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リハビリ、ロボットが手ほどき 記者が装着し体験

病気やケガによる障害を持つ人のリハビリテーションを支援するロボットが、本格的な実用段階を迎えようとしている。玉川大学(東京都町田市)が開発中の装着型ロボットは、身のこなし方を患者らに手ほどきする機能を持つ。トヨタ自動車は今秋、全国の病院で下半身まひの人の歩行練習を補助するロボットの臨床試験に乗り出す。政府が6月に発表した新成長戦略に盛り込まれた「ロボット産業」の中核事業の一つとして、リハビリ支援ロボットに対する期待が高まっている。

記録した動きを再現する玉川大が開発中のリハビリ支援ロボ。記者が装着し体験した

記録した動きを再現する玉川大が開発中のリハビリ支援ロボ。記者が装着し体験した

玉川大の福田靖教授(情報工学)らが開発したのは、右腕に装着するロボット。障害によって長期間、腕を自由に動かせなくなった人に、正常な動かし方を教えて機能回復に近づける役割を担う。

記者が実際にロボットを装着して、ボクシングのジャブの動きを体験した。すると右腕や肘を意識的に動かさなくても、肩から手首にかけての部分に取り付けられたアルミ製フレームに誘導され、スムーズにジャブが繰り出された。

健常者があらかじめ記憶用ロボットを装着し、関節の曲がる角度や腕の向きなどのデータを収集。そのデータを別のロボットに移し、右腕が不自由な人が装着し動きを再現する。装着型ロボットの多くは、使用者の力を補って重い荷物を持ち上げたり運んだりするのを支援する「パワーアシストスーツ」と呼ばれるタイプだ。記憶された身のこなしを、ロボットが装着者に教えるタイプは珍しいという。ひじを水平方向に上げて曲げ伸ばしできるなど、よりリアルに人間の関節の動きを再現するのも特徴だ。

福田教授らは左腕用と足用のロボットの開発にも取り組む。5年後の実用化を目指し、近くリハビリ施設で実証実験を始める。福田教授は「和太鼓など伝統技術の伝承やスポーツでの活用にも道を開きたい。製造現場の事業継承にも応用したい」と話している。

トヨタは、自動車製造で培ったセンサーや制御技術などを応用し、医療・介護向けロボットの開発に力を入れている。藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)と組み、下半身がまひした患者向けに歩行練習を補助するタイプと、立った姿勢で体のバランス感覚を養うタイプの2種類のロボットを開発した。今秋から全国20以上の医療機関に有償で提供する計画だ。

業界をリードしているのがロボットベンチャーのサイバーダイン。同社の装着型ロボット「HAL(ハル)」は脳から筋肉に送られる微弱な信号を捉えて動作する。HALは福祉機器として、2013年度末時点で全国の162施設に導入され355台が稼働中だ。臨床研究を進めており、「早ければ年内にも医療機器の承認を申請する」(宇賀伸二取締役)。

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構は、寝たきりの高齢者らを移動させるなどの介護補助用を含む介護・福祉ロボットの市場規模を2015年は167億円、35年には4000億円強に拡大すると推計している。ロボットの急速な普及は、患者の機能回復の促進や理学療法士らの負担軽減など、医療現場に大きな変革をもたらすだろう。

(映像報道部 近藤康介)

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