2019年7月17日(水)

ポーランドで輝く日本の平和主義の価値
編集委員 太田 泰彦

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2014/4/6 7:00
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なぜか個人的にポーランドに縁がある。米ソの冷戦構造が崩壊する以前、日本の大学で物理化学を学んでいた20代の学生時代に、ポスト・ドクターの研究員として同じ研究室にポーランドの若い学者が所属していた。当時の文部省の科学技術交流プログラムの一貫だったのだろう。彼の仲間が学内のあちこちの理科系の学部や学科に大勢いた。ポーランド人留学生の集まりに呼ばれたり、化学実験のやり方や大型コンピューターを使った計算法を教えてもらったりしたことを覚えている。そのおかげで、それまで大して興味がなかったポーランドという国を身近に感じるようになった。

■東洋人への偏見を感じず

ポーランドの街のたたずまいは、しっとりとしていて、どこか懐かしい気分すらする

ポーランドの街のたたずまいは、しっとりとしていて、どこか懐かしい気分すらする

なぜポーランド人の研究者がこれほど多いのか。そのときは想像もしなかったが、今ならば分かる。ポーランド人が大の「日本びいき」だからだ。研究業績を上げる夢を抱く若い科学者たちは、科学技術の先進国である日本に来て、整った設備と優れた指導者の下で研鑽を積みたかったのだ。

大学を出て新聞記者になってからも、何人ものポーランド人と知り合った。その多くは若い女性である。街で見かける日本人と外国人の男女のカップルといえば、ほとんどの場合、日本人の女性と外国人の男性の組み合わせではないだろうか。世界では日本人の男は人気がないらしい。しかし、相手がポーランド人の場合は、ちょっと話が違うようだ。男性が日本人、女性がポーランド人の夫婦を多く見かける。しかも、とても仲がよい。ちょっと、うらやましくなる。

番組の中では、親日国ポーランドの素顔を示す数々の衝撃的な逸話と映像を、現地に赴いた取材班が、こってりと紹介する。詳しくは放送を見てほしいが、親日である理由を一言でいえば、人間同士として気が合うからだろう。取材でポーランドを訪れる機会がこれまで何度かあったが、見知らぬ土地を訪れた日本人が感じることが多いピリピリした緊張感や違和感を少しも抱かなかった。たとえば旅行者としてイタリアに行けば、人々の明るさや、大ざっぱさに驚かされたり、呆れたりすることが多いかもしれない。中国を訪れれば、道路の混雑ぶりや、地元の人々の声の大きさにびっくりする場合もあるだろう。ポーランドにはその「衝撃」がない。人々の所作が荒っぽくなく、顔つきも怖くなく、街のたたずまいが、しっとりとしていて、どこか懐かしい気分すらするのだ。何よりも日本人や東洋人に対して、偏見や差別意識が感じられないのが、心地よい。

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