2018年12月19日(水)

素材や品質のバラツキ、クラブ調整妨げる難題
クラブデザイナー 喜多和生

(1/2ページ)
2014/5/1 7:00
共有
印刷
その他

ヘッドにいろいろな素材が使われるようになり、クラブ調整も難題が増えた

ヘッドにいろいろな素材が使われるようになり、クラブ調整も難題が増えた

アイアンの製造方法には大きく分けて「鋳造」と「鍛造」があります。「鋳造」は鋳型に金属を流し込んでクラブの形にするため、作業しやすく、取り出したままでも強度を保てるステンレスを使うケースがほとんど。一方、「鍛造」は鉄の丸棒を真っ赤になるまで熱して、高圧でプレスしてヘッドの形に打ち出します。

ステンレス以外でも「軟鉄鍛造」の表示

このため「鋳造」は低コストで均一のヘッドをつくりやすいのですが、素材が硬くてもろいため、ライ角やロフト角が調整しにくい欠点があります。逆に「鍛造」は製造に手間がかかりますが、素材が軟らかいため微調整できます。こうした事情から上級者向けのアイアンはほとんどが「軟鉄鍛造」と銘打っています。

フィッティングでライ・ロフト調整の依頼があったとき、以前は「ヘッド素材がステンレスならばできません。軟鉄鍛造ならできます」と回答してきました(ピンはステンレスアイアンでも自社工場で調整できるようです)。ところが最近、事情がちょっと変わってきました。ヘッドにいろいろな素材が使われるようになり、ステンレス以外の素材でも「軟鉄鍛造」と表示するメーカーが多くなったからです。

ネックに亀裂が入った

ネックに亀裂が入った

先日も「アイアンのライ角を1.5~2度アップライトにしてほしい」という依頼がありました。お客様には「2度以上曲げるとネック回りに亀裂が入るかもしれませんよ」と説明、承諾を得た上で作業にかかりました。

4番からピッチングウエッジ(PW)までは問題なく終わりましたが、アプローチウエッジ(AW)にとりかかったところ、それまでの力の入れ方では曲がりません。「これは硬い軟鉄鍛造」と判断して、少しずつ力を入れていきました。すると途中でピシッといやな音が……。ネックに見事に亀裂が入ってしまいました。ここまで亀裂が入るとプレー中に折れる可能性がありますから、お客様には状況を説明して使わないようにお願いしました。

4番からPWまではS25Cの軟鉄(S25Cには炭素が0.25%含まれている。この数字が大きいほど、硬くもろい)を使っていましたが、AWはクロムモリブデン鋼だったことが最大の原因です。クロモリ鋼はさらに硬くてもろいため、調整できる範囲が極めて少ないのです。

  • 1
  • 2
  • 次へ
共有
印刷
その他

ゴルフコラム

スコアアップヘ

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報