たまる本・書類の整理は 家電トリセツ処分しネットで

収納スペースが狭く、本や書類が納まりきらない、と悩む人は多いのではないだろうか。本棚を買い足そうと考える前に、まずは一度、持っている紙類(本・書類)と向き合ってみてほしい。
紙類の整理のコツは、とことんデータ化すること。筆者はDropboxなど文書のクラウド保管サービスを利用し、目的や内容に応じてフォルダ分類をしている。
「処理すべき紙書類は出しっぱなしの方が忘れない」との声もあるが、見慣れるうちに存在を忘れたり、常に視野に入って他の作業を邪魔したりするなど、効率的な管理方法ではない。To Do管理はタスク管理ツールなどに集約する方が確実だ。
入居時の不動産関連書類、学校のお便り、家電の取扱説明書やクーポンなど、家中の書類を1カ所に集めてみよう。一枚一枚手に取るところから片付けが始まる。
書類整理の基本は、現物がなくても支障ないかを問うことだ。インターネットに同じ情報が載っているものは迷わず処分。例えば家電・家具の取扱説明書は、品名を検索すれば簡単にデータにアクセスできるため、紙で保管する必要がない。保証書ページだけ切り取って処分しよう。出前やスーパーのチラシもクーポン部分を残して処分だ。
「紙の現物があった方がはかどる」のはまれで、細かい数字をパソコンに打ち込むときくらいだ。出前も紙の束から目当てのチラシを取り出すより、ネット検索が早い。頻繁に使う情報をパソコン・スマホのブラウザーでブックマークするのもオススメだ。
次に、ネットに情報がないものについて。紙での提出を求められないものは、スキャンするか写真を撮ることで処分できる。筆者宅はScanSnapというコンパクトなスキャナーを玄関に置いている。帰宅時、かばんの中の書類をスキャナーで取り込み、紙そのものは玄関のゴミ箱に。一連の流れに10秒もかからない。スキャナー自体がクラウド保管サービスと連携しているため、パソコンを開かずともデータが自動保存され、スマホでいつでも確認できる。セミナーテキストや料理教室のレシピなど、ページ数が多くてスキャンしきれない場合は、スキャン代行サービスを使うのも手だ。
手紙や日記帳など思い出として残したいモノは、ぬいぐるみなどと同じ「思い出」のカテゴリーに所属させ、他の書類と保管場所を分けよう。蓋のつく箱に詰め、押し入れに入れることを推奨したい。
「頑張ってきた証し」と仕事のノートやセミナーテキストをすべて取っておく人もいるが、現物で残す意義を改めて考えてみてほしい。ぬくもりや愛情が感じられ、頻繁に手に取って眺めたいならモノとして残せばよいが、捨ててしまうのが怖いというだけなら、データに形を変えて部屋を空けた方が健全だ。
「片付けは冷蔵庫から」と言われる。食品は賞味期限があり、捨てる基準が明確だからだ。難易度が最も高いのが本。本を捨てることに罪悪感・抵抗感を抱く人は多い。

本棚は本を一冊も捨てなくても片付けられる。まずは手持ちの本をすべて本棚から出し、1冊ずつ手にとってグルーピングをしよう。「なぜ持っている? いつ手に取る?」を考えて分類していく。
注意したいのが、漫画・参考書・ガーデニングなど、カテゴリーで本を分類しないこと。「自分にとってどんな存在か」という視点で分けるのが大切だ。そのうえで意味ごとに配置を検討する。
例えば「頻繁に手に取るわけではないが、文献として貴重なので保管したい本」「コレクションとして収集している本」は本棚に置く必要がない。箱に詰めて押し入れに入れた方が効率的だ。「今は読む気がおきない本」が本棚を占拠していると精神衛生にも良くない。貸すか、図書館などに寄付して外に出そう。逆に、頻繁に読みたい本は読む場所のすぐ近くに置く。
「本と書類が山積み。量が多過ぎてどうにもできない」という人も、だまされたと思って一つ一つ手に取って分類してみてほしい。「部屋には置けないが手放したくない」なら、外部収納に預ける、職場でシェアするなど、外での活用も併せて検討する。スッキリしたデスク、読みたい本ばかりの本棚ならテレワークも一層はかどるだろう。
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「いつ読むか」で置き場所決める

本の分類方法には正解はないが、筆者は「いつ読むか?」を軸にグルーピングしている。これから読もうとしている本や、読みかけの本は、本棚の中でも手を伸ばしやすい「特等席」に置こう=イラスト。文献としてコレクションしたいものは、本棚に並べず、蓋を閉じて押し入れで安全に保管する。
きょう読むべき本だけ、目に入る本棚をつくろう。デスクの上にズラッと本を並べている方は、貴重な作業スペースを逼迫することになるので、デスク周りに本棚や三段ボックスを配置することを推奨する。
(整理収納アドバイザー米田 まりな)
[NIKKEIプラス1 2021年8月7日付]
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