2018年5月23日(水)

クロマグロ、絶滅危惧種に指定

2014/11/17付
保存
共有
印刷
その他

絶滅危惧種に指定された太平洋クロマグロ=IUCN提供

絶滅危惧種に指定された太平洋クロマグロ=IUCN提供

 国際自然保護連合(IUCN)は17日、絶滅の恐れがある野生生物を指定するリストで、太平洋クロマグロを「軽度の懸念」から「絶滅危惧」に引き上げた。日本人の大量消費が影響しており、今後保護対策などが求められるとみられる。完全養殖などの手法も重要になる。

■「絶滅危惧」に引き上げ

2年後に開く同条約の締約国会議に向け参加国が保護を提案すれば、6月にレッドリスト入りしたニホンウナギと合わせて規制対象になる公算が大きくなる。

IUCNは「主にアジア市場に提供するスシや刺し身のために漁業者に狙われている」とし、「大半は産卵する前の未成魚のうちに漁獲されている」ことが減少の原因だと指摘した。

■進む規制

資源の減少が深刻な太平洋海域のクロマグロの管理について話し合う「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の小委員会が9月4日閉幕し、未成魚(30キロ未満)の漁獲枠を基準値(2002~04年の平均)から半分に減らすことで合意した。

クロマグロ保護へ一歩 未成魚の漁獲半減で合意(9月5日)

クロマグロの減少に歯止めをかけるため、水産庁は2015年から未成熟な小型魚(未成魚、30キログラム未満)の漁獲枠を半減する。大手資本の力が強いまき網漁や養殖に続き、今度の規制では沿岸の釣り漁師らも漁獲量削減の対象に加わる事になった。マグロ漁師の不安と混乱は増幅している。

マグロ釣り漁師に規制の大波 漁獲枠減(9月2日)

■大西洋、漁獲管理で回復

大西洋・地中海域のクロマグロ漁獲枠はピーク時の3分の1近くまで削減され、体重30キロ未満の未成魚は原則禁漁とした。漁獲証明など流通段階での管理も徹底した。

厳格な漁獲管理を続ければ、海洋生物の強い再生力で資源量は急回復する。大西洋域のクロマグロはそれを証明した。

大西洋のマグロ資源回復 養殖の競争力も増す(11月11日)

■養殖、大学の技術生かす

近畿大学の養殖場で育った完全養殖クロマグロ

近畿大学の養殖場で育った完全養殖クロマグロ

クロマグロ資源の減少が懸念されるなか、天然資源に頼らずマグロを育てる「完全養殖」に熱い視線が注がれている。昨年、先駆者の近畿大学が東京と大阪に開いたアンテナショップには「近大マグロ」目当ての行列ができ、普及に向けた大手企業とのネットワーク構築も進んでいる。

水産庁は12年、天然の幼魚を使う養殖の拡大を禁じた。今後、マグロの養殖を増やそうとすれば、いけすの親魚が産んだ卵をふ化させて成魚まで育てる「完全養殖」しか選択肢はない。

近大の研究成果を商社マンが育てる クロマグロ「完全養殖」(10月24日)

水産大手の極洋と日本配合飼料は2017年から、卵から人工で育てる完全養殖クロマグロの出荷を年間200トン規模で始める。マグロの漁獲規制が強化されるなか、近畿大学が先行する完全養殖を国内最大級の規模で事業化する。天然資源に影響を与えないマグロが増えれば、スーパーや飲食店向けの安定供給に一定の役割を果たしそうだ。

マグロ完全養殖 最大級で 極洋、17年から年200トン出荷(9月26日)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報