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介護・医療費、知らないと損する還付と確定申告

ファイナンシャルプランナー 和泉昭子氏

 高齢の父が数年前から介護が必要になり、母も病気がちです。資金面は今のところ私が仕送りで支えていますが、介護・医療費の負担を抑える方法はありますか。(埼玉県、男性、48歳)

公的介護保険制度には高額になった自己負担を所得に応じて軽減する「高額介護サービス費」という仕組みがあります。福祉用具の購入費などは対象外ですが世帯で合算して申請でき、一般的な所得の世帯では月3万7200円を超えれば超過分の払い戻しを受けられます。

また高齢になれば医療と介護の両方のサービスを受けるケースが増えます。そのときは1年ごと(8月1日~翌年7月31日)の合計の自己負担額に上限を設ける「高額医療・高額介護合算療養費制度」もあります。70歳以上の一般の所得世帯で上限額は年56万円。介護費用と医療費の自己負担分を年単位で合算し、負担を軽減できます。世帯が同じでも同じ健康保険に加入していなければ合算できない点は注意が必要です。

さらに自己負担を抑える機会が確定申告です。医療費控除は医療費だけでなく、一定の要件を満たした介護費用も対象になっており、介護保険の給付対象外となっている費用も含まれるケースがあるのです。

例えば施設サービスでは居住費や食費は介護保険の対象外ですが、医療費控除では自己負担額全額(特別養護老人ホームなどは2分の1相当)が対象になります。

在宅サービスでは訪問看護やデイケアといった「医療系サービス」が対象ですが、訪問入浴介護やデイサービスといった「福祉系サービス」も医療系サービスと併用する場合に限って対象になります。介護事業者から受け取る領収証に医療費控除対象額が明記されているので確認してみましょう。

仕送りをしているということなので、ご両親の分も合算して医療費控除を申告できるかもしれません。所得税累進課税ですから所得が多い人が所得控除を受けた方がメリットが大きくなります。

確定申告では介護用にバリアフリー改修をした場合の特別税額控除もあります。自己負担の軽減制度も確定申告による控除も「申請主義」です。自ら動かないと恩恵はないことを頭に入れておきましょう。

和泉昭子(いずみ・あきこ)
 東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(ファイナンスMBA)。出版社、放送局を経て、フリーのキャスターに転身。95年にCFP取得。現在は生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナーとして、メディア出演や講演活動で幅広く情報発信。厚生労働省の提言型政策仕分けチームメンバー、日本年金機構運営評議会委員などを務める。お金に関する著書多数。株式会社プラチナ・コンシェルジュ代表取締役

[日本経済新聞朝刊2014年2月19日付]

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