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人生初、パットに悩む宮里藍 日本で復調のきっかけ

ゴルフライター 川野美佳

5月26日付のロレックスランキング(女子ゴルフ世界ランキング)で宮里藍は43位まで順位を下げた。昨年の今ごろは9位だったことを考えると隔世の感を禁じ得ない。

今季、藍は米女子ツアー9試合に出場し予選落ちこそ1試合だが、シーズンベストは起亜クラシックの24位で獲得賞金は4万9268ドル(約500万円)。賞金ランクは70位と日本のエースらしからぬプレーが続いている。

パットのランク、予想外の3桁順位

どこが藍らしくないかといえば、部門別ランク1位の常連で、世界ランク1位の朴仁妃(韓国)に「お手本にしている」といわしめたパッティングの不振。1ラウンドの平均パット数は28日現在30.88で113位、パーオンした際の平均パット数は1.882で124位と予想外の数字が並んでいる。

平均パット数1位の朴が28.91だから1ラウンドで2ストローク近い差があり、単純計算すると3日間で6打、4日間なら7~8打の差がつく計算になる。これではいくら正確なショットで鳴らす藍も勝負にならない。

特に1メートル以内の短いパットを外して3パットをたたく場面が目立っており、藍本人も「人生で初めてパッティングに悩んでいる」と打ち明けている。

パター替え、ストロークに微妙な狂い

そもそも不振の原因が「(昨年)パターを替えたことにあるのでは?」と指摘するのは、技術面のコーチである父・優氏だ。

2008年のカパルア・クラシックから使いはじめ、米ツアー通算9勝のすべてを紡ぎだしたパターのロフト角が移動中に狂うアクシデントもあり、昨年のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン出場のため帰国した際、同じメーカーの新モデルを試したところ「フィーリングが良い」と即座に使用を決断。すると大会初日、パター交換が功を奏して首位タイと好調な滑り出しをみせた。

「だがパターの長さが合っていなかった。1インチくらい長かったためにストロークが微妙に狂い始めた」と優氏。結局その試合では、最終日序盤のチャージで一時2位以下に4打差をつけ独走態勢に入りながら、15番でまさかの4パットを演じ、イ・ナリ(韓国)に逆転負けを喫している。

4パット、精神に深く静かなダメージ

4パットはときにゴルファーにとって致命傷になる。米ツアールーキーだった06年、ある試合の最終ホールで4パットした藍は「消えてなくなりたい」ほどのショックを受け、深く落ち込んだ経験がある。

そのときは「結果はどうあれプライドを持ってプレーしなさい」というピア・ニールソンコーチのアドバイスで気持ちを切り替えた。だが、ミヤギテレビ杯での4パットは「ショック」というより、不意打ちのボディーブローのように、藍の精神の部分に深く静かなダメージを与えたのかもしれない。

「モチベーションが上がっていない」

開幕前、優氏は娘の精神状態を憂えていた。その上、今まで何も考えなくても入っていたショートパットが決まらない。調子が上がらないまま、シーズンは中盤戦に入ろうとしている。

「結果以上に内容良く次につながる」

しかし、最近の藍は結果が出なくても常にすがすがしい表情で「ゴルフの調子は悪くないので……」と繰り返し、達観したように手応えを口にする。盛んに優勝争いをしていた頃の険しさのない、キラキラ輝く美しい笑顔で。

もちろん良いゴルフをしても結果につながらないことはある。逆に調子が悪いのに結果が出ることもある。18歳のときアマチュア優勝を飾ったミヤギテレビ杯がまさに後者だった。

「今は自分がやりたいことをコースでやり切れているかが勝負。結果以上に内容が良いので次につながると思います」と本人が語ったのはキングズミル選手権(5月15~18日)で50位タイに終わったときのこと。

その前週に一時帰国して出場したワールドレディース・サロンパスカップで久々にトップ10入りし、「日本のグリーンできっかけをつかめた」と吹っ切れた表情を見せたが、今度こそ藍の言葉を信じてよいのだろうか。

まずはショートパットに自信戻れば…

優氏は言う。「サロンパスの前週、沖縄で藍のラウンドをチェックした。ショートパットのストロークにスムーズさがないというか、自信のなさから躊躇(ちゅうちょ)している雰囲気が見てとれた。そこで60~70センチのショートパットを"目をつぶっても入る"くらい打たせた。そこを百発百中に持っていくことで"これくらいアバウトに打っても入るんだ"という自信を持たせたかったのです。サロンパスではスムーズさが出ていたように思う」

ショートパットに自信が戻れば、ロングパットにかかるプレッシャーも軽くなる。「1メートル以内は必ず入る、と思えればロングパットが多少オーバーしても怖くない。思い切って狙っていける。流れがつくれるのです」(優氏)

日本できっかけをつかんだ藍が、来るべきメジャーシーズンに向け、好調なショットにパットをどうかみ合わせていくのか? しばらくはお手並み拝見といったところ。藍の調子が上がれば、ここまで米女子ツアーでいまひとつの日本勢の士気も上がってくるに違いないのだが、果たして……。

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