おいしそう! 料理写真、スマホで上手に撮るコツ

SNS(交流サイト)に載せる画像の定番が料理やスイーツ。おいしそうな写真はフォロワー増にも効果てきめん。スマートフォンで上手に撮るコツをプロフォトグラファーらに聞いた。
写真を撮る際に大切なのが光の使い方だ。「撮影はできるだけ窓の近くの自然光が入る場所で。さらにレフ板を補助ライト代わりに使うと、際立たせたいところに明るさやツヤ感を出すことができる」。フォトグラファーの鈴木愛子さんはそう話す。
料理写真は料理に高さを出すと画面に立体感が生まれる。パンケーキならクリームや果物を上にのせたり、上からメープルシロップをかけて動きを出したりするのもいい。いずれも平面の写真に立体感や動きを出すことでイキイキとした写真になる。また料理の写真は被写体の正面から光が当たる「順光」ではなく、背後から光が当たる「逆光」や、横方向から光が当たる「サイド光」で撮影するのがいい。
「逆光やサイド光は撮りたいものの輪郭や質感がはっきり出るので、料理の撮影に向いている。フルーツのみずみずしさやソースのとろっとした感じなど、その料理のもっともおいしそうに見える部分を引き出すことができる」(鈴木さん)
カメラそのものの性能についても頭に入れておきたい。スマートフォンのカメラは通常のカメラと比べて、レンズが広角気味になっている。広角レンズは広い範囲を撮影できて多くのものを写すことができる一方、「撮る必要のないものまで映り込む」欠点もある。
そのうえ、広角レンズは写真にゆがみが出やすい。高さのあるグラスなどを撮影するとゆがみが分かりやすい。鈴木さんは「スマホで撮影するときはややズームで望遠にして撮るようにすると、ゆがみのない美しい写真になる」とアドバイスする。
また背景をあえて映し込みたいときは、ポートレートモードで撮るのがおすすめだ。多くのスマホに搭載されている同モードなら、背景がふわっとぼやけるので雰囲気のある写真になる。

照明を落とし気味にした店で料理を撮るときもあるだろう。このときスマホが内蔵しているフラッシュは使わないほうがいい。フラッシュを使うと確かに明るくは写せるが、のっぺりとして質感のない写真になってしまう。またスマホのカメラにはオート露出機能がついているので、逆光で撮影するとカメラが「光が多すぎる」と判断し、被写体が暗くなってしまうことがある。こうした明るさの調整に悩むときは手動で露出を調整するのがいい。
iPhoneのカメラなら、撮りたいものにピントをあわせて画面をタップすると、黄色い枠が表示される。その枠の隣にある太陽のマークを上にスライドさせると明るく、下にスライドさせると暗くできる。「機種によってさまざまだが、アンドロイドでもこのような露出機能は大抵備えている」(鈴木さん)
いい写真が撮れたら多くの人に見てほしい、という気持ちになるだろう。さまざまなSNSの中でもインスタグラムは写真を中心とした投稿で人気だ。自己流で写真を撮るだけでなく、いろいろな人の写真を見てそれをまねるのもいい練習になる。
料理インスタグラマーとして11万人を超えるフォロワーがいるnao_cafe_さんは、料理の見た目やスタイリングにこだわって撮影している。「器やテーブルクロスはできるだけ白でまとめ、そこに緑のハーブや赤いイチゴ、ベリーなどをアクセントに添えると映える写真になる」。色が多すぎると画面がうるさくなるので「料理を引き立てるよう花やグリーン、フルーツを効果的に使う」。
撮影した写真はすぐにアップせず、確認することも大切だ。加工や補正機能を使う人も多い。nao_cafe_さんもインスタグラムの色補正機能を使っている。「器などの白をきれいに見せたいときは青みを少し強くするといい。ただ、写真を見直すと色を鮮やかにする『彩度』を過度に上げがち。不自然な写真になるので注意して」
ただ撮るだけではなかなか「いいね!」がつく写真にはならない。ポイントを押さえ、日常のひとコマが切り取れるような「写真の達人」を目指そう。
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構図決めに「グリッド」活用

写真を撮るときはただシャッターを押すのではなく、まず構図を考えよう。人と差がつく写真を撮るには「3分割法」を意識するといい。写真の縦横をそれぞれ3分割し、その交わる点に被写体を合わせる構図のことだ。被写体を真ん中に入れる「日の丸構図」は平凡な写真になりやすい。
最近のスマートフォンには「グリッド」機能があり、簡単にこの3分割法を表示できる=写真。iPhoneなら「設定」→「カメラ」で「グリッド」をオンにすると、画面に3分割の線が表示されるようになる。
(ライター 藍原 育子)
[NIKKEIプラス1 2021年7月24日付]
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