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いよいよ着工、リニア新幹線 その速さの秘密は

東海旅客鉄道(JR東海)が17日にターミナル駅となる東京の品川と名古屋で安全祈願式を執り行い、いよいよリニア中央新幹線の建設に着工した。2014年内の着工は難しいとしていたが、10月17日に建設工事の認可が下り、品川と名古屋の工事対象地域での住民説明会が順調に進み着工時期が早まった形だ。

山梨リニア実験センターで時速500キロの試験走行をするリニア中央新幹線

そもそも「リニア」って?

リニア中央新幹線は「超電導磁気浮上(超電導リニア)」という走行方式を使っている。車両にN極とS極の磁石を交互に配置し、地上に配置した推進コイルに流す電流を制御することで周りの磁界を変えながら、N極とS極の引き合う力と、N極同士あるいはS極同士の反発する力をうまく利用して新幹線を動かす。通常のモーターのように回転して動力を伝えるのではなく、磁力の力を利用した直線的な運動になることから「リニア」と呼ばれる。

リニアが浮かび上がり高速で走れるのは、コイルに電気を流すことで生まれる強力な磁力を応用している。軌道となるガイドウエーの壁に推進コイルと浮上コイルを並べ、車両側の側面に「超電導磁石」を搭載。車両が通る瞬間、推進コイルに電気を流すことで車両が前方に進む。
リニア開発が加速 非接触で電気供給、超電導で省エネ(2011年9月25日)
リニア中央新幹線は車両に設置した超電導磁石と地上のコイルの間で発生する磁力を利用して空中に浮く

超電導リニアの肝となるのが車両に搭載する超電導磁石だ。ある金属や合金などの物質を絶対零度に近い超低温にすると電気抵抗がゼロになる、いわゆる「超電導」と呼ばれる現象が発生する。この状態になった物質に電気を流すことで半永久的に流れ続けられ、電気抵抗がないことで熱も発生しないため、通常の磁石では困難な重い車両を浮かしたり動かしたりするほどの強力な磁力を発生し続けられる。

超電導は超低温のもとで電気抵抗がゼロになる現象で、強力な磁力を生み出す。リニアの場合、車両基地で電気をいったん供給すれば永遠に大電流が流れ続ける。
コイルは、液体ヘリウムでマイナス269度に冷却して超電導状態をつくる。
リニア開発が加速 非接触で電気供給、超電導で省エネ(2011年9月25日)
JR東海のリニア車両「L0系」

時速500キロ超え

リニア中央新幹線で採用する超電導リニア方式の最大の特徴は高速性だ。磁力の力で空中に浮かびながら移動するため、速度低下の大きな要因となっている地面やレールとの摩擦がほぼなくなる。それにより、リニア中央新幹線の最高速度は時速505キロメートルに達する予定だ。

極めて低い温度で電気抵抗がなくなる超電導の力を生かして線路に接することなく浮上して走る。東海旅客鉄道(JR東海)は27年の開業時に最高505キロメートルで走行する計画だ。
新型鉄道続々、より速く 省エネ「エアロトレイン」も(8月26日)
リニア車両「L0系」で、時速500キロ超で走行することを示すモニター

時速500キロを超える高速となると、地震などが発生した際の事故が心配になる。だが、磁力を使って空中に浮いているリニア中央新幹線は、仮に地面が揺れて車両との距離が変わっても、磁石の反発の力で一定の距離を保とうとする。このため、高速でも既存のレール方式の電車より接触事故は起こりにくい。

(JR東海は)長距離を移動する大陸の高速鉄道などで一定のニーズがあるとみている。大地震が発生しても路面との接触事故などが起きにくいのも特徴だ。
42年越し、リニア始動 27年開業へ着工認可(10月18日)

日本を小さく

リニア中央新幹線の開業は2027年を予定している。当初は「東京(品川)―名古屋」間で営業運転を開始し、45年に大阪まで延伸する計画だ。

2027年に東京(品川)―名古屋間が開業すれば所要40分程度と、観光やビジネスで結びつきが一層強まる。
大阪まで全線開業すれば、東京と名古屋、大阪の三大都市が1時間程度の通勤・通学圏となり「経済や社会のあり方を大きく変える可能性がある」(市川宏雄・明治大学教授)との声もある。
42年越し、リニア始動 27年開業へ着工認可(10月18日)
リニア中央新幹線は現在の山梨リニア実験線を延長する形で東京-名古屋間を2027年に開業する予定だ(写真:日経コンストラクション誌、資料:JR東海、JR東海の資料を基に日経コンストラクション誌が作成)

JR東海では「大交流リニア都市圏」を主張する。東京から、静岡や山梨、長野、名古屋、大阪といった都市が約1時間圏内で結ばれることで、約7000万人もの人があたかも1つの都市に住んでいるようになるという壮大な計画だ。

今後は東京都心部へ公共交通機関で30~60分という通勤圏において住民の誘致合戦が激しくなる。これまでは神奈川、千葉、埼玉といった東京の近県だけの争いだったが、リニア開通後はこれに名古屋、大阪なども加わると思われる。
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山梨リニア実験線で走行試験するリニア車両(山梨県都留市)

路線はトンネルだらけ

開業が待ち遠しいリニア中央新幹線だが、残念ながら途中の景色は期待できそうにない。その高速性を最大限に生かすために、東京と名古屋の間は南アルプスを横断するルートになり、そのほとんどが地中を通る計画だからだ。

平地となる東京や名古屋の周辺でも土地収用などの問題から深い地下を通るトンネルとなりそうだ。

東京―名古屋間の86%に当たる延長246kmがトンネルになる。建物の密集する都市部や山岳地帯、自然公園などを通るからだ。
リニア建設、成否握る高難度トンネル工事の全貌(2013年12月25日)

着工はしたものの、こうした未知のトンネル工事では数々の困難に直面することが予測される。今後の工事状況に注目したい。

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