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選抜の772球、秋の故障…済美高のエース安楽は今
スポーツライター 丹羽政善

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2014/1/7 7:00
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「1年で、状況が全く変わりました」。年の暮れが迫った昨年12月17日、愛媛・済美高校野球部の中矢太部長は、松山市内中心部の学校から練習場がある中野町に向けて車を走らせながら、この1年をそう振り返った。言葉に実感がこもる。

選抜後、チームを取り巻く環境一変

30分ほどで、車は練習グラウンドの左翼フェンス沿いにある駐車場に滑り込んだ。昨年6月初め、夏の甲子園の県予選を前にした2年生エース・安楽智大のために米スポーツ総合誌「ESPN」のカメラマンが撮影用のセットを組んだのは、そのフェンスのすぐ内側。あのとき、中野町を訪れた取材クルーはテレビ番組用のスタッフも含めて総勢9人。大リーグのスカウトも、度々姿を見せるようになった。もちろん、春の選抜高校野球大会が終わってから日本のメディアも足しげく松山へ通った。

夏の甲子園では、試合の日だけではなく、練習日にも多くのメディアが押し寄せたというから、彼らを取り巻く環境は、一変したといえる。

772球――。すべてをたどれば、そこに行き着く。2年生の安楽が昨春の選抜大会で772球を投げ、済美高が準優勝したことで注目を集めた。

いや、それだけでは米メディアが日本に行ってまで取材しようとは考えなかったはず。決勝で明らかに疲れが見え、連打を浴びたことで、高校野球の球数問題に警鐘を鳴らしてきた彼らは、取材対象として興味を持った。それ見たことか、と。

高校野球の球数問題、背負わされ

その意識は、日本の高校野球文化を取材するうちに変わっていくのだが、ESPNは安楽をインタビューするにあたり、テレビカメラ2台を彼の前後に据えた。そしてインタビュアー、プロデューサーら7人が狭い三塁側のダッグアウトで彼を囲んだ。

そのときさすがに、当時まだ16歳だった安楽には力が入っていたように記憶する。高校野球の球数問題を一人で背負わされている、あるいは、故障の原因が登板過多と推測される過去の投手のことまで説明を求められる、そんな構図さえ裏に透けたのだから当然か。

ではあのとき、安楽はどういう気持ちで取材に臨んだのか。そして、何を感じたのか。あれから約半年がたった先月、再び中野町に安楽を訪ね、彼のその後も追った。

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