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スコアアップ工房 グリップの常識覆す? 極太「スーパーストローク」

クラブデザイナー 喜多和生

先日、中嶋常幸プロがパターのグリップ交換を頼みにきました。中嶋プロはこれまで長尺パターを使っていましたが、2016年から長尺パターのアンカーリング(胸、腹などでクラブの一部を固定して打つこと)が禁止されるのに伴い、通常の長さのパターに切り替えようとしています。その準備として、新しい試みをしたいというのです。それは"極太グリップ"としてツアーで人気の「スーパーストローク」を挿してほしい、というものでした。

太さが同じ、右手の動き抑える

スーパーストロークの人気は米ツアーから火がついて、今年の国内ツアーでも使っている選手が目立つようになりました。その影響で一般ゴルファーの間にも広がりつつあります。

特徴の第1は、右手と左手のグリップの太さが同じになるパラレルであることです。これまでのパターグリップは手元が太く、先が細くなるテーパーがついているのが当たり前でした。このため、どうしてもボールを打つ際に右手を使いがちでした。

ところが、スーパーストロークはパラレルであるため、右手の動きを抑えてくれます。これが手首の余計な動きを抑えてくれるということで、パッティングに悩むゴルファーが注目したわけです。

グリップの口径を太くして、手首の動きを抑えようという発想は以前からありました。しかし、いつの間にか姿を消してしまいます。その理由は大口径にするとグリップ重量が100グラム以上もあり、パターのバランスが崩れてしまうからです。ところがスーパーストロークは58グラムから100グラム以下と極めて軽量に仕上がっています。このため、バランスを崩さずに極太グリップを装着できるわけです。これが第2の特徴です。

そして私が感心したのは、ちょうど握ると手にほどよく収まるグリップのデザインです。断面図がちょうど野球のホームベースのようになっていて、両手の親指が収まる正面と側面、裏面のつながり具合が絶妙なのです。グリップ表面も適度に粘着性コーティングが施されているので、手になじむ感じも抜群です。

パターに装着、初めてよさ実感

こうした要素が組み合わさったスーパーグリップですが、最初見たときにはそれほどよくできているとは思えませんでした。実際にパターに装着して、初めてそのよさを実感した次第です。

ちなみに前回まで中嶋プロからの要望は「グリップの正面を裏面にして装着してほしい」というものでした。プロは正面の平らな部分に両指と手のひらがひっかかるようにすることで、パターのフィーリングを出そうとしているのです。これは中嶋プロならではの感性といえるでしょう。

今回は通常の入れ方で、色々トライしているようです。

パッティングの繊細なタッチを出すには、両手の感覚を生かせるようなテーパーのついたピストル型がよい、というこれまでの"常識"を覆すグリップになるかもしれません。

 きた・かずお 1966年ミズノに入社、クラフトマンとして中嶋常幸、鈴木規夫、岡本綾子らトッププロのクラブを手がけた。90年にゴルフクラブ工房の「ジョイメニィー」を設立。「クラブがスイングを創る」をテーマにプロ担当経験を生かし、アマチュア向けクラブも製作する。92年に製作したドライバーがクラフトマンモデルとしては世界で初めて、英セントアンドルーズゴルフクラブにあるR&A(ロイヤル&エンシェント)のゴルフミュージアムに展示されている。

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