ノーベル経済学賞2氏が語る「バブル」と「政策」

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2013/12/6付
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2013年のノーベル経済学賞の受賞が決まったシカゴ大学のユージン・ファーマ教授とラース・ハンセン教授が、10日の授賞式を前に日本経済新聞記者とそれぞれ単独会見した。受賞者は両氏とエール大のロバート・シラー教授の3人。株式など資産価格の形成についての実証研究が評価された。

すべての情報が正確に価格に反映されるとする「効率的市場仮説」を提唱するファーマ教授は、投資家の熱狂など非合理的な行動がバブルを招くとするシラー教授の主張に「証拠がない」と反論。また、米連邦準備理事会(FRB)が進めてきた量的緩和政策は無益だと強調した。

一方、ハンセン教授は今後の経済政策の焦点は財政政策や金融監督になると強調。金融政策は限界に直面しているとの見方を示した。一問一答は以下の通り。(聞き手は米州総局編集委員 西村博之)

■ファーマ教授「量的緩和は無益、FRBは物価安定に注力を」

――教授の研究は投資家の資産運用に大きな影響を与えてきました。

「かつて資産運用は控えめに言って未熟だった。運用成績の評価もないに等しかった。私の最初の貢献は、価格にはすべての情報が反映されているとの『効率的市場仮説』の提唱だ。これが市場平均並みの運用をめざす『パッシブ運用』を発展させたといわれている」

――市場平均を上回る運用成績をめざす投資会社はなお多いですね。

「今日でもパッシブな資金の運用は全体の25%ほどだ。残りは投資する株価を選び、市場平均を超えようとする『アクティブ運用』だ。ただ、その成績はパッシブ運用に劣る」

――市場平均を上回る成績を上げるのは不可能なのですか。

「手数料などを引いた成績をみれば平均を上回るファンドも下回るファンドもある。理屈上、運用は勝者も敗者もいるゼロサム・ゲームだ。問題は勝者が優れているのか、幸運なだけなのか調べようがない点だ。実際は大半が幸運によるもの。手数料を差し引くと話にもならない」

――とすれば、資産運用の役割とは何なのでしょう。

「大事なのは、どの程度のリスクをとるかの判断だ。国際株、国内株、割安株、成長株、小型株、大型株などの区分は、いずれもリスクの度合い。株と債券の割合もそうだ」

――自らも投資会社を立ち上げて成功させました。

「1981年に投資会社の設立にかかわった。私の理論に沿って資産を運用し、当初5万ドルだった運用資産は今は3200億まで膨らみ、成功している」

――経済学者が立ち上げた会社では、LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)などの失敗もありました。

「LTCMはアクティブ運用をしていた。ヘッジファンドは、借り入れをテコに運用額を膨らませているため、ミューチュアル・ファンド(日本でいう投資信託)より運用成績は3倍前後もばらつく。偶然に頼って大きなリスクをとっているので、失敗の確率は50%に近い」

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