沢村栄治は160キロ超? 往年の名投手の球速は…
編集委員 鉄村和之

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2014/5/12 7:00
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プロの世界でも投球フォームにばかり目がいって指のトレーニングを怠りがちだが、投球フォームがよくなったとしても指の力がないと、ボールがすっぽ抜けてしまって速い球は投げられない。

160キロ以上を
公式戦で記録した投手
クルーン(巨人)08年6月162
由規(ヤクルト)10年8月161
林昌勇(ヤクルト)09年5月160
マシソン(巨人)12年7月160

(注)所属は当時、単位はキロ

160キロ以上記録、公式戦で4投手

尾崎はあまりにも速いボールを投げたために、投球すると指の皮がむけてしまうこともあったそうだ。それだけ大きな力がかかっていたということなのだろう。「指というのは体の中の小さな部分だが、スピードボールを投げるには大きな決定権を持ってくる」と湯浅教授。快速球を投げたかつての名投手は指の力も強かったのではないかと、同教授は推測する。

ちなみに、79年にスピードガンで測った投手の球速が公表されるようになってから(導入は76年だったが数値は未公表だった)、これまで公式戦で160キロ以上をマークしたのはクルーン(巨人)の162キロ、由規(ヤクルト)の161キロ、林昌勇(ヤクルト)とマシソンの160キロの4投手。とはいえ、スピードガンで測った数値も球場によって違いがあり、球速が速めに出やすかったり、出にくかったりする。

湯浅教授が推定したのも、あくまでボールの初速。打者の視点に立って考えるならば、ボールの回転も重要だ。ボールは重力に引っ張られて落ちていくが、スピンの効いたボールは上方への力が生じて落ちにくく威力が増す。

記憶に残る体感速度は「175キロ」

同教授はかつて実際に対戦したことのある青田昇(巨人、阪急など)に依頼して、「スタルヒンのボールはこれだと思うものをいってほしい」とピッチングマシンを使って実験したことがあるそうだ。そのとき青田が指摘したボールは、なんと175キロぐらいだったという。あくまで記憶に残っていたボールだが、スタルヒンのボールはそれだけスピンが効いて威力があり、打者にとっては打ちにくかったということではないか。

かつての名投手の球速は、今となってはもうスピードガンで測りようがない。沢村の球速は130キロから140キロ程度だったのではという異論もある。だが、こうして科学の目で推論し、「沢村らはすごい快速球を投げていた」と信じる方が、夢が広がるのではないだろうか。

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