2019年2月24日(日)

新銀行東京、苦難の10年 東京TYと統合へ

2015/5/27 18:00
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本店完成披露式典でテープカットする東京都の石原慎太郎知事(当時、中央)ら(2005年3月31日、東京・大手町)

本店完成披露式典でテープカットする東京都の石原慎太郎知事(当時、中央)ら(2005年3月31日、東京・大手町)

東京都民銀行と八千代銀行を傘下に持つ東京TYフィナンシャルグループと、東京都出資の新銀行東京が経営統合する方針を固めた。2005年、東京都の石原慎太郎知事(当時)の肝煎りで開業した新銀行東京。経営不振や追加出資などで物議をかもした。都は銀行参入から10年で事業の主役の座を降りることになる。

■新銀行東京とは

新銀行東京の看板(26日夜、東京都新宿区)

新銀行東京の看板(26日夜、東京都新宿区)

2003年の東京都知事選で、石原慎太郎知事(当時)が中小企業救済を名目に設立を提唱。都が買収したBNPパリバ信託銀行を母体に1000億円を出資し05年に開業した。

新銀行東京とは(5月26日)

開業当初から苦戦が続き業績は急速に悪化する。

最大の誤算は、不良債権処理をほぼ終えた金融機関が「中小企業への融資を再び増やし始めた」(石原知事)ことだ。知名度や店舗網で大手銀や優良地銀に劣る新銀行は苦戦した。

新銀行東京、累損849億円、資本金の7割に相当(2007年6月2日)

2007年9月中間期決算では、累積損失は資本金の8割近い936億円まで膨らんだ。

9月中間、累損拡大936億円(2007年12月1日)

サービスを停止した新銀行東京の店舗外ATM(2007年12月、都内の地下鉄駅構内)

サービスを停止した新銀行東京の店舗外ATM(2007年12月、都内の地下鉄駅構内)

ずさんな管理も明るみになった。

(新銀行東京は)開業2年後の2007年夏まで貸出債権の自己査定をほとんど実施していなかった。

貸出債権ほぼ査定せず、昨年夏まで、管理ずさん(2008年3月18日)

■清算せず追加出資で存続へ

(東京都は2008年2月)都議会に、新銀行東京に400億円を追加出資すると正式提案した。石原慎太郎知事は「店じまい(清算)すれば、さらに多額の財政負担が必要」と追加出資に理解を求めた。

都知事、400億円増資提案 「清算なら負担多額」(2008年2月21日)

都議会の予算特別委員会で、新銀行東京の経営悪化について陳謝する石原知事(2008年3月25日、東京都庁)

都議会の予算特別委員会で、新銀行東京の経営悪化について陳謝する石原知事(2008年3月25日、東京都庁)

新銀行東京への追加出資を可決した都議会予算特別委員会(2008年3月26日、東京都庁)

新銀行東京への追加出資を可決した都議会予算特別委員会(2008年3月26日、東京都庁)

東京都議会の予算特別委員会は新銀行東京への400億円の追加出資案を自民、公明の賛成多数で可決した。

新銀行が追加出資する400億円が棄損しないように都が適切に監視する――との決議を付けた。

都議会予算特別委、400億円の追加出資可決(2008年3月27日)

閉鎖した新銀行東京の支店(2008年3月、東京・新橋)

閉鎖した新銀行東京の支店(2008年3月、東京・新橋)

■合理化徹底で「安定黒字」は達成

新銀行東京(東京・新宿)の2012年度から3カ年の中期計画期間が2015年3月末で終わる。経営再建で最優先の目標としてきた「安定黒字」は達成した。

半面、合理化で本店のみに縮小した営業網の限界もあり、中小企業に成長資金を供給する地域金融機関本来の役割は十分には果たせていない。存在意義を問う声は依然くすぶる。

新銀行東京「安定黒字」に-3カ年中計が月末で終了(3月27日)

■東京TYフィナンシャルグループとは

東京TYフィナンシャルグループのロゴ(26日夜、東京都新宿区)

東京TYフィナンシャルグループのロゴ(26日夜、東京都新宿区)

東京都に地盤を置く東京都民銀行と八千代銀行が経営統合し、2014年10月に設立した共同持ち株会社。

15年3月期末の総資産は4兆9438億円で、東京都内に本店を置く地域金融機関では最大規模。中小企業向け融資に力を入れる。預金量は同期末で4兆4913億円。

東京TYフィナンシャルグループとは(5月26日)

■なぜこのタイミングで統合?今後の焦点は?

新銀行の旗振り役だった石原慎太郎元知事と後継者だった猪瀬直樹前知事に代わって14年に舛添要一知事が就任したのが大きい。

(東京TYに)金融庁はかねて再編効果を発揮できる道筋を示すよう促していた。東京TYには新銀行東京を傘下に収め、顧客基盤を広げる狙いもある。

(東京都が)これまで出資した400億円を回収できるかが今後の焦点だ。統合後の東京TYの経営が振るわず株価が上がらなければ、出資金を毀損する可能性もある。

新銀行東京、都の出資回収が焦点(5月27日)

■2016年4月の統合を計画

統合時期は2016年4月で、まず持ち株会社のTY傘下に3行がぶら下がる形となり、その後、合併を検討する。

東京都は統合後も主要株主で残るが、経営への過度の関与を避けるため優先株を活用して議決権を最小限に抑える方向だ。

統合は16年4月 都の議決権は最小限に(5月27日)

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