2019年9月18日(水)

携帯の過当競争、沈静化なるか 月次統計を中止

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2014/4/7 15:07
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 通信会社の業界団体である電気通信事業者協会(東京・港、TCA)が7日、1996年以来毎月公表していた携帯電話の契約数公表を3月末で打ち切ることを明らかにした。携帯電話会社の力関係を端的に示す指標として業界関係者だけでなく消費者も注目してきたが、今後は四半期ごとの公表に切り替える。
 背景にあるのが、契約数の数字を上げようとするあまり、大手各社による行き過ぎた販促合戦が横行したことだ。大手3社のスマートフォン(スマホ)契約者数は合計で約5千万件に達し需要が一巡。新規加入者の伸びが鈍化するなか、他社から奪うしかないとキャッシュバック(現金還元)の「ばらまき」が過熱。MNP(番号持ち運び制度)で転入すれば「家族4人で52万円をキャッシュバック」などとうたう販売店もあった。
 増えすぎたキャッシュバックで採算性の悪化を懸念した各社は、いびつな形で顧客を奪い合う商慣行を改めようと、3月末で高額キャッシュバックを一斉に終了。それに続き、競争軸となっていた契約数にメスを入れた格好だ。ただ、激しさを増す一方だった各社の競争が、これで沈静化に向かうかは不透明。別の指標を用いて再び激しい競争に突入する可能性も否定できない。

■横行していた水増し契約

「我々がこれまで競ってきたものはいったい何なのか、さっぱり分からないんですよ」――。ある大手携帯電話会社の社員は、自嘲気味にこうつぶやく。契約数の月次統計で自社を優位にするため、最近は実需とは無関係のところで契約数を大幅に積み上げる、事実上の「水増し」に手を出すことが、各社で常態化しているからだ。

水増しの手法は枚挙にいとまがない。「高額キャッシュバックを約束する代わりにデジタルフォトフレームなどを抱き合わせで買わせる」「1台で複数の通信方式に対応する携帯電話をメーカーに開発させ複数回線を同時契約させる」「予備用や子供用と称して複数台を一括契約させる」「解約希望者は基本料0円のプランに変更させ契約を続けさせる」――などだ。

携帯電話の販売店では、大手携帯電話各社による激しい競争が繰り広げられてきた

携帯電話の販売店では、大手携帯電話各社による激しい競争が繰り広げられてきた

いずれも、本来不要な携帯サービスを売りつける利用者本位の視点を失った販促といえよう。水増しが目立ってきたのは2010年前後。デジタルフォトフレーム、モバイルルーター、子供用ケータイなど端末が多様化したのがきっかけだ。当初はこうした新型端末の需要を喚起しようと月額料金を割り引くなど合理的なキャンペーンだったが、いつしかこれが、販売店で契約数を稼ぐための商材という位置づけに変質。「箱から出さずに押し入れにしまっておいても大丈夫です。使わなければ一切無料ですから」など、本末転倒なセールストークを販売店の店頭で頻繁に耳にするようになった。

いびつな商慣行がまかり通ったのは販売店だけが原因ではない。契約数が順調に伸びれば「多くの利用者から支持を集めている」と宣伝効果が期待できると考える携帯電話会社の思惑が働いている。例えばソフトバンクの孫正義社長は四半期ごとの決算説明会で「純増数ナンバーワン」を繰り返しアピール。投資家もその言葉に踊った。KDDI(au)も同様。MNPによる転入超がトップを続けていると広告でうたい、消費者の関心を誘おうと必死だ。NTTドコモも契約数の「一人負け」を止めようとスマホの割引を拡大するなど、各社とも契約数を重視するあまり、契約数に経営が振り回されるようになっていった。

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