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日経カップ優勝の明治、勝負強い健やかゴルフ(上)

 一流企業のゴルフ愛好者が一堂に集い、ゴルフにおける企業日本一を決める日経カップ。日本経済新聞社が主催し、日本ゴルフ協会が後援するオフィシャルなアマチュアゴルフ大会として、これまで22回の歴史を持つ全日本実業団対抗ゴルフ選手権が2012年から装いも新たにスタート。第2回の今大会を制したのは明治チーム。161社の頂点に立った。
優勝した明治チーム。左から個人優勝も果たした山口さん、主将の東さん、日吉さん、高橋さん

決勝大会、38チームが競い合う

濃い灰色の雨雲に覆われ、秋だというのに吐く息が白くなるほどの寒さの中、ゴルフ好きの企業戦士が次々と素晴らしいティーショットを放っていく。

名門、筑波カントリークラブ(CC)で2回目を迎えた日経カップ。それまでは全日本実業団対抗ゴルフ選手権として22回の歴史を持つ大会が、12年から新たに日経カップとして始まり、栄えある第1回大会の覇者はプルデンシャル保険チームだった。13年は161社が出場し、予選を勝ち上がった28社と一昨年の上位10社を合わせた38チームが2013年10月5日の決勝大会でスコアを競い合った。

1社4人が出場し、スコアの上位3人の合計で順位が決まるのだが、今回の団体優勝は明治チーム。2位の本間ゴルフと同スコアの234ストロークだったが、その場合は4人目のスコアで勝敗が決まるルールで、何と86対87の1打差で明治が初優勝を遂げた。

筑波CCで代表選手の選考ラウンド

明治チームは前回6位だっただけに、雪辱を果たした形だが、4人の選手は誰もが「信じられない」「まさか優勝とは?」と驚く。それもそのはずで、4選手とも毎日しっかりと仕事をこなす敏腕サラリーマン。練習もそれほどせず、週1回ほどのラウンドで実力を維持している企業戦士なのだ。

しかし、この優勝には明治という会社の、この大会への温かい理解と支援があったことが大きい。広報の中村匡伸さんが打ち明けてくれた。

「4月下旬、全事業所を通じて1万人以上の全社員に、日経カップのための選手募集を行いました。その中から13人の選手を書類選考し、6月から8月にかけて、筑波CCで代表選手選考ラウンドを行いました。計4ラウンド行って絞り込みましたので、筑波CCを得意とする腕の立つ選手を選ぶことができたと思っています」

この選考ラウンドにより、筑波CCの攻略法がより明確になり、泊まりがけで実施されたために選手たちの団結力も高まった。決勝大会の出場選手は主将で57歳の東哲朗さん、続いて49歳の日吉健さん、同じ歳の高橋誠二さん、そして32歳と若い山口祐輔さんの4人となった。控え選手は関根光太郎さん、43歳。山下有二さん、61歳の2人で、欠場者が出ればいつでも参戦できる態勢にあった。

東さんは責任感の強い明治チームの主将

主将の重責か? 「気合空回り」

年齢も違えば、勤め先も大阪、名古屋、埼玉など離れてはいたが、大会前に久しぶりに顔を合わせたことで、かなり士気が上がったという。

では、明治チームをまとめた主将の東さんから今大会の勝因やゴルフライフ、上達術などを聞いていこう。

その東さんが開口一番に放った言葉は「えっ、私からですか?」である。その理由は、主将の重責からか、今大会は4人の中で最もスコアがよくなかったからだ。とはいえ、本間ゴルフに勝てたのは4人目の東さんのスコアが本間ゴルフよりも1打よかったからなのだ。

「昨年もキャプテンを任されて83のスコアでした。普段はほとんど70台のゴルフですので、今年は悪くても79であがるつもりでした。それが今年のワーストスコアの86ですから、正直、悔しいですね。自分がよいスコアを出してみんなを引っ張ろうと気合が入り過ぎて空回りしてしまいました」

出だしにつまずき、リズム作れず

東さんは貴志川GCのハンディ2の実力者。会社の代表選考会ではこの筑波CCを77であがっている。

「筑波CCはアウトが左曲がりのホールが多く、インは逆に右曲がりのホールが多いコースです。私はドライバーがフェードボールなのでインが得意なのですが、苦手なアウトを我慢すればよいスコアになるはずだと、アウトからスタートしました。しかし、そのアウトを出だしからボギー、ボギー、トリプルで、その後もボギーが続いて45。後半は41であがりましたが、厳しい戦いとなってしまいました」

普段の東さんのゴルフは、ドライバーをパワーのあるフェードボールで230ヤード以上飛ばし、長いミドルホールでは得意の7番ウッドでグリーンをとらえていく。アイアンはボールをしっかりつかまえたドローボールでグリーンにきっちりと止める。ところがその日はドライバーが思った以上に曲がり、雨でぬれた重たいラフにてこずった。

東さんのゴルフ歴は29年。会社のゴルフ好きに誘われて25歳から始めた。

ボールコントロール、最も大事

司会者から優勝の感想を求められ笑顔で答える東さん(中)と日吉さん(右)

「学生時代にハンドボールをやっていたせいか、足腰が強く、すぐにシングルになれました。試合に出始めた35歳ごろには休みの日に700球ぐらいは打ち込みましたね。ショットを安定させるためにコンパクトなトップにして、体の回転で打つようにしました。そのためにはバックスイングで早めに手首をコックして、そのまま振り上げてトップを作ります。飛距離は多少落ちますが、方向性は抜群によくなります。やはりゴルフはボールコントロールが最も大事。そのためには大振りしない、力んで打たないことですね」

では、東さん得意の7番ウッドはどのように打っているのだろう。

「スイングはすべてのクラブで一緒にしていますので、7番ウッドでも変わりません。でも、違うのはクラブそのもののやさしさ。7番ウッドはボールが上がりやすいし、悪いライからでもうまく打ちやすい。本当にやさしいクラブです。しかも190ヤードから210ヤードまで距離を自在にコントロールできるので、幅広く活用できる。長いミドルやショートホールはもちろん、狭いロングホールでも武器にできます。ウッドが苦手な方でもショートウッドはやさしいので、ぜひ使ってほしいですね」

アプローチショットは一時イップス気味になったが、それを克服してグリーンを外してもパーにできる。筑波CCの深いガードバンカーもゆったりしたスイングで「砂イチ」をものにする。パットもパターのシャフトを32インチに切ったことで方向性がよくなった。そんな東さんに今年の日経カップの抱負を聞いてみた。

仕事もゴルフも熱心に取り組む

「そろそろ定年も間近なので、スコアがカウントされない4人目には絶対になりたくないですね。チームに貢献して、優勝争いができたらうれしいです。そのためにはさらに熱心にゴルフと向き合いたい。もちろん、仕事も熱心に取り組みますよ」

こう言って、豪快に笑う東キャプテンであった。

今回は東さんが4人目になったが、自分がなってもおかしくないと言うのが日吉健さん。前年のスコア84に対して、今回は81と立派に責任を果たした。佐原CCのハンディ5。

「私は真っすぐに打とうとしても右にも左にも曲がるので、アウト、インのどちらからでもいいと言いました。それでアウトから出たのですが、いきなり木に当ててボギースタート。その後もボギー、ボギーと悪い流れでしたが、大体いつもそんなものなので、あまり気にせずにプレーに集中して41。後半は最後にダボを打って40。ショットがよかったので最後をパーであがって79にしたかったけど、仕方ないです」

日吉さんは36歳から明治の代表に。それ以来ずっと会社の代表選手を務めている

学生時代のプレー経験、仕事に役立つ

そう言ってにこにこと笑う。

日吉さんがゴルフを始めたのは大学のとき。野球をやっていたが体を壊し、キャディーのアルバイトをしたのがゴルフとの出合い。それでもすぐに80台であがれるようになり、ゴルフ部の主将も務めた。

「スコアは今と同じで常に70台とはいかず、よくて80、悪くて85といったところでしたが、チームが強くなかったので、私がキャプテンをすることにもなったわけです。まあ、大たたきをすることがないくらいが取りえですかね」

そうした大学時代のゴルフだったが、明治に就職すると、そのゴルフが役に立つ。仕事が営業だったこともあり、顧客とのコミュニケーションや新規開拓にも功を奏す。

「競技ゴルフはしていませんので、完全に遊びのゴルフです。でも、それが営業職にはよかったですね。お客さんとのゴルフで超真剣にプレーしてスコアにこだわっては誰も楽しくはないでしょう。和気あいあいのゴルフが私には向いています。だから練習もしない。年に1回か2回の練習ですね」

ゴルフは飛ばしでないと思うように

日吉さんの明るく楽しいゴルフに魅力を感じる人も多い。それでいていつでも80台前半であがれるのは素晴らしい。

「月に2、3回はプレーしていますからね。場数でスコアが安定しているだけです。スイングはよくないし、よくしようにも今となってはできません。ただ、インパクトには力を入れない。それがよくて250ヤードは飛んでいます。明治には300ヤードを飛ばす人間もいますが、コースでは結構苦労してますね。ゴルフは飛ばしじゃないと思うようにしています」

とはいえ、36歳のときから明治の代表となり、それ以来ずっと会社の代表選手を務めている。

プロに教わったラフの打ち方役立つ

チーム戦は個人戦以上に気を緩めることができない

「10年くらい前に、あるプロからラフの打ち方を教わったのですが、それがすごくよかったです。それまではラフに負けないようにフェースをややかぶせて強くインパクトしていたのですが、それではうまく出ないよと。逆にフェースを開き気味にして打てばうまくヘッドが抜けると教えてもらいました。確かにボールが楽にラフから出るし、フライヤーがかかるので飛距離も落ちない。ウッドでもそのやり方ならうまく打てるので、今回の日経カップでもラフからうまく打てたのが大きかったですね」

アプローチも嫌いではなく、9番アイアンからサンドウェッジまでいろいろなクラブを使ってうまく寄せていく。転がせるならなるべく転がし、上げるときはプロのようにボールを直接打つのではなく、ソールを手前から滑らせる安全な打ち方を行っている。

苦手なショートパット、改善できれば

「ボールにきっちりとフェースを入れてスピンをかけようとするとザックリをやってしまう。なので、スピンはかけません。ソールを滑らせる打ち方が安全ですよね。でも、アプローチがよくてもショートパットが苦手です。手が動かなくなってしまうんですね。イップスなんていうと、練習もしていないのでプロに失礼ですから、単に下手なだけですが、今回も短いのを2、3回外しました。これがなければ、もう少しよいスコアにできましたね」

ディフェンディングチャンピオンとして、今年はさらにいいゴルフを展開、70台を出してチームを引っ張るに違いない。

(次回掲載は2月11日 文:本條強)

書斎のゴルフ VOL.21

著者:
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,280円(税込み)

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