2019年6月25日(火)

ビットコインが開いたパンドラの箱 新型犯罪の脅威
ラック 取締役最高技術責任者(CTO) 西本 逸郎

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2014/1/22 7:00
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仮想通貨のビットコインが犯罪の温床になり始めている。ネットにある取引所を通じてドルや円との間で交換もできることから急速に普及。そこに目をつけたサイバー犯罪者が他人のパソコンを悪用して採掘したり窃盗したりする例が後を絶たない。中央銀行などに縛られない次世代の通貨は新しい利便性を消費者に提供する一方で、過去にはあり得なかったリスクも露呈している。

投機マネー流入、取引が過熱

急速に普及した仮想通貨の「ビットコイン」。値動きが激しい

急速に普及した仮想通貨の「ビットコイン」。値動きが激しい

しばらく前に、あるコンピューターウイルスが専門家の間で大きな話題を呼んだ。「ランサムウエア」という身代金を要求するウイルスである。メールの添付ファイルをクリックしたり改ざんしたホームページを閲覧すると感染し、パソコン内のデータを勝手に暗号化。使用できなくして、暗号を解除してほしければ身代金を払えという悪質なものだ。以前からあったランサムウエアだが専門家が目を丸くしたのは、100ドルの身代金の支払い方法としてビットコインを指定していたことだった。

ビットコインを簡単に説明すると、既存通貨のように紙幣を誰かが発行するのではなく、ある数式を解いてコインを「採掘」していくというデジタルを駆使した通貨である点だ。発行量が増えるほど数式は複雑になり採掘しづらくなる。そしてある一定量以上は発行できなくして、通貨の価値が安定するよう工夫されている。単位はBTCだ。

一方でドルなどとの相場があることも特徴。ビットコインが世に出た2009年ごろはほとんど価値はなかったが、昨年初めに1BTCが14ドルになりその後取引が過熱。ビットコインが大きく注目されたきっかけは3月に起こったキプロスの金融危機だ。同国政府が銀行預金への課税を決め、資産の逃げ場としてビットコインを選ぶ動きが相次いだ。ユーロ不安も手伝って、一気に240ドル前後まで高騰した。

11月に入ると米連邦準備理事会(FRB)がビットコインを通貨として認めたとの報道が飛び交い、さらに外貨との換金に制約がある中国で資産保全に役立つとして「ビットコインバブル」が勃発。一気に1200ドルまで値を上げた。その後中国中央銀行が人民元への換金を禁止し、米商務省が国内のビットコイン事業者に対して規制対象にするとの警告文を送付し、今度は暴落。年末に500ドル前後まで値下がりしたが、年が明けて再び高騰している。高騰と暴落を繰り返すことから「投機マネー」が流入し、相場の先行きを誰一人として読めない状況が続いている。

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