2018年6月20日(水)

毎月分配か再投資か NISAが問う投信選び

2014/5/9 7:00
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 「分配金は月5万円。買い物や旅行など趣味を楽しむ資金にしている」
 10本の投資信託を保有する都内在住の製造業OB(62)。このうち7本は、分配金を毎月もらうタイプだ。厚生年金を受け取っているが、趣味を楽しむにはもう少し欲しい。分配金を、年金の足しとして活用している。

 神奈川県の商社OBの年金生活者(73)が持つ米国株投信も、毎月分配型だ。そこから得る毎月の収入を「自宅のリフォームや新車の購入で預金が減った際、生活費の足しとして使う」という。

■毎月分配型が上位独占

SMBC日興証券本店の窓口で個人投資の説明を受ける女性(東京・丸の内)

SMBC日興証券本店の窓口で個人投資の説明を受ける女性(東京・丸の内)

 株式でいう配当にあたる分配金。全く分配をしない投信から毎月分配するものまで様々だが、いつでも買える非上場の株式投信のうち、国内の純資産残高で上位10ファンドはすべて毎月分配型だ。

 中には、元本を取り崩してまで分配金を支払うファンドもある。投資に回す元手が減り商品価値が下がってしまう恐れもあるが、安定して現金収入を得られることから、存在感は依然大きい。

 主要金融機関に少額投資非課税制度(NISA)での人気商品を聞くと、株式は武田薬品工業株、投信は不動産投資信託との答えが多い。共通するのは、配当額を株価で割った配当利回りの高さ。

 このことが示すのは、配当目的で投資を考える人が多い事実だ。根強い毎月分配型の人気も、そうした現状を映す。損になる心配があっても、毎月のお金が入るという心理的な安心感が、マネーを引き寄せている。

 しかし、足元では、変化も起きつつある。 横浜市に住む情報通信会社勤務の会社員(45)は昨年11月、毎月分配型の投資信託を売却した。そのお金で購入したのは年に1回しか分配しない日本株投信だ。「相場上昇時に毎月分配して資産が減ってしまうのは効率が悪い。長期の投資を考えたい」と考え始めた。

 評価会社モーニングスターによると、いつでも購入できる非上場の投信のうち、分配頻度が毎月でない投信への資金流入(購入から解約を引いた純額)が今年1月、毎月分配型への流入額(同)を上回った。両方とも純流入だった月としては、過去10年で初めてだ。

■未来の資産成長を優先

 分配金を抑えて利益を再投資すれば、その分運用の元手が大きくなる。運用で奏功すれば毎月分配型より資産を増やすことも可能だ。「今の収入より未来の資産成長」と考える人も増えてきた。

 今年始まったNISAは、そうした投資家の背中を押す。投資枠が年間100万円までのため、収益の最大化を狙うなら分配しない方が効果的だからだ。運用各社が「NISA向け」として設定する投信も、分配頻度の少ないものが中心だ。

 ただし、資産が成長する保証はどこにもない。「5年前から投資を始めたが、利益と損失の繰り返し」。岐阜県の自営業、須原章夫さん(35)は「毎月一定額を利益確定してくれると考えて」むしろ毎月分配型で運用する。ここ数年のリターンは6~15%。「活用の仕方次第」。そう柔軟に考える個人も出てきた。

[日本経済新聞朝刊2014年4月2日付]

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