2019年9月15日(日)

始球式は何のため? 球界のためでしょ

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2014/3/23 7:00
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歴史を知るにつれ、つくづく有名無名の先人たちの努力なしにプロ野球の誕生や発展はなかった、という思いを強くする。

10日の試合では、巨人が沢村さんの背番号14、阪神が西村さんの背番号19を全員でつけた。野球界の歴史を継承していくためにはいい機会だった。始球式とは本来、そういう意味を持つべき儀式なのではないだろうか。

広澤克実氏

広澤克実氏

陰の功労者の記録と記憶に光を

加えて、沢村さんたちのような名を残した人だけでなく、無名ではあるが野球界に貢献した人による始球式も、私は提案したい。

プロ野球に入ったものの戦時下で満足に野球をすることもできないまま戦争にとられ、亡くなった選手たちもたくさんおられたに違いない。こうした陰の功労者たちの記録と記憶も伝えていきたい。

また、前述の日本運動協会や天勝野球団の選手は存命ならば100歳を超えているので、ご本人というわけにはいかないだろうが、子孫の方なら探せるのではないか。日本プロ野球の"元祖"の子孫による始球式が実現したら、どれだけ素晴らしいことだろう。

ユニホーム組だけではない。たとえば日本の野球の聖地の一つである甲子園球場を造ったときの工事の現場監督のお孫さんによる始球式、なんてものがあってもいいのではないか。

15年、第1回全国中等学校優勝野球大会が豊中球場で行われ、参加10チームで争われた。今シーズンの甲子園での始球式はこの10校の選手の子孫や関係者が行う、といった企画もいいだろう。せっかくの機会なのだから、10日の試合だけではなく、今年1年、歴史を振り返る年にしてはどうだろうか。

球界には球界のレジェンドあり

有形・無形の歴史遺産こそ、野球界が誇るべきものなのだと私は思う。近ごろ各球団も歴史の重みに気がつき、昔のユニホームで戦う「クラシックシリーズ」などを企画している。目先の集客だけを考えるのでなく、自分たちの歴史を見直し、大切にすることが「次の80年」のために必要だろう。

今週末はいよいよ開幕。近年の始球式は時の人気者を呼ぶ風潮があるので、今年ならソチ五輪のメダリストらが引っ張りだこだろう。冬のヒーロー・ヒロインやレジェンドはプロ野球に花を添えてくれるはずだし「あの感動をもう一度」も悪くないが、野球界には野球界のレジェンドがあることも忘れずにいたい。

(野球評論家)

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