2018年1月21日(日)

中間貯蔵施設、着工 最終処分はメド立たず

2015/2/3付
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汚染土を一時保管する中間貯蔵施設の工事が始まった(3日、福島県大熊町)=環境省提供

汚染土を一時保管する中間貯蔵施設の工事が始まった(3日、福島県大熊町)=環境省提供

 政府は3日、東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で出た汚染土を一時保管する中間貯蔵施設について、建設予定地である同県の双葉・大熊両町で整備工事を始めた。同施設は使用開始後30年以内に福島県外での最終処分を完了させることになっている。

■様々な汚染廃棄物

放射性物質は土壌や汚泥、草木、落ち葉など様々なものに付着し、汚染した。これらの廃棄物を放射能濃度などによって分類し、異なった方法で処分する。

福島県内で発生した放射性物質を取り除く除染に伴う汚染土壌などは、政府が双葉、大熊両町に整備する中間貯蔵施設で最長30年保管する。

福島県内で1キログラム当たり8千ベクレル超10万ベクレル以下という濃度が比較的低いとされる稲わらや下水汚泥などの「指定廃棄物」や、原発周辺の11市町村で発生した災害廃棄物などは富岡町の既存の管理型処分場(一部の施設は楢葉町に整備)で処理する。

福島県以外の11都県にも指定廃棄物があり、政府は宮城、栃木、千葉、茨城、群馬の5県で最終処分場建設を計画する。

放射性物質の汚染廃棄物 濃度により分類・処分(2014年8月26日)

■中間貯蔵施設とは

福島県内の除染で出た汚染土壌や落ち葉などを最終処分場に持ち込むまで最長30年間保管する施設。放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下の土壌を収めるものと、同8000ベクレル超の土壌に対応するものがあり、濃度に応じて飛散・流出の防止策を取る。廃棄物の分別施設、焼却して容量を小さくする減容化施設なども設ける。

中間貯蔵施設とは(2014年8月31日)

中間貯蔵施設が建設される予定の福島県大熊町(手前)と双葉町(奥)。中央右は東京電力福島第1原発

中間貯蔵施設が建設される予定の福島県大熊町(手前)と双葉町(奥)。中央右は東京電力福島第1原発

中間貯蔵施設は双葉、大熊両町にある東京電力福島第1原子力発電所周辺の用地に整備する。施設の総面積は16平方キロと羽田空港を上回る広さだ。

中間貯蔵30年、土壌浄化探る 福島の施設着工へ(2014年9月25日)

1兆円を超える国費を投じて両町で1600万平方メートルの敷地に建設し、最大で東京ドーム18杯分に相当する2200万立方メートルの汚染土を最長で30年保管する。

まず建設予定地である双葉工業団地と大熊東工業団地にある企業から、それぞれ3万平方メートルの土地を無償で借り、いずれも1万平方メートルを汚染土の保管場として整備する。各保管場には1万立方メートルの汚染土が搬入できる。

福島の中間貯蔵施設、双葉・大熊町で着工(2月3日)

県内43市町村にある800カ所以上の仮置き場や、5万を超える庭先などの現場に置かれる除染に伴う汚染土や側溝の汚泥、草木、落ち葉などを保管する。

土壌は土壌貯蔵施設に貯蔵する。保管する土壌の放射性セシウム濃度に応じて1型と2型がある。1型は低地に設置、1キログラムあたり8000ベクレル以下と放射性物質の濃度が比較的低く、地下水を汚染する恐れがない土壌を埋める。

2型は丘陵地や台地に置き、底面には遮水シートや水を通しにくい地層などを備える。雨水などは排水管を通じて水処理施設に集め、放射性物質を取り除いてから河川に放出する。

草木などの可燃物は減容化施設で焼却して灰にし量を減らす。このうち、放射性セシウム濃度が1キログラムあたり10万ベクレルを超えるものは専用のドラム缶に入れ、鉄筋コンクリート構造などで遮蔽効果がある廃棄物貯蔵施設で保管する。

中間貯蔵30年、土壌浄化探る 福島の施設着工へ(2014年9月25日)

中間貯蔵施設内には、このほかに研究棟や管理棟、情報公開センターなどもある。敷地の境界には緩衝緑地を設け、周辺の安全に配慮する。

候補地付近は「大年寺層」と呼ぶ主に泥岩からなる硬い地層が分布し、施設の建設が可能と判断した。地下水については、水面よりも上位に施設を置くことなどで影響が回避できるとした。谷や台地などの地形を最大限活用し、環境負荷の低減や工期の短縮を目指す。

放射性セシウムの濃度は放っておいても「自然減衰」と呼ぶ現象によって30年後には4割まで減る。これに技術開発が加われば、相当の量の放射性物質を減らすことができ、県外処分も決して不可能ではない、というのが環境省の見立てだ。

中間貯蔵30年、土壌浄化探る 福島の施設着工へ(2014年9月25日)

■地元は複雑

(双葉町の地権者の男性)「貯蔵施設はどこかには造らなきゃいけない」と、県の決定に理解を示しつつ割り切れない思いを抱える。「せめて、別の土地で生活再建をするため国は納得のいく支援策を示してほしい」と求める。

(大熊町の地権者の女性)「県内各地の除染を進めるためには必要な施設」ととらえている。だが、「30年以内に県外で最終処分する」という、政府の約束を信用しきれない。「受け入れてくれる自治体は日本中どこにもない」と考えるからだ。

避難住民、故郷への思い交錯 福島県が中間貯蔵施設受け入れ(2014年8月31日)

■高レベル放射性廃棄物は

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分問題はさらに深刻だ。

政府は2015年度から原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分について、各地方の中心都市で説明会を開く。電力会社が資金を拠出する原子力発電環境整備機構(NUMO)が開いてきたが、これまで出席しなかった経済産業省の職員も出席して説明にあたるよう改める。業界任せだった核のごみ処分で国も前面に立つ姿勢に転換する。

核のごみを地中深く埋める「最終処分」を進めるための法律は00年に施行したが、処分場を受け入れる場所は見つかっていない。

核のごみ処分、国も関与 15年度から主要都市で説明会(1月19日)

処分場探しは世界の国々が苦慮してきた。スウェーデンは30年以上、調査や議論をして09年に場所を決めた。候補地の具体的な名前が挙がるのはフィンランドとフランスを含めて3カ国のみ。いずれも地震が少ない国で、活断層が多い日本での議論は難航する可能性が高い。

核のごみ、自治体と協議会 最終処分地選びで(2014年10月23日)

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