絹の道は天然ガスの道 中国がウイグル支配強めるワケ
編集委員 後藤康浩

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2014/7/27 7:00
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ウイグル問題はこれまでチベット問題などと同列に少数民族問題としてくくられてきたが、そうした総括はもはや通用しなくなりつつある。ウイグル問題は「イスラムと中国の衝突」「中国のエネルギー安全保障」のふたつの観点で捉えるべきだからだ。

■中東は遠い場所ではない

厳戒態勢のウルムチ

厳戒態勢のウルムチ

新疆ウイグル自治区のウルムチから西に飛べば、北京に行くのとさほどかわらない時間で、イラクのバグダッドに着けるはずだ。実際はそんな航空便は飛んでいないが、新疆ウイグルにとって中東は遠い場所ではない。それゆえに今から2000年以上前にシルクロードが交易路として確立されたわけだ。そのイラクでイスラム教スンニ派の強硬派が「イスラム国」の建国を宣言した。イラク中部からシリアにまたがる地域だ。これが示すのは、イスラム教が依然として既存の枠組みを変えるほどのエネルギーを持っており、さらにイスラムに国境はないことだ。

これは中国指導部には心穏やかな話ではないだろう。ウイグル族はじめ新疆ウイグルのイスラム教徒にイスラム国のようなダイナミックな活力が注ぎ込まれれば、中国政府はそれを抑え付けるのがますます難しくなる。1930年代、40年代に2回にわたって今の新疆ウイグルの地に建国された「東トルキスタン共和国」の亡霊が中東とウイグルを結ぶイスラムの国際連携によってよみがえりかねない。中国にとって不気味なのは中国を脱出したウイグル族の若者がすでに難民化し、その一部はアフガニスタンやパキスタンで軍事訓練を受け、イラク、シリアでの戦闘に参加している、という情報があることだ。中国にとってウイグル問題は、旧ソ連が1979年に軍事侵攻し、かいらい政権を樹立したアフガニスタンのような泥沼の戦いになる恐れは十分にある。

中国の天然ガス需要は急増しているが、そのうち新疆ウイグルで生産されたり、トルクメニスタンで生産され新疆ウイグル経由で輸入されたりしている天然ガスの比率は過半に達している。西のガスを東の沿海部に運ぶことから「西気東輸」プロジェクトと名付けられたパイプライン網はすでに3本目の基幹線が稼働間近になっている。中国にとって新疆ウイグルはエネルギーの安定調達のために欠かせない存在であり、安全保障の要の地となっている。

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