日生が三井生命買収 強力ライバルに対抗

2015/8/26 18:00
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買収価格は3000億~4000億円規模となる見通し

買収価格は3000億~4000億円規模となる見通し

日本生命保険は三井生命保険を買収することで三井側と大筋合意した。買収により第一生命保険に奪われた保険料収入の首位も取り戻す。新ライバル、かんぽ生命保険の上場にも備える。

■日生と三井生命

日本生命保険は1889年に大阪で発足した。契約者が社員となる相互会社形態を取る。米プルデンシャルグループや独アリアンツなど世界大手にも出資、提携関係にある。
総資産は62兆6486億円。営業職員による保険販売に強みを持ち、2015年3月期の保険料収入は5兆3708億円。従業員数は7万783人。

日本生命保険の概要(8月26日)

三井生命保険は1914年に東京・銀座の商店主らが発起人となって発足した高砂生命保険が前身。26年に三井合名が経営権を取得、27年に三井生命保険へ商号を変えた。47年に相互会社となったが2004年に再び株式会社へ転換した。
総資産は7兆4348億円で、15年3月期の保険料収入は5451億円。従業員数は1万78人。

三井生命保険の概要(8月26日)

日生は生保業界を代表する会社の一つ

日生は生保業界を代表する会社の一つ

■来年3月に子会社化 既存契約者に大きな影響なし

日本生命保険は26日、2016年3月末に三井生命保険を子会社化する方向で調整に入った。日生は三井生命の資産査定をして買収価格を決める。
三井住友銀行、三井物産、三井不動産の3社には引き続き三井生命の株式を議決権ベースで15~20%保有してもらい、三井グループと関係を強化する。

日生は基本合意後に三井生命を資産査定し、買収価格を決める。三井生命の企業価値をはかる指標をもとに考えると、3000億~4000億円規模となる見通しだ。
日生は子会社化した後も三井生命の社名を残す。
三井生命の保険契約もそのまま継続するため、既存の契約者に大きな影響はないとみられる。

第一生命は4~6月期に基礎利益でも日生を上回った

第一生命は4~6月期に基礎利益でも日生を上回った

■第一生命から首位奪還へ

日生の狙いは国内の営業基盤の強化だ。

(2015年3月期決算で)第一生命保険は銀行の窓口販売などいち早く販路を多角化し、売上高にあたる保険料収入で戦後初めて日本生命保険を抜いた。

第一生命、保険料収入で日生抜く 15年3月期(5月29日)

日生は今回の買収により、15年3月期に戦後初めて第一生命保険に逆転を許した保険料収入も、首位の座を取り戻す見通しだ。

三井生命は260万の契約と7000人弱の営業職員を抱える。三井系企業の団体保険に強い。伸びしろがある銀行窓口で販売する保険商品の品ぞろえも豊富だ。
日生は三井生命の買収で課題だった銀行窓販や乗り合い代理店向けの商品供給を強化できる。両社が主力の販路と位置づける営業職員が互いの商品を販売するなどの相乗効果を生みたい考えだ。
三井生命は日生傘下に入り人材や資本などの経営資源が充実すると新規投資などの成長戦略を描きやすくなる。

■かんぽ生命の上場もきっかけ

日本生命保険が三井生命保険を買収するのは日生をしのぐ規模を持つかんぽ生命保険の株式上場も大きなきっかけ。
11月に上場するかんぽ生命と比べると、総資産では三井生命を傘下に収めても15兆円近く差があるが、保険料収入では6兆円弱でほぼ同じになる。

ただ全国に張り巡らせた郵便局網を使った販売力は脅威だ。
たとえばかんぽ生命が昨年4月に刷新した学資保険の新契約数は、2014年度だけで66万件にのぼる。国内市場の3分の2を占め、営業力の強さを改めて見せつけた。
かんぽ生命が現在扱っている保険商品は死亡保険と学資保険などに限られる。上場を機に成長が見込める医療保険を本格的に販売したい考え。迎え撃つ側の危機感は強い

■急成長が見込めない国内市場をなぜ強化

生保大手では昨年来、第一生命、明治安田生命保険、住友生命保険が相次ぎ米国生保の大型買収を発表。株高による業績改善を受け、海外市場の強化に注力してきた。

第一生命保険は2014年6月4日、米中堅生保のプロテクティブ生命を2014年末にも買収すると発表した。買収総額は5822億円と、国内保険会社による海外M&A(合併・買収)では最大規模となる。国内市場が少子高齢化で縮小が避けられない中、世界最大の市場である米国に本格進出することで安定収益の確保を図る。
第一生命が米生保買収発表 総額5822億円(2014年6月14日)
明治安田生命保険は7月24日、米中堅生保のスタンコープ・ファイナンシャル・グループを買収すると発表した。買収額は49億9700万ドル(約6246億円)と日本の生保による海外M&A(合併・買収)としては第一生命保険の米生保買収を抜いて過去最大。世界最大の保険市場である米国に本格進出し、収益の上乗せを狙う。

住友生命保険は11日、米中堅生保のシメトラ・ファイナンシャルの買収で合意したと発表した。買収額は37億3200万ドル(約4666億円)。世界最大の米市場への進出で収益基盤を築く足がかりとする。過去1年間に大手3社が米国で5000億円前後の大型買収に乗りだす展開となっている。

(そんな中、日生が国内の営業基盤を固めるのは)人口減少や保険販売の多様化といった経営環境の変化への対応力を高めるためだ。
国内の生保市場は人口減少の影響は受けるが、長生きリスクや相続への備えなど新たな需要も生まれている。
買収で資産規模も70兆円を超え、第一生命(約50兆円)を突き放す。「利益率が高く、いまだ開拓の余地が残されている」(日生幹部)国内市場での存在感はより大きくなる。
かんぽ生命の株式上場で、国内の競争は一段と激しくなる見通し。業界最大手の日生が、他社に先駆けて基盤強化に動き始めたことで、国内再編がさらに広がる可能性もある。

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