2018年7月21日(土)

空き家対策 本格化 地域活性化へ有効活用も

2015/2/19 18:00
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「あをば荘」は2階が住居、1階はイベントスペースに(東京都墨田区)

「あをば荘」は2階が住居、1階はイベントスペースに(東京都墨田区)

 国土交通省と総務省は荒れはてた空き家の撤去を促すための指針案をまとめた。空き家かどうかを判定する目安として、建物が1年間にわたって使われていないことを挙げた。空き家対策の推進を盛り込んだ特別措置法は昨年11月に成立したが、市町村が空き家を判定するための基準は盛り込まれていなかった。

指針案は人の出入りの有無や電気、ガス、水道の使用実績をふまえ、年間を通じて建物が使われていないことを基準として例示した。処分に悩む所有者からの相談や、近隣住民の苦情に応えられるしくみを整えることも提案した。

同法は市町村が空き家の実態をつかむための立ち入り調査や、目的外の利用ができない課税台帳の閲覧を認めている。さらに、倒壊の恐れや景観を著しく損なう場合は「特定空き家」と認定。市町村が所有者に除却や修繕を指導や勧告、命令ができるようにしている。

■日本の空き家率、危機的水準

総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は2013年10月時点で約820万戸にのぼり、全体に占める割合は13.5%だった。いずれも過去最高で、人口減が進む地方を中心に深刻な問題となっている。

ドイツの空き家率は1%程度、英国の空き家率は4%程度と低水準にある。ところが、日本の住宅はすでに「飽和状態」をはるかに通り越して「大幅に余剰」している。

動き出す自治体の空き家対策 住宅の価値を左右(2月11日)

空き家約820万戸のうち、賃貸用や売却用、別荘用などに該当しない「その他の住宅」は約318万戸を占めた。この中には所有者が不明の家屋も多く含まれるとされる。

空き家対策、急ぐ自治体 所有者の特定が壁(2月10日)

この調査は5年ごとに行われていて、前回(08年)の空き家数は756万戸。5年間で実に63万戸の空き家が生まれたことになる。

さらに今後、空き家数の増加は加速する。現在、年間90万~100万戸程度で推移する新築着工戸数を60万戸程度に落としたとしても、40年には空き家率が36%になるといった野村総合研究所の試算もある。

放置された空き家が崩れる、放火など犯罪の温床になる。ひいては街の価値を毀損するといった懸念が各所で広がっている。

動き出す自治体の空き家対策 住宅の価値を左右(2月11日)

社会問題化する空き家を解体し、跡地を防災拠点として活用する動きが各自治体で広がっている。密集地での倒壊や放火の懸念で近隣住民を悩ませてきた存在を、緊急時に住民が集まれる場所に変えようという試みだ。

(東京都文京区が)昨年6月に導入した事業は、倒壊などの危険性がある空き家について、区が200万円を上限に解体費を土地・建物の所有者に助成する。跡地は駐輪場や広場にすることを目的に、10年間借り受ける仕組みで、その間の土地にかかる固定資産税は全額免除となる。

空き家解体し防災拠点に 提供者優遇など自治体が知恵(2月10日)

■リフォームで有効利用

 安倍政権の「まち・ひと・しごと創生本部」は地方活性化策として、地方で急増する空き家をリフォームして手ごろな家賃で移住者が住めるようにする方針だ。育児世帯がリフォームして住む際の補助制度を拡充する。子どもの事故を防ぐ内装工事も対象に加える。

千葉県松戸市では「築年数の古い空き家にこそ価値がある」と逆転の発想で入居者を呼ぶ動きが進む。JR松戸駅から少し離れた築40年の「浅間台ハイホーム」が代表例。

「持ち主から一括で借り、家賃は格安、リノベーションも可能な形でサブリース(転貸)しています」。

街の資源 空き家生かせ イベント空間、工房に…(1月7日)

東京郊外の広い空き家を再生した「やぼろじ」の「やまもりカフェ」では料理教室も人気(東京都国立市)

東京郊外の広い空き家を再生した「やぼろじ」の「やまもりカフェ」では料理教室も人気(東京都国立市)

家主にもメリットが感じられる仕組みが必要だ。参考になるのが東京郊外、甲州街道沿いの庭付き一軒家を住宅や工房、オフィスなどに再生した東京都国立市の「やぼろじ」。

固定資産税分は賄える水準に家賃を設定し、改修費用はすべて借り主負担に。改修作業はできるだけ有志が集うワークショップ形式で進め、改装やビアガーデンなどイベント時は家主一家も招いた。「家主も借り手の我々も訪れる人も皆が居心地のいい空間を目指した」

街の資源 空き家生かせ イベント空間、工房に…(1月7日)

ゲストハウス運営の宿場JAPAN(東京・品川)は京急線新馬場駅(同)近くに築60年以上の古民家を改装したゲストハウスを開いた。従業員が英語で近隣の名所を紹介する街歩きツアーも実施。羽田空港に近い立地を生かし、日本文化を体験したい海外からの旅行客を呼び込む。

築60年古民家、外国人用宿泊所に変身 品川、従業員が英語で名所案内(2014年12月19日)

パナソニックは住宅大手でつくる一般社団法人移住・住みかえ支援機構(東京・千代田)と連携し、空き家の再生事業を始める。木造住宅をパナソニックのフランチャイズチェーン(FC)に加盟する工務店がリフォームし、同機構が10年以上の期間で借りて子育て中の夫婦などに貸し出す。賃貸住宅でも内装などを自由に決めたい若い世代などの需要に応える。

パナソニックが空き家再生 FC加盟の工務店がリフォーム(2014年12月27日)

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