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キャロウェイCEO「ものづくりの原点に回帰」

独創的な製品群を送り出してきたキャロウェイゴルフが「ものづくりの原点に返る」ことをテーマとし「ビッグバーサ」シリーズに、新たなラインアップを加えた。今なぜ原点回帰なのか。2月のゴルフフェア(東京ビッグサイト)で来日した、チップ・ブリューワー・キャロウェイゴルフ米国本社CEO(最高経営責任者)に尋ねた。

新しいビッグバーサは「ブランド再活性化のための切り札」と語るチップ・ブリューワー・キャロウェイゴルフCEO(2月14日、東京ビッグサイトで)

インスピレーションを大事に

――新しいビッグバーサに込めた思いとは。

ビッグバーサはキャロウェイの代名詞というか、ほとんどイコールの存在といっていいでしょう。ゴルファーにとっても熱い思いを寄せられる方々が多い。2年前にキャロウェイに入り、今のポジションについたとき、私はどうすればこのブランドを再活性化できるのか、チームと話し合いました。その1つの解決策が、ビッグバーサを最適のタイミングで投入することでした。

消費者調査によって、みなさんがビッグバーサに特別な思いを寄せていることはわかっていました。ただ同時に、このプロジェクトを成功させるなら、新しいエネルギー、テクノロジーを付加しなければならないということもわかりました。オリジナルのビッグバーサは非常に画期的なもので、ほかとは全く違うものでした。その基準が満たされないのなら、世に出すべきではないという結論でした。そのためには優れたテクノロジーが必要でした。研究開発チームとの面談の結果、2つの画期的なテクノロジーを持っていることがわかりました。

ニュートンはインスピレーションを重んじる社風の象徴

1つは「ビッグバーサ ドライバー」の「ペリメーターウェイティング」でドライバーヘッドの背後に水平に動かせる重りをつけました。もう1つは「ビッグバーサ アルファ ドライバー」の「グラビティーコア テクノロジー」です。こちらは縦の、つまり上下の重心を調整できます。

こうした発想は他社を含めてあったのですが、実現できなかったものです。ドライバーテクノロジーという分野でキャロウェイがいち早くリーダーになるためにはこの技術が必要だと判断しました。プロジェクトの歳月でいうと、1年などという短いものではありません。キャロウェイの何十年という研究開発の歴史のなかで培われてきた成果です。ペリメーターの技術は2004年の特許技術です。そういった多種多様な技術が詰めこまれているので、ビッグバーサの名にふさわしく、市場の他の製品とは一線を画すものと考えています。

――現物を見ると、今までどうしてなかったのだろうと思われるほどだが、これに気がつくということは大変なことかもしれない。

弊社のブースにいくとリンゴを持ったアイザック・ニュートンがいます。彼は落ちるリンゴをみて「あっ」とひらめいて、重力に着目しました。インスピレーションがあって初めて科学が生まれるわけですね。ニュートンは、インスピレーションを大事にしようという我が社の象徴です。

――昔からキャロウェイは多彩な人材を集めていることで知られているが、こうしたアイデアが出てくるのも多彩な人材のおかげ?

弊社の研究開発にかける投資は年間3100万ドルに上ります。しかも何年も継続的に続けています。才能あふれる人材がたくさんいて、数学、化学、機械工学、空力学、気象学、いろんなフィールドの人材が集まっています。彼らがもっている情熱と知識を組み合わせてこうした製品を生み出しているわけです。

「新しいビッグバーサは何十年にも及ぶ研究開発の努力の結晶」

規制と物理法則との戦い乗り越え

――マーケティングよりまずものづくり、原点回帰を唱えている。

そこに信念があるからです。それがキャロウェイのルーツだからです。(創業者の)イリー・キャロウェイが会社をスタートしたときからの信念で、それが成功の秘密だったのです。研究開発という原点への回帰は私がスタートさせたわけでなく、もともとあったものです。この2年は特に原点回帰を意識し、製品第一で考えていこうと尽力してきました。その結果、シェアも伸びています。キャロウェイは数年間低迷していた時期もありました。そういう時期は原点から離れていたのかもしれません。

――キャロウェイという会社自体、ユニークな成り立ちで、創業者はゴルフ事業を手掛ける前はワイナリーを営んでいた。ビッグバーサもユニークなネーミングで、旧ドイツ軍の大砲の名前から来ている。旧敵から名前を持ってくるところもユニークだ。

確かに興味深いですね。打ったときのパワー、エネルギーが長距離砲を撃った感覚に通じるからでしょうか。実は長距離砲の名だったということを多くの人は知らないかもしれません。私もキャロウェイに入る前から何年もビッグバーサを使ってきましたけれど、女性の名前かなと思っていたくらいなんです。

多くの関心を集めるビッグバーサ

――プロとの契約はどのような点を重視しているか。

技術はもちろん重要ですが、もう一つ、ゴルフ人口への影響を考えます。影響力をもっていることによって貢献度があがってきます。人々がフレンドリーに思い、親しみをもてることを重視しています。(今回契約した)佐伯三貴さんはスイングテストでカールスバッド(米・カリフォルニア州の本社所在地)に来られたとき、すぐにすばらしい女性でキャロウェイにぴったりの人材だと思いました。

――クラブは高性能のものができると規制がかけられ、それを打ち破るものが出てくるとまた規制がかけられて、ということの繰り返し。こうした規制のなかで、もうここまでという限界はないのか。

限界はないと思う。もちろんレギュレーションのなかで勝負しなくてはいけないし、物理の法則にもある意味では規制をかけられているわけです。そうした制約のなかでよりよい製品を生み出していく。これは大変だけれど、一番重要なことです。時間もお金も情熱もたくさんそそがねばならないが、その価値はあります。新製品は10種以上のマテリアルを使い、最適なマテリアルを選択して、それを型どりして、製造します。それをさらに一定重量内に収め、しかもユーザーにアピールできるような形にしています。

――マテリアルの組み合わせ、形状を考えると開発の余地は無限だ。

その通り。

五輪採用がもたらすもの

――ゴルフは16年リオデジャネイロ大会から五輪競技となる。効果は。

直近の顕著な経済的効果はみられていないが、長い目で見ると必ず効果が出てくるでしょう。まだまだゴルフが盛んでない地域があります。日本と北米では人気も高く、普及していますが、中国や南米などではまだまだ発展途上です。これらの地域でも五輪採用によって盛んになっていくでしょう。五輪競技になると、競技団体や政府が支援するようにもなり、世界的な成長につながるはずです。時間はかかるでしょうが、長期的にみると経済的効果が生まれてくると思います。

「日本市場で通用すれば世界で通用する」

――日本のゴルファーについて。たとえばこれほどバラエティーに富んだティーは米国にはない。細部までこだわる。

そこはもちろん意識していますし、そうした要望に応じて日本から学んだものが多いのです。我が社の日本のチームからあがってきたいろんな意見が、様々な製品に反映されています。細部へのこだわりが弊社の誇りです。それは日本に学んだものといっていいでしょう。今度のビッグバーサのヘッド(クラウン)の部分は室内では黒にみえるが、外では太陽光が反射して、まったく予想していない色にみえます。そんなサプライズが付加価値になっています。ゴルフのクラブは性能だけでなく、感情に訴える要素も重要だということです。

――日本のゴルファーは世界的にみると変わっているのかも。

変わっているのではなくユニークなのです。そしてユニークであるのはとてもいいことです。日本は世界市場全体でみてもベストの市場です。品質のレベル、仕上がり、日本で受け入れられたら世界のどこでも受け入れられるでしょう。

(聞き手は運動部 篠山正幸)

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