行提供を決めた。

新たなサービスの登場は家電メーカーなどにも影響を与える。大手各社は今年、相次いで「ネットフリックス対応」のテレビを発売した。インターネットに接続していれば、地上波放送と同じようにリモコンの専用ボタンを押すだけでネットフリックスにつながる。米国では広く普及している機能だ。

ネットフリックス上陸(中) 国内企業、協調か競合か(8月7日)

提携を発表したフジテレビジョンの大多亮常務(左)とネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長

提携を発表したフジテレビジョンの大多亮常務(左)とネットフリックス日本法人のグレッグ・ピーターズ社長

■競争相手か、パートナーか

ネットフリックスの進出を脅威と感じている代表格が、DVDレンタルや有料放送の提供企業だろう。

有料放送のWOWOWは、動画配信では手薄なスポーツや音楽の中継に力を入れる。一方で同社は独自のドラマ番組などの制作にも力を入れている。田中晃社長は「今は様子見の段階。(ネットフリックスが)我々のコンテンツの提供先になるのか、競争相手となるのかを見極めたい」と話す。

ネットフリックス上陸(中) 国内企業、協調か競合か(8月7日)

ネットフリックス対応テレビが店頭に並ぶなど9月のサービス開始を前に日本企業の動きが活発だ(東京都千代田区のビックカメラ有楽町店)

ネットフリックス対応テレビが店頭に並ぶなど9月のサービス開始を前に日本企業の動きが活発だ(東京都千代田区のビックカメラ有楽町店)

東宝や東映、在京の民放など29社は5月末に「ジャパン・コンテンツ・グループ(JCG)」を設立。今秋に作品ごとに料金を払って視聴するPPV(ペイ・パー・ビュー)方式の動画配信サービスを始めると発表した。

JCGの岡田裕介会長(東映グループ会長)は「(ネットフリックスとは)共存するがライバルになるかもしれない」と話す。

ネットフリックス、動画制作に資金提供 まず吉本と(6月9日)

米カリフォルニア州のシリコンバレーにあるネットフリックスの本社。コンテンツの囲い込みに多くの資金を投じる姿勢は、作り手側の目には魅力的に映る

米カリフォルニア州のシリコンバレーにあるネットフリックスの本社。コンテンツの囲い込みに多くの資金を投じる姿勢は、作り手側の目には魅力的に映る

■普及のカギ、コンテンツの充実に

日本映像ソフト協会などの調べによると、14年の有料の動画配信サービスの市場規模は614億円。DVDなどの販売やレンタルを含めた映像ソフト全体の約1割にとどまる。動画配信の伸びしろは大きいとも言える。

今後の本格的な普及に向けて最も重要なのは番組コンテンツの充実だ。ネットフリックスが有力な独自番組を前面に出して米市場を席巻したように、日本勢を含めた各社の競争が本格化する。

ネットフリックス上陸(下)自由な視聴習慣 じわり(8月8日)

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