2019年7月16日(火)

ポスティングを迷走させる"誤解"

(1/6ページ)
2013/12/6 7:00
共有
印刷
その他

広澤克実氏

広澤克実氏

日本では楽天・田中将大のポスティングに関する記事が毎日のように出ているが、米国の新聞ではまったくと言ってよいほど扱われていないらしい。米プロバスケットボール(NBA)や米プロフットボール(NFL)などの記事が主流で、野球の記事はA・ロドリゲス(ヤンキース)が薬物違反の処分をめぐってメジャーリーグ(MLB)を提訴したことを載せているだけ。田中のメジャー移籍に関わるポスティングの話題はほとんど出ていないという。

FA制度及ばぬ部分の救済措置

正確には「ポスティングシステム」というのだが、これはまさしく「入札」制度でフリーエージェント(FA)権(国内8年、海外9年)を持たない選手が、前倒しでメジャーに行くための制度という色合いが強く、FA制度の及ばない部分の救済措置にすぎない。

日本では年間145日、1軍登録されていれば1年とカウントされ、9年間で海外FA権が取得できることになっている。

この制度は1996年、伊良部秀輝(ロッテ)のメジャー移籍騒動に端を発している。ロッテが提携関係にあったパドレスに保有権を譲渡したことに、伊良部側が異議を唱えた。伊良部は当時、強くヤンキース入りを希望しており、最終的にはロッテ、パドレス、ヤンキースの三角トレードのような形で決着がついた。

イチローが日本選手移籍第1号

FA権を取得していない選手がメジャーリーグに挑戦したいと希望した場合、所属球団は保有権をタテに「どこにも移籍させない」という強硬手段もとれる。

しかし、その選手に見合う補償金が移籍先から得られるなら、FA権取得前でも移籍を認め、その補償金をチームの補強費や赤字が膨らむ球団経営に補充できるという考えから、日米の間でポスティングが結ばれ、イチローがこの制度による日本選手移籍第1号となったのだ。

入札で最高価格を示した球団が独占交渉権を持ち、話がまとまれば元の球団に"補償金"として入札金額を払うのが基本的なシステムだ。当然のことながら、FAによる移籍だと日本の球団はこの補償金を得られない。

ポスティングなら補償金が得られるということで、これまで西武(松坂大輔)、日本ハム(ダルビッシュ有)などが利用してきたわけだ。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 次へ
共有
印刷
その他

大リーグコラム

プロ野球コラム

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。