2019年3月20日(水)

道路の災害対策進む 放置車両、強制撤去可能に

2014/11/14付
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「災害発生時の被災・放置車両等排除訓練」で車の撤去作業を行うJAFロードサービスの隊員(10月30日、東京都多摩市)

「災害発生時の被災・放置車両等排除訓練」で車の撤去作業を行うJAFロードサービスの隊員(10月30日、東京都多摩市)

地震や大雪などの災害発生時、公道をふさぐ放置車両の強制撤去を可能にする改正災害対策基本法が14日の参院本会議で可決、成立した。首都直下地震や南海トラフ地震などの大規模災害を念頭に、緊急車両が速やかに救援に向かえるようにする。年内にも施行の見通し。

改正法は、災害時に緊急車両の通行ルートを確保するため、放置車両を所有者の同意なしで撤去できる権限を国や都道府県などの道路管理者に与える。重機を使って動かすケースなども想定し、車両が破損した場合に所有者に補償する規定も設けた。撤去した車を一時的に置くため、沿道の民有地の利用や木の伐採も認めた。

■緊急支援ルート確保

国土交通省は7月19日までに、首都直下地震と南海トラフ巨大地震の発生を想定した新たな対策をまとめた。首都直下地震では緊急支援のため東京都心に向かう8ルートを確保することとし、道路上のがれき撤去などの具体策作りを進める。電子地図で被災情報を表示し、救援などに役立てるシステムも整備する。

実際に地震が発生した場合、出先機関である国道事務所が状況を把握。被害の最も少ない道路を「緊急ルート」とし、緊急車両などが通行できるようにする。路上の亀裂やズレは土のうなどで応急処置。がれきや放置車両も速やかに撤去する。

都心救援へ8ルート 首都直下地震時、車両通行を確保(7月19日)

■私道も拡幅必要

狭い道路が多い都内の住宅街。消防車や救急車が通れず災害対応が後手に回る懸念が強い。道路整備を少しでも進めようと、東京都杉並区は2015年度をめどに私有地にかかる道路の拡幅に強制力を持たせる条例の制定を目指している。有識者らによる区の審議会は可能だとの見解を示した。ただ、財産権侵害との反対論も根強い。

私有地なのに道路として使われることに対し、助成金や固定資産税の優遇などの手段で理解を得ているのが現状だが、承服しない住民も多い。拡幅したところに「プランターを置いて植物を育てたり、自転車置き場にしたりしている」(区幹部)例も後を絶たない。

セットバックによって敷地面積が大きく減少し、居住のための十分な規模を満たさなくなってしまう住宅が無数にある。土地所有者にとって建て替えが実質的に不可能になる結果、地震に弱い危険な住宅であると分かっていても、そこに住み続けることになる。

木密地域の解消には、政府による強制収用権限を行使する必要がある。

このとき、容積率規制を大幅に緩和すれば、再開発業者の土地の入札価格は大きく上昇する。これを財源にすれば十分な補償が可能である。

2020 東京の課題 木造住宅密集の解消を(2013年10月4日)

■木密地域、解消めざす

東京都は災害時に延焼の危険性が高い木造住宅密集地域の建物の建て替えを支援する「不燃化特区」について、新たに20地区を指定した。特区内では耐火建物への建て替え時の補助金や税制優遇を受けられる。

東京都、不燃化特区を新たに20地区指定 新宿・台東など(4月3日)

政府は5月14日、耐震化など大規模災害への対応の指針となる国土強靱(きょうじん)化基本計画の素案をまとめた。

住宅は木造住宅密集地のうち地震時に特に危険な地域を20年度までに解消する。進み具合は毎年度チェックして公表する。

住宅の耐震化率、20年度に95%へ 政府が国土強靱化計画素案(5月14日)

災害時の危険性が指摘されている木造住宅密集地域の解消に、東京都荒川区が乗り出す。木造住宅の撤去費用を全額負担し、建て替えを促すとともに、並行して道路の拡幅や公園の整備を進める。

木造住宅撤去費 荒川区が負担 災害に強い街に(11月6日)

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