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消費税還付にマイナンバー活用案 課題も多く

消費税率を10%に引き上げる際の新たな負担軽減制度の政府案が固まった。幅広い飲食料品が税負担軽減の対象となり、還付のためにマイナンバーカードを使うなど注目点の多い仕組みだが、課題も少なくない。

軽減税率とは

消費税の負担を軽くするため、一部のモノやサービスに適用する通常より低い税率のこと。
一般的に所得の少ない人は貯蓄する余裕が乏しく、生活必需品の食料品などの購入に所得の多くの部分を割かなければならない。消費税は所得が少ないほど負担感が重くなる逆進性の高い税金だ。
2012年に消費税率の10%への引き上げが決まるときから、公明党などが軽減税率の必要性を訴えてきた。公明党は選挙公約にも軽減税率の導入を盛り込んでいる。
軽減税率 食料など必需品に広く導入(9月5日)

負担軽減「酒を除くすべての飲食料品」が対象

消費税率を10%に引き上げる2017年度に導入する新たな負担軽減制度の政府案が8日明らかになった。
対象は酒を除くすべての飲食料品で、外食も含む。消費税10%分を支払った後に2%分が還付されるが、還付額に上限を設ける。
還付額の上限はすべての国民に対して年4000円か、それを超す水準を想定している。
消費額は高所得者ほど多い傾向があり、(還付の上限を設けることで)低所得者の方が恩恵が大きいとみている。
高所得者の還付額を制限したり、適用を受けられなくする所得制限は検討項目として年末まで結論を先送りする。
消費税10%時の負担軽減、還付には限度額 年4000円超(9月8日)

消費税還付、世帯で合算できる

還付金は申請すれば世帯で上限枠を合算できる。
家族で合算すれば世帯ごとの納税額を抑えられる。
(還付額の上限が1人4000円の場合)例えば乳幼児が持つ4000円の枠を母親が使えたり、寝たきりの高齢者と同居する子どもが使えたりする。
消費税還付、世帯で合算 上限1人年4000円超(9月9日)

還付にはマイナンバーカードが必要

負担軽減の適用を受けるにはICチップ付きの税と社会保障の共通番号(マイナンバー)の個人番号カードが必要だ。
個人番号カードを店頭の読み取り機にかざして、個人認証する。
還付を受ける際にはパソコンやスマートフォン(スマホ)などからマイナンバーの関連サイトに入り申請する。
還付金は事前に登録した本人名義の銀行口座に振り込まれる。
与党はこれまで消費税率の10%引き上げ時の軽減税率導入を目指してきた。
だが個人番号カードの普及には時間がかかる。新しい負担軽減策は17年度中に導入する方向で議論が進みそうだ。
消費税還付、世帯で合算 上限1人年4000円超(9月9日)

課題1・負担感の軽減につながるか

「逆進性」の解消、事業者の事務負担の軽減などをめざして練られた政府案だが、課題も多い。

政府案は店頭でいったん10%分の消費税を払い、後で一部を還付してもらう仕組み。
欧州の軽減税率は買い物をする時点で低い税率が適用される。
消費税軽減、調整難航も 10%時、対象品目幅広く(9月9日)
(日本型は)消費者の店頭での痛税感は一時的に強まる。
購入時の税率が低くなる欧州型のほうが消費者はメリットを感じやすく、手間もかからない。
店頭の税率下がらず(9月9日)

課題2・限度額の水準に反発も

(酒を除く全ての飲食料品を負担軽減の対象とする案は)政府・与党が検討してきた3案の中では負担軽減の対象品目が最も多くなる。
この案は2%の税率軽減で税収が約1.3兆円も減る点が難題とされた。政府は適用の限度額を設けることで財源の問題を乗り越える考えだ。
負担軽減の限度額を1人あたり年間4000円として計算すると、年間22万円程度までの支出に軽減措置が適用される。
限度額は世帯単位で合算できるので、例えば夫婦2人・子ども1人の世帯だと66万円程度になる。
だが総務省の家計調査によると、平均年収607万円の世帯(世帯人数約3人)が1年間に酒を除く飲食料品に支出するお金は約87万円に上る。
平均的な世帯で軽減対象になるのは支出の4分の3程度にとどまり、それを超える部分は軽減されない可能性がある
消費税軽減、調整難航も 10%時、対象品目幅広く(9月9日)
(還付額の上限額について)政府案で検討されている水準では「少なすぎる」(公明党幹部)との反発が上がる。
還付上限や事業者負担、自公に懸念の声(9月9日)

課題3・カードがないと軽減措置を受けられない

消費者は購入時にカードを店に提示しないと軽減措置を受けられない。
麻生財務相は8日の閣議後会見で「クレジットカードを持つのと一緒。持っていきたくなければ、持って行かないでいい」と消費者の自主的な判断に委ねる考えを示した。
小売店、端末必要に(9月9日)
買い物時にカードを忘れたときの対応も不明。
還付を受けるためのパソコン操作も高齢者などにはわずらわしいとの声もある。
政府はプライバシーに配慮し個人が何を購入したかの情報は蓄積しないという。それでも消費者には「買い物の中身を監視されている」といった不安感も生じうる。
消費税還付、世帯で合算 上限1人年4000円超(9月9日)

課題4・飲食料品の線引きは

軽減対象になる品目の詳細な線引きは年末に決める方針。
食品表示法の適用を受ける飲食料品は対象になるが、医薬部外品などは外れる方向だ。
線引きを巡っては与党や産業界から異論が出てくる可能性もある。
消費税軽減、調整難航も 10%時、対象品目幅広く(9月9日)

課題5・お店にシステム配備が必要

政府の制度案では事業者は10%の単一税率で納税。請求書などに商品ごとの税率などを記載するインボイス(税額票)を導入する必要はない。
小売店業者はマイナンバーの個人番号カードを読み取るためのITシステムを導入する必要が生じる。
高齢でインターネットに不慣れな個人商店の店主などが使いこなせるかなどの不安も残る。
小売店、端末必要に(9月9日)
自民党にも、新システムの費用負担がかかる中小商店主の支持層から反発を招かないかと懸念する向きがある。
還付上限や事業者負担、自公に懸念の声(9月9日)

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