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マイナンバー、プライバシー保護に課題

企業の反応はまだ薄い(内閣官房のホームページ(左)とTKCが制作した中小企業向けパンフレット)

甘利明経済財政・再生相は6日の閣議後の記者会見で、2016年1月から利用できる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)について「認知度を高めるために取り組みたい」と語った。納税の手続きなどに使うマイナンバーは、個人や企業に割り振られる。しかし、導入に伴う対応などが周知されていないとの指摘が多い。

マイナンバーとは

いったんもらうと、一生ついて回る番号、それがマイナンバーだ。就職する時や扶養家族ができた時、退職して厚生年金の受給開始を申請する時。2016年1月以降はマイナンバーを聞かれるようになる。
自分の番号は15年10月から順次、市区町村から個人の住民票の住所に届く「通知カード」で分かる。氏名と住所、生年月日、性別が記されている。
日本に住む外国人にも割り当てられる。希望者は16年1月以降、顔写真付きで身分証明書にもなるICカード「個人番号カード」を通知カードと引きかえに受け取れる。個人番号カードの交付が始まると住民基本台帳カードは新規発行しなくなる。
投資、年金… マイナンバーで暮らしこう変わる(2014年12月14日)
マイナンバーは「社会保障」「税金」「災害」の3分野で使う。例えば証券会社で特定口座を開くなら、担当者から「配当金や株式売却益の税務処理の代行に必要なので、マイナンバーをお知らせください」と求められる。
従来、住民票の提出が必要だった手続きはマイナンバーで代用する場面が増えそうだ。例えば厚生年金の受給開始や確定申告で所得税の住宅ローン控除を申請する時、少額投資非課税制度(NISA)の口座開設時では、マイナンバーが住民票の代わりになる。
制度開始後、会社員や公務員などはマイナンバーを勤め先に伝えなければならない。所得税や住民税の納税手続きにマイナンバーが使われるからだ。勤め先は源泉徴収票に従業員とその扶養家族全員のマイナンバーを記載し、税務署や自治体に提出する。
投資、年金… マイナンバーで暮らしこう変わる(2014年12月14日)
個人番号カードは健康保険証の代わりにも使えるようにしようというのが政府の計画です。そうすることで国民は個人番号カードが1枚あれば様々な社会保障を受けたり、税金の還付を受けたり、さらには医療サービスにおける健康保険の支払い手段にも使えるようになるというわけです。
逆にいえば、現行の健康保険証を個人番号カードに移行していくことで、すみやかにマイナンバー制度への移行を進めようというのが政府の狙いです。
マイナンバー導入の効用と課題(2014年12月13日)

構想半世紀、ついに実現へ

構想の始まりは半世紀以上前にさかのぼります。通称「国民総背番号制」として、1968年に佐藤栄作内閣が導入をめざしました。当初の目的は、個人の所得を正確に把握し、特に高所得者からきっちりと税を集めることでした。しかし、締め付けを強めようという発想には反対論が根強く実現しませんでした。
構想半世紀 マイナンバーが変える国と市民の関係(2月12日)
こうした制度は1980年にも導入されようとしました。「グリーンカード制度」と呼ばれ、少額貯蓄に対する非課税制度、すなわち「マル優」の不正利用を阻むために導入が試みられました。ところが国民に番号を振ることは「国民総背番号制」につながり、個人の権利や利益を奪うという反論が出て、制度の導入は決まったものの実施には至りませんでした。
その次の試みが2002年から始まった「住民基本台帳ネットワークシステム」の導入とそれに伴う「住民基本台帳カード」の発行です。登録する情報は氏名、生年月日、性別、住所の4つの情報です。さらに公的個人認証サービスと呼ばれる本人確認手段としても活用が考えられましたが、プライバシー保護を重視する住民などから反対運動が起き、結果的には十分な利用が進みませんでした。
マイナンバー導入の効用と課題(2014年12月13日)
(マイナンバー制度の)これまでとの違いは社会保障制度と組み合わせたことです。特に中低所得者について、税を負担する力を考慮して取り過ぎた税を還元するという発想が柱になっています。
構想半世紀 マイナンバーが変える国と市民の関係(2月12日)

応用範囲拡大

(政府は)2月16日のマイナンバー等分科会で、今国会に提出するマイナンバー法改正案の概要を示した。
第1の柱は、銀行預金へのマイナンバーの付与だ。ひとりの人が持つ複数の銀行口座を名寄せできるようにする。ペイオフ時の預金の払い戻しに役立てるほか、生活保護を受けている人や社会保険料の未納者の資金力の調査や税務調査の効率を高めるねらいだ。
2018年から、銀行に口座開設の申請用紙にマイナンバーを記入する欄を作ってもらい、預金者が登録する仕組みとする。既存口座の預金者に対しても、郵送などで登録を促す。登録はいずれも任意で強制力はない。必要に応じて、3年後の21年をめどに義務化を検討することも明記した。
マイナンバー、予防接種など医療に活用(2月16日)
医療分野での活用範囲を広げるのが第2の柱だ。現行法で認められているのは、保険料の徴収などに限られているが、乳幼児が受けた予防接種や成人のメタボ健診など一部の医療情報への付番を可能にする。
病院での診療記録全般に活用できれば、医療費の削減につながるとされるが、慎重論が根強いため今回は一部にとどめ、今後の検討課題とする。
マイナンバー、予防接種など医療に活用(2月16日)
政府は未成年者を対象にした少額投資非課税制度(NISA)での運用開始日を16年4月1日とし、その日から投資ができるようにする。社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を使った口座開設も可能にして、口座開設までの期間を短縮する。
子どもNISA、16年4月から マイナンバーで開設可(2月27日)
個人番号カードはICチップ付きなので、住所や氏名以外の多くの個人情報を埋め込める。条例成立が前提になるが、制度開始の16年1月から自治体運営の図書館の利用カードにもなるほか、印鑑証明にも使えるようになる。
政府はいま、運転免許証や健康保険証としても使えるように検討している。さらに、民間のクレジットカードやキャッシュカードの機能を加える点も議論を始めている。
投資、年金… マイナンバーで暮らしこう変わる(2014年12月14日)

民間企業も関心

年金受給や税金支払いなどに限定して始まるマイナンバー。サービス業を中心に民間企業の関心は高く、利用範囲は広がりそうだ。早ければ2018~19年にも民間の利用が始まるとみられる。
マイナンバーを生かしたサービス提供に注目するのは生命保険業界だ。生命保険協会は国が管理する情報提供ネットワークシステムに生命保険各社がアクセスできるように要望している。
電力やガス、水道など公共サービスの事業者もネットワーク開放に注目する。契約者が引っ越す場合、住民票の移転手続きを済ませれば、自動的に契約上の住所も変更できるようにするといったアイデアが浮上している。
投資、年金… マイナンバーで暮らしこう変わる(2014年12月14日)

企業の負担増

マイナンバー制度では企業のセキュリティー対策が問われる。従業員の番号が漏れると、企業にも罰金刑が科される可能性がある。
2014年12月上旬、都内で開かれた企業向けのマイナンバーセミナー。野村総合研究所の梅屋真一郎・制度戦略研究室長は聴衆に呼びかけた。「従業員のマイナンバーが漏れると、あなたの会社は被害者であり、同時に加害者です」。
マイナンバー法は番号を故意に漏らしたり、不正アクセスで取得したりする個人に懲役や罰金刑を科すだけではない。従業員の違法行為には企業や法人の管理責任が問われる。出席したある建設会社の経営企画担当者は「基本的なことすら分かっておらず、対応が間に合うのか焦りを感じる」と青ざめる。
企業が管理するマイナンバーは正社員に限らない。契約社員やパート、アルバイトなど直接雇用の従業員すべてが対象で、扶養家族の番号の管理も必要になる。退職者が出れば一定期間保有した後は復元できないように破棄しなければならない。このほか、例えば自社でセミナーを開けば、講師への報酬を支払う時の必要書類にマイナンバーを記載する。仕事相手の番号管理も重要だ。
マイナンバー漏洩や不正取得、企業・個人に罰則(2014年12月14日)

個人資産を丸ごと把握?

預金口座や不動産、自動車などがマイナンバーに結びつけば「個人の保有資産は実質、丸裸になる」(税理士法人アーク&パートナーズの内藤克代表)。
投資、年金… マイナンバーで暮らしこう変わる(2014年12月14日)
所得をより正確に把握できるといっても事業所得は対象外なので、自営業者の収入や経費は正確には分かりません。さらに、高所得者が海外へ移住してしまうとマイナンバーでは管理しようがありません。
構想半世紀 マイナンバーが変える国と市民の関係(2月12日)

プライバシー保護が課題

個人番号カードの配布開始から1年後にあたる2017年1月から「マイポータル/マイガバメント(仮)」という個人向けのポータルサイトを開設することにしました。自分の情報に誰がアクセスしたのか、あるいは利用したのか、国民側が自分でチェックできるようにしようというものです。
マイナンバー導入の効用と課題(2014年12月13日)
日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は14年11月19日、「医療等IDに係る法制度整備等に関する三師会声明」を発表し、マイナンバーとは異なる医療IDが必要だと表明した。また、個人番号カードへの健康保険証の機能の取り込みに反対を表明した。
「過去から現在治療中の病気、死後にいたるまでひも付けできるということになる」と指摘。デジタルデータとして漏洩した場合は取り返しがつかないとして、医療IDは必要な場合に「忘れられる権利」「病歴の消去」「管理番号の変更」「複数管理番号の使い分け」などが担保される議論が必要だとした。
マイナンバーとは別の医療ID必要 日本医師会など声明(2014年11月20日)

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