永田町に再編の嵐 政党が分割・合併するって?

2015/8/31 18:00
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維新の党を離党した橋下徹大阪市長が10月1日にも新党結成に踏み切る意向を表明した。やにわに風雲急を告げてきた政界だが、そもそも政党の結成や分割、合併とは、どのようなものなのだろう。

記者会見で維新の党からの離党を表明する橋下氏

記者会見で維新の党からの離党を表明する橋下氏

■高い「政党」の壁

政党とは本来は任意団体という存在だ。そのため、特別な手続きをせずに、いつでもだれでも自由に設立できる。ただし、企業からの献金や政党交付金を受け取るためには、中央選挙管理委員会に申請して政党としての法人登記を受ける必要がある。

日本では政党助成法、政治資金規正法、公職選挙法でそれぞれ政党要件を定めている。要件はほぼ共通しており(1)現職の国会議員が5人以上いる(2)前回の衆院選か、前回か前々回の参院選での得票率が2%以上――のいずれかの条件を満たせば「政党」として認められる。ただし、政党助成法では(2)のケースでも国会議員が1人以上所属していることが必要だ。

政党要件 国会議員5人以上、選挙活動有利に(2012年9月3日)

ただし、公職選挙法(公選法)や政治資金規正法、政党助成法といった法律によって政党の扱いに実は微妙に違いがある。

(公選法では2番目の要件に入っている「有効投票の2%以上」の対象が前回の衆院選または参院選なのに対し)政治資金規正法と政党助成法は得票率の対象となる参院選を前々回のものも含むなど、法律によって「政党」の定義が異なる。公選法で「政党」にあたらない場合、小選挙区と比例代表との重複立候補も認められない。

新党改革、公選法上の政党要件満たさず 重複立候補も禁止(2014年12月1日)

■最大のメリットは政党交付金

政党として認められると、選挙活動で有利になるほか、政党交付金など資金面でも優遇される。

政党への代表的な優遇措置は政党交付金だ。所属する国会議員の数や国政選挙での得票率に応じて、国庫から支払う政党交付金を受け取ることができる。政治献金でも、政党なら企業・団体献金を最大で年間1億円まで受け取ることができるほか、個人献金の受取限度額も引き上げられる。選挙活動では政見放送の利用が可能になるなどの利点がある。

政党要件 国会議員5人以上、選挙活動有利に(2012年9月3日)

こうした各種の優遇を獲得するために、政党の合併や議員の移籍などが頻繁に行われてきている。たとえば、昨年末の総選挙で国会議員がいなくなった太陽の党は、園田博之衆院議員が移籍してきたことで政党用件を満たし政党交付金を受けられるようになった。その後に次世代の党に改めて合併することで、次世代の党は太陽の党の分と合わせた政党交付金を受け取っている。

次世代の党は9日午前の臨時総務会で、園田博之衆院議員(熊本4区)が離党し、休眠状態にある太陽の党に移籍することを了承した。8日付で総務省に届け出たという。太陽の党は政党助成法上の政党要件を満たすことになる。

園田氏が次世代の党を離党、太陽の党に移籍(1月9日)

太陽(の党)が解散し、5月1日付で次世代(の党)と合併すると発表した。園田氏は次世代の顧問に就く。政党助成法上の手続きを経て、太陽に対する政党交付金の未交付分は次世代が引き続く。

太陽の党が解散、次世代の党と合併(4月27日)

(政党要件を満たすための移籍という)ケースは昨年末の衆院選後、既に3件目。生活の党には昨年12月26日、山本太郎参院議員が合流した。旧みんなの党の松田公太参院議員らは1月1日付で新党「日本を元気にする会」を結成。両党とも再編に伴い政党要件を満たした。

移籍ラッシュ(1月10日)

総務省は26日、政治資金規正法に基づく政治団体として「生活の党と山本太郎となかまたち」が届け出たと発表した。生活の党が名称を変更したもので、代表は小沢一郎氏。関係者によると、無所属の山本太郎参院議員が合流し、所属国会議員は政党要件を満たす5人以上になった。政党助成法上の政党要件も満たし、政党交付金を受け取れるようになる。

「生活の党と山本太郎となかまたち」に党名変更(2014年12月26日)

昨年解党したみんなの党に所属していた松田公太氏ら5人の参院議員が8日、新党「日本を元気にする会」の結成を総務省に届け出た。(中略)1月1日時点で所属国会議員が5人以上いれば政党助成法上の政党要件を満たし、国から政党交付金を受け取れる。

元みんなの松田氏ら、新党「日本を元気にする会」届け出(1月8日)

昨年9月の「維新の党」結党大会で気勢を上げる橋下氏(中央左)や松野氏(左端)ら

昨年9月の「維新の党」結党大会で気勢を上げる橋下氏(中央左)や松野氏(左端)ら

■「分派」では交付金がもらえない

では、政党が離党したり分党した場合の政党交付金の取り扱いはどうなるのだろう? 国政選挙の間に、政党交付金を受け取っている政党が変更される場合の扱いは政党助成法で決められている。

政党が分かれる場合、双方の合意があれば政党助成法にもとづいて「分党」ができる。分党なら政党交付金が参加議員数に応じて比例配分され、引き続き受け取れる。維新(の党)の2015年政党交付金は約26億円にのぼる。

橋下新党、20人超めざす 維新「中間派」に働きかけ(8月31日)

政党交付金は1月1日現在の国会議員数と直近の国政選挙の得票数を基に算出し、年4回に分けて配分する。分割政党はそれぞれ、その年のまだ交付されていない分を、議員数に応じて受け取る。翌年以降には議員数割り分に加え、得票数割り分も支給される。

政党交付金の配分決定 総務省、維新分党で(2014年8月29日)

問題は、円満に分党が進まない場合だ。実は政党助成法では、1つの政党が2つに分党するやり方で政党交付金を両方の党が受け取ることは認めていない。分党した両方の党が政党交付金を受け取るためには、現在の政党をいったん解散してから、2つの新たな政党を「設立」する必要がある。昨年7月の「日本維新の会」から「次世代の党」を分党したときも、いったん既存政党を解散して新しい2つの党を新設した。

(日本)維新(の会)は31日、政党解散届を党本部がある大阪府選挙管理委員会に提出し、総務省が受理した。橋下徹共同代表(大阪市長)を支持するグループは1日、結いの党と合流するまでの「つなぎ新党」を結成する。党名は「日本維新の会」を継承する。

次世代、党首に平沼氏選出 維新は解党届を提出(2014年8月1日)

もし、存続政党が解散に合意せずに存続すると、新たに作る政党は「分派」という扱いになり政党助成金が配分される対象とはならない。新党を結成する意向を示している橋下大阪市長だが、現在の維新の党がいったん解散する手続きに同意してもらい、円満に分党を進められるかがポイントの一つになりそうだ。

橋下氏(写真左)による分党の要望を維新の党の松野代表(写真右)が受け入れるかがポイントになりそうだ

橋下氏(写真左)による分党の要望を維新の党の松野代表(写真右)が受け入れるかがポイントになりそうだ

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