地球温暖化対策 今を逃せば手遅れに

2015/6/6 19:04 (2015/11/18 18:00更新)
保存
共有
印刷
その他

日産自動車の電気自動車リーフに付けられたCOP21のロゴ(16日、パリ近郊)=ロイター

日産自動車の電気自動車リーフに付けられたCOP21のロゴ(16日、パリ近郊)=ロイター

地球温暖化問題が正念場を迎えている。今、解決へ大きな一歩を踏み出さなければ、地球は後戻りできない大きな変化に見舞われると専門家は指摘する。11月末からパリで開く国際会議で、温暖化に立ち向かう新たな協調体制は始動できるだろうか。

■日本、3400万人が暮らす土地が水没!?

世界各地を襲う異常気象。専門家は温暖化の影響とみている。さらに地球が温まれば、これまで以上に深刻な被害が発生すると予想されている。

地球温暖化が今のまま進んだ場合、海面上昇が今世紀末以降も長期的に続いて最終的に8.9メートルに達し、現在6億2700万人が暮らしている土地が水没するとの研究結果を、米国の非営利研究組織「クライメート・セントラル」が発表した。
日本は3400万人で、国別では6番目に多く、海面上昇のリスクが大きい国の一つとされた。
温暖化で6億人住む土地水没か 海面上昇、米チーム発表(11月10日)

■温暖化対策、新しい枠組みの合意めざす

国際社会は、11月30日から12月11日にパリで開く第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、2020年以降の地球温暖化対策の次期枠組み(ポスト京都議定書)での合意をめざしている。

COP21、ポスト京都合意目指す(10月15日)

新しい枠組みは、一部の先進国に温暖化ガスの削減義務を課した京都議定書とは違い、途上国も含めた全ての国が参加する温暖化対策の合意を目指す。

COP21とは(10月24日)

地肌が出た氷河を歩くフランスのオランド大統領(10月16日、アイスランド)=ロイター

地肌が出た氷河を歩くフランスのオランド大統領(10月16日、アイスランド)=ロイター

■「上昇を2度に」が長期目標

気候変動交渉では、地球の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2度未満にとどめる長期目標を掲げてきた。
2度未満なら南極の氷床の融解などいったん起きたら後戻りできない大きな変化を食い止められると考えられるからだ。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は1880年から2012年の間に平均気温は0.85度上がったとしており、今後の排出余地は狭まっている。
COP21の課題 「2度目標」達成厳しく(11月5日) 

■主要新興国も自主目標を提出

(条約事務局によると)温暖化ガスの排出削減などの目標を提出したのは146カ国で、世界の総排出量の87%を占める。

日米欧の先進国をはじめ、中国やインド、ブラジルやインドネシアなどの主要新興国も目標を決めた。「すべての国が参加する次期枠組みにする」という目標はほぼ達成された。

COP21、ポスト京都合意目指す(10月15日)

■自主目標を積み上げても「2度以内」は達成できず

国連気候変動枠組み条約事務局は10月30日、各国の温暖化ガス排出削減策を分析した報告書を公表した。
多くの国が目標を決めたにもかかわらず、排出は2030年でも増え続ける。2100年までに気温は少なくとも2.7度上昇し、現状では世界の全体目標は守れないとの分析結果を示した。

国連、各国の温暖化対策分析 「削減目標、上積みを」(10月31日)

■COP21の焦点は3つに絞られた

COP21で合意を目指すポイントは「公平性・差異化」「野心的な目標」「発展途上国への支援」の3つに絞られた。

(新しい枠組みに参加する)途上国には「温暖化は、工業化を進めた先進国が主に引き起こした」との考えが根強く、先進国と同水準の負担受け入れを拒む。
このため先進国と途上国に差をつける必要がある。例えば先進国には国全体の排出削減目標を求め、途上国には国内総生産(GDP)当たりの削減目標を認めるといった具合だ。

ベトナム・ハノイ郊外の工場=ロイター

ベトナム・ハノイ郊外の工場=ロイター

(2つめのポイントとして)「2度以内」に抑える目標の達成につながる仕組みを用意する必要がある。
フランス政府が提唱する「削減目標の5年ごとの見直し」案について、ファビウス仏外相は「幅広い支持を得た」と明らかにした。
もう一つの課題が世界全体の長期目標を定めること。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、「2度以内」の目標達成には50年に排出を10年比40~70%減、2100年にほぼゼロかマイナスにする必要がある。長期目標を採用できれば各国の削減目標を見直す目安になる。

ドイツで行われた気候変動枠組み条約特別作業部会。先進国と途上国との溝は埋まらなかった(10月23日、ボン)=共同

ドイツで行われた気候変動枠組み条約特別作業部会。先進国と途上国との溝は埋まらなかった(10月23日、ボン)=共同

(3つめのポイントとして)合意の成否を握る最大のカギが途上国への資金支援だ。
途上国は排出削減で成長を阻害したくない。先進国が持つ資金・技術の提供がなければ、温暖化ガスの排出を減らせない、という考えだ。
先進国は09年に20年までに官民合わせて年間1000億ドルの資金を供与すると約束した。途上国側はこの資金が基金などを通じ途上国にわたる仕組みを求めている。
途上国側は20年以降の支援額も明示するよう先進国側に求める。

温暖化防止、公平性が焦点 COP21準備会合が閉幕(11月11日)

フランスはCOP21を控え警備を強化する(13日、ベルギーとの国境付近)=ロイター

フランスはCOP21を控え警備を強化する(13日、ベルギーとの国境付近)=ロイター

■COP21、予定通り「パリ開催」

(13日に起きたパリ同時テロは)仏にとっては、世界が注目するCOP21の開幕を今月30日に控えるという最悪に近いタイミングだった。
仏オランド政権に打撃 COP21開幕を控え(11月15日)
仏ファビウス外相は14日、11月30日からパリで開催する予定の第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)について「警備体制を強化したうえで開催する」と訪問先のウィーンで語った。
ファビウス氏は「気候変動に対処するため必要不可欠な会議だ」と述べた。
COP21予定通り開催へ 仏外相「警備体制を強化」(11月15日)
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]