2017年11月20日(月)

チリ、敗れてなお強し ビエルサ氏の「遺産」脈々

2014/7/6 3:30
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 「敗れてなお強し」の賛辞がチリにはふさわしい。4年前と同じベスト16で敗退、同じブラジルに道を阻まれた。しかし今回はPK戦にまで追い詰めたし、1次リーグでは前回敗れたスペインにも雪辱して敗退に追い込んだ。「我々は(相手にとって)危険なチーム」と自負していたサンパオリ監督(54)も胸を張れるだろう。

 遡ること4年。南アフリカ大会のチリは激しい攻撃の姿勢で見る者を心躍らせるチームだった。率いていたのは元アルゼンチン代表監督でもある知将ビエルサ氏。寝ても覚めてもサッカーしか頭にない「変人」として敬愛されているこの監督は、チリに攻撃のスタイルを植え付けた。3―4―3とも受け取れる独特の布陣、あらゆる方向から浴びせるプレス。「垂直的な攻撃」と称される、縦に突く鋭い攻め。前線へ次から次へと選手が飛び出す。

指示を出すチリのサンパオリ監督

指示を出すチリのサンパオリ監督

 ビエルサ氏は南ア大会後の2011年に退任したが、1人挟んで2012年12月から後を継いだのが同じアルゼンチン生まれのサンパオリ監督だった。スキンヘッドのこの人、チリ国内クラブにリーグ優勝を3度もたらした実績を持つが、ビエルサ氏を敬愛し、風変わりなまでの熱意は先輩に劣らない。

 30代はビエルサ氏の記者会見を録音したテープを聴きながらジョギング。40代は憧れの人が指揮するアルゼンチン代表がどんな練習をするのか見るべくブエノスアイレスまで出向き、双眼鏡片手に遠く離れたところからでも食い入るように見入って……。

 こうなると、チームのDNAが受け継がれるのも自然な成り行き。サンパオリ監督が就任してからチリはW杯南米予選を5勝1分け1敗、3位でブラジル行きを決めた。

 今回のチリがビエルサ時代とまるきり同じわけではない。過剰なまでの攻撃色は薄れた。それでも激しいプレスや縦への鋭さなど、エッセンスは残っている。4年前も代表メンバーだったFWサンチェスがDFとMFの間のスペースでボールを収め、それを合図にしてMFが突撃する。これでスペインを撃破し、ブラジル戦でも延長終了間際にバーをたたくシュートで王国を慌てさせた。

 高さがないのが泣きどころで、ブラジル戦のGKを除く平均身長は173.8センチと、セットプレーは弱点となる。だが中盤のディアスとアランギスは90分間に換算してそれぞれ12キロ、11.6キロも走っており運動量は大会トップクラス。サンパオリ監督の掲げる「インテンシティー(強度)」「ファイト」を体で示したチームだった。

 ビエルサ氏は世界で多くの追随者を生んだが、今大会のチリも、敗者であっても追随チームを生み出すのではないか。同じく長身選手に恵まれないアジアの関係者が、次は双眼鏡を片手にサンパオリ氏の練習を見に行くのかもしれない。

(岸名章友)

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