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フィギュア・浅田真央、3回転半貫く信念

(更新)

すでに一つの結論を出したように見える。昨年末に行われたフィギュアスケート全日本選手権のフリー。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)2本に挑んだ。ともに失敗に終わったが、浅田真央(中京大、23)は迷わず言った。「自分としてはこれが当たり前というようにしたい。チャレンジとかではなくて、これが自分の基礎、ベースのプログラムだと思っている」

全日本選手権で演技する浅田

トリプルアクセル3本、目標に

大技トリプルアクセルをショートプログラム(SP)1本、フリー2本の計3本組み込むプログラム。12月上旬のグランプリ(GP)ファイナルでも試みたが転倒などで不発だった。それでもソチ五輪に向けて浅田の信念が揺らぐことはない。

佐藤信夫コーチも2試合を見た上で、「時と場合によってだけど、最終的には何とか(本人の思いを)かなえてあげたい」と後押しする。もちろん腰痛を抱える体調面や練習での成功率次第で状況は変わるだろうが、トリプルアクセル3本を目標に据えて本番まで突き進むのだろう。

3本に挑めるだけの土台をしっかりと築き上げてきた。全日本では3位と振るわなかったものの、今季は3戦連続で合計200点を超え、ファイナルも制してGP3連勝。11月のNHK杯では207.59点と3年ぶりに自己ベストも更新した。ジャンプやステップ、スケーティングに表現力――。スケートの基礎から見直し、全てが完成形に近づいている。

五輪へのスタートライン、4年前と違う

銀メダルに輝いたバンクーバー五輪ではトリプルアクセルを計3本成功させたが、シーズン序盤は苦しみ抜いた。ジャンプが変調を来し、GPロシア杯では自己ワーストの5位と初めて表彰台を逃すなどGPファイナルにも進めなかった。「バンクーバーの頃と比べれば、調子も自分の気持ちもはるか上にいっている」。4年前とは五輪へのスタートラインが違う。ライバルで前回金メダルの金妍児(韓国)の動向が気がかりだが、浅田は五輪の金メダル争いの中心にいる。

一方でトリプルアクセルはもろ刃の剣でもある。基礎点は8.5点と高く成功すれば得点源となるが、今季は11回試みて認定されたのは4回。出来栄え点は11回全てでマイナスと、完璧な成功は一度もない。

「目指す最高の演技を完璧に滑る」

フリーで2本跳ぶと「体力的にも負担が増える」こともあり、3回転―3回転の連続ジャンプは回避。演技構成の変更を余儀なくされ、結果的に基礎点は下がった。現状では大技が武器になっているとはいい難い。

大舞台へ向けて「戦略はない」と言い切る。目標は「自分が目指している最高の演技をパーフェクトに滑ること」。そこにはメダルをにらんだ打算はなく、23歳の純真な思いが凝縮されている。

バンクーバー五輪のことを聞かれると、浅田はメダルを取った喜びよりも、自分の演技ができなかった悔しさばかりを強調する。4年間の悔しい思い、そしてスケート人生の全てをぶつけるソチ五輪。最高の演技のカギを握るのは「自分にしかできない」トリプルアクセルだ。

〔日本経済新聞朝刊1月8日掲載〕

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