「カワイイ」にくぎづけ 動物を魅力的に撮るコツ
動画で解説 ちょっと良くする写真術(3)
全国の動物園では春の出産ラッシュで生まれた動物たちが、かわいらしい姿を見せ始めています。写真撮影のコツを日本経済新聞の報道カメラマンが動画で解説するシリーズの3回目は、動物やペットを魅力的に撮る方法です。ホームページに動物写真を数多く掲載している動物園で、飼育員の方と子ザルなどの撮影に挑戦しました。再生マーク付きの写真をクリックすると動画が始まります。
※動画はパソコンか、スマートフォンやタブレットのブラウザー版(電子版モバイル)でご覧ください。
ライオンは迫力の瞬間
東京都日野市にある多摩動物公園は緑に囲まれた丘陵地帯にあり、都会の騒音とは無縁の世界。上野動物園の約4倍の広さ52.3ヘクタールに「アジア園」「オーストラリア園」「アフリカ園」「昆虫園」の4エリアがあり、約320種類の動物を飼育している。なかでも放し飼いにされているライオンを間近で見られる「ライオンバス」は50周年を迎えた今も人気ナンバーワンのアトラクション。エサの骨にかぶりつく瞬間はまさにシャッターチャンスだ。

多摩動物公園ではホームページに園の最新ニュースを掲載している。写真や記事を担当するのは、日々動物たちの世話をしている飼育員たち。フクロウや猛きん類を担当する2年目の飼育員の中島亜美さんは、これまでに約10本の記事を担当した。しかし「動物たちのかわいらしさがなかなか伝わらない。ホームページを見た人が実際に見に行きたいと思ってもらえるような写真が撮りたい」と、これまでの出来には満足していない様子だった。
思ったとおりに動いてくれない動物たちが相手では、撮影技術やカメラの機能を駆使しても狙い通りの写真はなかなか撮れない。野生動物の生態を追うカメラマンは、何カ月も厳しい環境の中で待ち続けることもある。そこまでではなくとも、人間の意図などお構いなしで気まぐれなのはどこの動物も同じだ。
大切なのは動物への愛情

決定的なシャッターチャンスを作り出すために有効な手段の一つが、エサや小道具で動物の気を引いてみること。動物園ではエサをやる時間などが狙い目になる。事前に時間をチェックして撮影に備えたい。またサルなどの場合、毛繕いしている時もチャンス。周囲への警戒が和らぎ、リラックスした表情や何かに集中した姿を捉えやすくなる。
動物の「カワイイ」姿を撮るうえで、何よりも肝心なのは被写体に愛情を持ち、根気強くチャンスを待つことだ。動物の警戒心がなくなるように、普段から動物との距離を縮めておくことが大切になる。飼育員の中島さんが自ら世話をしているオオコノハズクを撮った写真では、どことなく打ち解けた表情を見せていたように思えた。

ペットの場合、飼い主との距離感は近いはず。動物と同じ目線で低い位置からカメラを構えたり、チャームポイントの一部分をアップにしたりして撮影すると写真に変化がつけられる。詳しいシャッターチャンスの狙いどころは、ぜひ動画でご覧ください。今回の「ちょっと良くする写真術」を生かして、ご家庭のペットのチャーミングな写真を増やしてください。
(映像報道部兼写真部 斎藤一美)
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