2018年2月26日(月)

東京五輪を視野にカジノ法案再提出へ

2015/4/2付
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 昨年の衆院解散でいったん廃案となった「カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案」(カジノ法案)が今国会に再提出され成立を目指す。カジノ解禁は安倍政権が成長戦略の柱と位置付けており、2020年の東京五輪に合わせたカジノ施設の開業を目指している。

東京都渋谷区の「アドアーズ渋谷 addict(アディクト)ではゲームセンターの一角でカジノを疑似体験できる

東京都渋谷区の「アドアーズ渋谷 addict(アディクト)ではゲームセンターの一角でカジノを疑似体験できる

■候補地は3カ所前後?

 再提出されるカジノ法案は昨年廃案になったものを引き継ぐ形となり、政府が指定する地域に限りカジノを認めるという内容だ。

超党派でつくる国際観光産業振興議員連盟(会長・細田博之自民党幹事長代行)は30日、国会内で総会を開いた。カジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)を今国会に再提出し、成立を目指す方針を確認した。

カジノ法案の再提出確認、観光産業振興議連(3月30日)

自民党など3党が衆院に議員立法として提出し、内閣委員会か国土交通委員会で審議入りし、会期内の成立を目指す。

法案は施行後1年以内に、政府にカジノ運営などのルールなどを定めた法案を提出するよう義務付けている。ギャンブル依存症や青少年への悪影響への対策は盛り込んでおらず、政府に入場基準などの具体策の検討を委ねる。運営事業者は内閣府の外局に設置する管理委員会が管理する。

カジノ法案、自民など再提出へ 公明の対応焦点(3月21日)

カジノ法案では政府が指定する地域に限り、民設民営のカジノを認める。

カジノ、治安・依存症対策が前提(2014年7月26日)

カジノで生まれ変わったマカオの風景

カジノで生まれ変わったマカオの風景

 具体的な指定地域としては、20カ所ほどの候補地の中から3地域前後に絞る見込みだ。

カジノ誘致に関心を示している約20の自治体のうち候補地を3カ所前後に絞る方針だ。臨海部の人工島「夢洲」を候補地とする大阪市や国際観光拠点を目指す沖縄県のほか、海外から豪華客船が入港する横浜市も4月に検討会を立ち上げ、有力な候補と目されている。

政府がモデルにするのは、数多くのカジノが乱立するラスベガスやマカオではなく、ホテルや会議場、ショッピング施設など大型リゾート施設の一角に、少数のカジノを併設するシンガポールだ。同国では同時に、外国人のカジノへの入場は無料にする一方、自国籍の住民からは100シンガポールドル(約8200円)の入場料をとっている。

カジノ、20年までに3カ所 大阪・沖縄など候補(2014年7月26日)

■地方再生の核として期待

 カジノを誘致しているところで期待しているのは経済効果だ。新しい雇用の確保や功利など幅広い分野への波及を期待している。

京浜急行電鉄は15日、カジノやホテルなどで構成する統合型リゾート(IR)を整備する構想を正式発表した。横浜市の山下埠頭を最有力の候補地と考えているもようで、実現すれば数千~1万人単位の雇用が生まれそうだという。

京急のカジノ構想、雇用創出は最大1万人に(2014年8月16日)

ゴールドマン・サックス証券によると、東京や大阪、沖縄に4つのカジノ施設をつくった場合に市場規模は1兆5000億円になる。不動産やゲーム機器会社に加えて、地域のホテルや小売りなど幅広い産業に経済効果は波及する。

カジノ、20年までに3カ所 大阪・沖縄など候補(2014年7月26日)

コナミはスロットマシンや大型のカジノ機器を米ラスベガス工場などで製造する

コナミはスロットマシンや大型のカジノ機器を米ラスベガス工場などで製造する

■根強いギャンブルへの抵抗感、対策も検討

 その一方で、ギャンブルという性格上、多くの国民の間に懸念が広がっているという面も忘れてはいけない。法案が成立し、実際にカジノの開業にこぎ着けるためにクリアすべき課題は多そうだ。

安倍政権が成長戦略の一環として実現をめざしているカジノの解禁については「反対」が59%にのぼり「賛成」の27%を大きく上回った。

カジノ解禁「反対」59% 本社世論調査(2014年10月26日)

カジノはギャンブルへの依存をはじめ、青少年への悪影響、反社会的勢力の暗躍、マネーロンダリング(資金洗浄)の懸念など、様々な負の側面を抱えている。国民の間にも強い反対の声や拒否反応がある。

カジノ解禁のマイナス面 十分に検証を(2014年7月27日)

東南アジアではカジノ産業が新たな雇用の場を提供している(シティ・オブ・ドリームズ・マニラの開業イベント)

東南アジアではカジノ産業が新たな雇用の場を提供している(シティ・オブ・ドリームズ・マニラの開業イベント)

カジノでは莫大なお金が動く。その分だけ反社会的勢力の資金源になったり、資金洗浄の温床になったりしないように厳しい監視が必要になる。

テロ資金対策などを手掛ける国際機関の金融活動作業部会(FATF)は6月、日本の資金洗浄への対策が不十分とする異例の声明を出した。国際基準に沿った不正資金への対策が整うことがカジノ解禁の大前提だ。

ギャンブルを繰り返す依存症対策も不可欠だ。日本人に限り入場料をとるのは対策の一つだが、常習者への心理カウンセリングの充実なども求められる。日本は賭博をする人のうち1割近くが常習性があり、2%前後の主要国よりも高いとの調査もある。

カジノ、治安・依存症対策が前提(2014年7月26日)

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