米エバーノートCEOもうなる女子高生「ITのチカラ」

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2014/6/12 7:00
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■課題を解決できる大人へ

「ティーンエージャーに起業論?」と思う向きもあるかもしれない。しかし、同学院は起業を意識するのは早いに越したことはないとの価値観を貫く。文化祭での起業体験もその一環。米エバーノートのリービンCEOを講演に招いたのも、ITと起業の両方の切り口でぴったりの企業人の考え方や生き方に生徒を触れさせるためだ。

生徒たちはクラウドサービス「エバーノート」で情報を共有し授業や課外活動に役立てている

生徒たちはクラウドサービス「エバーノート」で情報を共有し授業や課外活動に役立てている

リービン氏はシリコンバレーからアジア出張にやってきたその足で来校した。初めての女子校訪問とあって当初は緊張気味だったが、女子高生の明るい出迎えに一気に笑顔を取り戻した。ベンチャー企業トップとしてエバーノートが3社目という同氏は、自らの歩みを振り返りながら、生徒たちに起業論を語りかけた。

「ニューヨークで通っていた高校は、科学教育に特化した非常に厳しい学校だった」。優秀な同級生ばかりで劣等感にさいなまれる毎日。しかし、その後進んだ大学や大企業では、楽勝ともいえる心地よい環境で、むしろ退屈でやる気をそがれる生活に陥ったという。そんな原体験が同氏をベンチャーの世界に向かわせたと話した。

リービン氏が伝えたのは3つのメッセージだ。「自分より優秀な人々がいる環境に身を置くこと」「一生つきあえる親しい友人との関係を育んでほしい」「あったらいいな、と思うものを自分自身のために創り出すべき」。若い生徒たちはCEOの言葉にそれぞれが刺激を受けていた。

一方、リービン氏のほうも女子高生以上に興奮気味だった。生まれたときからネットが身の回りにあった「デジタルネーティブ」の彼女らは、あたかも呼吸をするようにIT機器やソフトを使うがゆえに、大人から見るとはっとするような発想も少なくない。同氏は「僕の方がとてつもなくインスピレーションを受けた。普段若いユーザーの考え方に触れる機会は少ないので、とても有益だった」と話す。

「女子高生の力が日本の次の成長戦略になるかも」とリービン氏は話した

「女子高生の力が日本の次の成長戦略になるかも」とリービン氏は話した

漆校長は言う。起業マインドとは必ずしも会社を興すことを指すのではなく、社会に出たときに責任ある大人として周囲のために振る舞えるかの素養である、と。

「道の真ん中に大きな丸太が転がっていたとして、不平や文句を言うだけではダメ。危ないから丸太を切ろう、力を合わせて移動しよう、というように周囲を巻き込んで課題を解決していける大人になれるかどうかが問われている」

ネット頼みだと何でもすぐに検索するから思考力が乏しくなるうえ、交流サイト(SNS)漬けで実社会でのコミュニケーション能力が欠如する、はたまたプログラミングもできるぐらい使いこなせなければ国際競争に取り残される――。ネットと教育をめぐるそんな神学論争があるのも事実。しかし、日本発のイノベーションの必要性が改めて叫ばれ、あらゆるモノがネットにつながる変革が起きつつあるなか、ITと起業に振り子をふった教育現場の行方は長い目で見極めてみたい。

(映像報道部 杉本晶子)

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