W杯頂点を目指して 魔球「無」から「縦」へ(ルポ迫真)

2014/5/23 3:30
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「60点やな」。2012年12月、ロシアから一時帰国していたサッカー日本代表、本田圭佑(27)は辛口だった。契約するミズノが試作したスパイクを埼玉スタジアム(さいたま市)で試し履き。足のフィット感などに注文をつけた。

本田のスパイクはFKのボールに強い縦回転をかけられる

本田のスパイクはFKのボールに強い縦回転をかけられる

10年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で世界に衝撃を与えた本田の「無回転」のフリーキック(FK)。回転をかけずに蹴ったボールは左右にぶれながら落下し、ゴールキーパー泣かせの弾道となる。ただ、弱点も。「軌道が読めない分、ゴールから外れる可能性もある」。前回大会を終え、本田の意見を受けて開発に着手したのが「縦回転」用のスパイクだ。ボールをこすり上げるように蹴り出すFKは、守備側の頭を越えて急落下する。

「縦回転のためのスパイクはおそらく世界初」。ミズノの開発担当、吉田陽平(29)は胸を張る。本田の脚の振りの速さや足首の角度を筑波大のロボットに再現させ、4台のカメラで計測。十数種の靴を試作し、実際に履いてみた本人の駄目出しをもとに形状などを調整。「前のスパイクを超えた」と本田も満足する自信作は昨年市販されすでに18万足以上が売れた。ブラジル大会本番で本田は新色のゴールドのスパイクを履く。

アディダス製の今大会の日本代表のユニホームのテーマは和の象徴となる「円陣」。肩の上を横切るように蛍光色の赤線が描かれ、選手が輪になるとつながって円になる。「選手が気持ちを一つにする瞬間を描きたかった」。アディダスジャパンのユニホーム開発の責任者、石津大介(37)は話す。最初はデザインの意味が理解されず、ドイツ本社の了解がなかなか得られなかった。12年9月、石津は責任者を日本に招き、京都まで足を運び寺で座禅を組んだ。「(チームで一つの円を描くような)規律正しさが日本の文化だと理解してもらえた」(石津)

ただ、赤線を描くと塗料の分だけユニホームは重くなる。ほんの数グラムだが、1試合で10キロ以上走る選手には負担だ。ここで繊細なアパレル加工技術が生きる。約50パターンのデザインを試し、全体重量を前大会の96グラムを下回る90グラムに抑えた。中盤の要の遠藤保仁(34)は「デザインが明るくなって着心地がいい」。ニッポンのものづくりが選手の背中を押す。

(敬称略)

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