2017年11月19日(日)

不公平すぎる遺言、泣き寝入りしない「最低保障」

2014/5/25 7:00
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 父を亡くしたAさん(57)とBさん(55)の兄弟。父の残した遺言書には、自宅など「すべての財産を長男のAに譲る」と書かれていた。これに反発した弟のBさんは「自分も遺産を受け取れるはずだ」と、兄に向かって主張した。2人きりの兄弟なのであまりもめたくない。法律上はどう考えればいいのか。

 遺言書の中に財産の分け方が書いてあったとします。その内容がどうであれ、遺言を残した人の意思を尊重するというのが、法律上の基本的な考え方です。

 法律はその一方で、相続人(財産を受け取る側の親族)に対して最低限の権利を保障することも忘れていません。財産のうち一定の割合は遺族が相続できるように配慮してあげているのです。この部分を「遺留分」といいます。

 事例で仮にBさんが遺言に納得していれば、そのまま全財産はAさんが相続できます。それだけ遺言には重みがあります。現実には、Bさんはあまりにも不公平だと感じて分け前を主張しました。これもまた、遺留分を認めた法律と照らし合わせても、妥当なことと言えるでしょう。

 遺留分について法律は、受け取ることのできる割合を定めています()。例えば相続人が配偶者と子どもだけなら、遺留分として認められるのは配偶者が財産の4分の1、子どもが同じく4分の1です。子どもが2人以上いれば、その人数によって遺留分をさらに分けます。

 事例で兄弟の他に相続人がいないとすると、2人合わせた遺留分は2分の1。Bさんはこの半分、つまり財産の4分の1を受け取る権利があります。兄のAさんは、弟に要求された以上、財産を渡さないわけには法律上いかないのです。

 遺留分を巡って話がこじれたとしましょう。権利を主張する側としては、口頭で相手に伝えるだけでは証拠が残らないかもしれず心配でしょう。そこで、「遺留分減殺請求書」という書類を作って相手に送りつけることが可能です。

 請求権は、遺言が遺留分の権利を侵していることを知ってから1年以内か、亡くなってから10年以内であれば有効です。それでも相手が拒み続けるのであれば、裁判所の調停や訴訟に持ち込むしかありません。

 事例では遺言を書いた父親の配慮が欠けていたと言えるかもしれません。弁護士で、NPO法人の遺言・相続リーガルネットワーク事務局長の長家広明さんは「遺留分を侵害しない分け方を決めておくことが、後の相続トラブルを避けるために大切」と話します。

 表中の「法定相続分」について補足しておきましょう。遺言が残されていなかった場合に大きな意味を持つ考え方です。財産を相続人の間でどう分けるか、基本となる割合を規定しています。法定相続分のだいたい2分の1を目安に遺留分の割合は決まっています。

[日本経済新聞朝刊2014年5月21日付]

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