「最高裁国民審査」の仕組み

2014/12/9 18:00
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 いよいよ今週末の14日に迫った衆議院議員選挙。候補者の街頭演説や各政党の政見放送を耳にして、すでに投票先を決めている人もいるだろう。だが、実は投票所ではもう一つの「投票」があることを忘れていないだろうか。衆院選と一緒に実施される「最高裁判所裁判官国民審査」だ。

14日に迫った衆院選専用の投票用紙(東京都中央区)=一部画像処理しています
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14日に迫った衆院選専用の投票用紙(東京都中央区)=一部画像処理しています

■前衆院選以降の新任のみが対象

 国民審査とは、その名の通り最高裁判所の裁判官について国民が審査する制度だ。ただし、全員が審査の対象となるわけではない。最高裁には長官を含め全部で15人の裁判官がいる。その中で前回の衆院選以後に最高裁裁判官となった人だけが審査の対象となる。

(国民審査は)「憲法の番人」としてふさわしいかどうかを、市民の目で直接チェックする唯一の機会である。

有権者は辞めさせたい裁判官に「×」をつけ、それが有効投票の過半数になれば罷免される。

主体的に参加したい国民審査(2012年12月15日)

今回審査を受けるのは、2012年12月の前回衆院選後に任命された鬼丸かおる、木内道祥、池上政幸、山本庸幸、山崎敏充の5氏=告示順。

最高裁裁判官の国民審査も告示(12月2日)

 一度国民審査を受けた裁判官は、その後10年間は審査を受けなくてよい。10年を経過した後に行われる衆議院総選挙の際に裁判官を続けていれば再審査を受けることになっている。

参院選「1票の格差」訴訟の判決に臨む最高裁の裁判官ら(11月26日)
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参院選「1票の格差」訴訟の判決に臨む最高裁の裁判官ら(11月26日)

■投票できるのは「×」だけ

 選挙の投票と違うのは、罷免させたい裁判官の欄に「×」の印をつけるということ。「○」など別の記号や文字を記入した場合は投票自体が無効となってしまう。つまり、何も記入せずにそのまま投票すると全員を信任したことになる。

審査は、辞めさせたいと思う裁判官に「×」印を書く方式で、「×」が有効投票の過半数に達した裁判官は罷免される。何も記入しなければ信任とみなされ、「×」以外は全て無効となる。

最高裁裁判官の国民審査も告示(12月2日)

 罷免を求める投票が過半数になると、その裁判官は罷免される。罷免された裁判官は以後5年間は最高裁裁判官になることはできないが、過去の国民投票で罷免された人はいない。

日本の司法トップとなる最高裁判所の裁判官を審判する大事な投票だ
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日本の司法トップとなる最高裁判所の裁判官を審判する大事な投票だ

■衆院選と制度上の違いも

 公示や投票用紙での裁判官の氏名記載順序は、くじ引きで決める。これは、記載順によって「×」が付く確率を平等にするためだ。実際に投票所で国民審査の用紙をもらったときに確認してみると、五十音順のような意味のある並び方をしていないことに気づくだろう。

 国民審査も期日前投票が可能だ。ただし、期日前投票の期間が衆院選と国民審査では異なっている点には注意したい。衆院選の期日前投票は公示日の翌日から可能なのに対し、国民審査の期日前投票は投票日の7日前からとなっている。

衆院選の期日前投票は、公職選挙法で「公示日翌日から開始できる」と規定している。一方、最高裁判所裁判官国民審査法は審査の事前投票を「投票日の7日前から」としており、今回の場合は衆院選の投票が3日から始まったのに対し、国民審査は7日にようやくスタート。

期日前の「ずれ」に苦情 候補者への投票と最高裁国民審査(12月9日)

期日前投票で投票用紙に記入する有権者(3日午前、大阪市淀川区)
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期日前投票で投票用紙に記入する有権者(3日午前、大阪市淀川区)

 このため、公示日すぐに期日前投票に行くと、衆院選にしか投票できず、国民審査の投票をするためには投票所を再訪する必要がある。そのことが原因でミスも発生している。

総務省には「二度手間になり不便だ」などの苦情や問い合わせの電話が8日までに複数寄せられた。総務省は「衆院選と違い、投票用紙に裁判官の氏名を印刷するため時間がかかる」と説明。

期日前の「ずれ」に苦情 候補者への投票と最高裁国民審査(12月9日)

男性は最高裁裁判官の国民審査のため投票所を訪れたが、係員が受け付けの際、入場券に押された投票済みの印を見落としたという。男性の票を特定できないため、2票とも集計の対象になる。

長崎で選管ミス相次ぐ 投票用紙、9人に誤交付(2012年12月17日)

 なお、国外に住んでいる人が投票する在外投票については、衆院選が可能だが、国民審査については認められていない。

国民審査は対象裁判官が確定するのが衆院選公示日のため、総務省は「投票用紙の印刷や送付に時間がかかり、現時点で在外投票の実施は困難」と説明している。

最高裁裁判官の国民審査、在外邦人の投票認めず 東京地裁(2011年4月26日)

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