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「かけすぎ保険」を探せ 死亡保障や特約チェック

必要額を定期的に洗い出し

 消費税が5%から8%に上がって約1カ月。じわりと出費がかさみ、家計の節約を考えている人は多いだろう。手段は様々あるが、効果的な方法として専門家が挙げるのが生命保険の見直しだ。死亡保障の見直しだけで年間数万円の保険料を節約できることも珍しくはない。

「ウチの保険はこのままでいいのかな」。都内に住む会社員、高田智則(仮名、41)さんの長年の疑問だ。10年ほど前に大手生保で「割と充実した内容の契約をしたはず」だが、夫婦共働きで子どもなしの現在の生活スタイルに適切な内容かどうか分からないという。1年間の保険料は約20万円。「負担は軽くしたいが、保障を減らすのは不安」と迷う。

毎月支払う保険料を減らせれば、節約効果は続く。生命保険文化センター(東京・千代田)の調査によると、1世帯あたりの生命保険料(個人年金保険含む)は年間で平均41万6000円。金額が大きい分、下げられれば家計への貢献度が大きくなりやすい。

ファイナンシャルプランナー(FP)の内藤真弓氏は「内容を良く理解しないまま、保障が過剰な保険に加入している人は多い」と話す。保険は本来、不測の事態の際に貯蓄でカバーできないお金を補うのが目的。「保障はなるべく抑え、その分、貯蓄を積み上げるのが望ましい」(内藤氏)という。

では、保障が過剰かどうかをどう見極めたらいいのだろうか。例えば死亡保障は一家の大黒柱が亡くなった場合、残った家族を経済的に助けるためのもの。保険で備えるべき金額は「将来必要なお金」から「将来の収入」との差額となる(図A)。それぞれの金額が分かればおのずと決まる。

将来必要なお金は子どもが独立するまでの生活費や住居費、教育費など。生活費や住居費を計算するには現在の支出が手掛かりになる。教育費は子どもの進路によって違うが、文部科学省など各種の調査が参考になる。

住居費は持ち家があれば賃貸に比べ、大幅に減らせる。万が一のとき住宅ローンが残っていても、通常は団体信用生命保険によって、払わずに済むためだ。

勤め先の制度把握

一方、将来見込める収入では遺族年金が重要だ。「ねんきん定期便」などを手掛かりにある程度試算できるほか、年金事務所で問い合わせる方法もある。死亡退職金や弔慰金などの勤め先の制度も把握しておこう。「手厚い制度がありながら、気付いていない会社員は多い」(FPの田中尚実氏)ためだ。

残された配偶者の収入も考慮しよう。専業主婦がパートやフルタイムで働き始めるなら、見込み収入を計上する。預貯金や株式などの金融資産があれば、その分保障額は少なくて済む。

重要なのは保険を定期的に見直すこと。必要な保障額は家族の状況に合わせて変化するからだ(図B)。一般には子どもが生まれると必要保障額は増え、末の子どもが生まれたときがピークになる。子どもが成長するにつれ保障額は減り、独立後は大きな金額は必要なくなるのが通例だ。

必要な保障額は保険会社などのサイトでも試算できる。家族構成や支出の状況などを入力すれば、10分程度で結果が出る。ただし前提や精度にばらつきがあるので、参考値として使うのが無難だ。

保障額だけでなく死亡保障に付加した「特約」部分の見直しも考えよう。特に入院や病気に備えるものは「貯蓄でカバーでき、必要がない家庭は多い」と保険コンサルタントの後田亨氏は話す。

乗り換えで安く

必要額が現在の契約を下回れば、保障の減額を考えよう。減額できなくても、契約会社や商品を変えれば保険料を抑えられるケースは多い(表C)。

例えば30歳の男性が1000万円の保障が10年続く定期保険に入る場合、大手生保なら保険料は月2700円ほど。ところがインターネット専業の保険会社なら月1200~1300円と半額以下だ。

健康な人に対する割引がある保険なら、さらに安くなることがある。判断の基準となるのは喫煙の有無や血圧、肥満傾向など。チューリッヒ生命保険で割引が適用されれば、同じ条件で保険料は1050円で済む。

勤務先が社員などを対象に用意する団体保険も有力な選択肢になる。条件によっては実質的な保険料がネット生保より割安なこともある。

保険を乗り換える場合はこれまでの契約を解約せずに手続きを始めよう。新しい保険の契約時には病歴などを告知する必要があり、内容次第で契約ができないケースもあるためだ。(長岡良幸)

団体保険に切り替え保険料半分に


 都内に住む50代の男性会社員、沼田秀一さん(仮名)は昨年、生命保険を大手生保から会社の団体保険に切り替えた。その結果、月々の保険料は約1万6000円と、それまでの半分以下に減ったという。負担軽減に喜ぶ半面「もっと早く見直しておけば良かった」と反省する。
 沼田さんが加入していたのは「定期付終身保険」で三大疾病に備える特約などが付いていた。従来の終身保険は解約返戻金に見合う保障に切り替える「払い済み保険」にして新たな支払いを停止。それに伴い保障額が減ったり、特約がなくなったりした分を団体保険の死亡保障や医療保障でカバーすることにした。死亡時や入院時の保障はほとんど同じだという。

[日本経済新聞朝刊2014年4月30日付]

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