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火災・地震保険も値上げ 負担抑えて家を守るには

補償範囲と契約期間に見直し余地

 2014年4月の消費増税をにらみ、駆け込みでマイホームを購入する人が増えている。住宅ローンの金利や減税額が気になるが、火災など万が一に備えた「住まいの保険」も上手に選びたい。保険料の引き上げが控えており、家計の負担が増す可能性があるためだ。地震や台風など自然災害の危険にもさらされるマイホームをいかに守るか。保険選びのポイントをまとめてみた。

マンション、戸建てなど住宅の損害を補償する保険は火災保険と呼ばれる。その名の通り、火事や落雷で家が焼けた場合に建て替えや修繕の費用を補償するのが目的だ。火災だけでなく風水害による損害も補償されるものにパッケージで加入するのが一般的だ。9月に埼玉や千葉を襲った竜巻も風害の一種のため、火災保険で保険金がおりることを覚えておきたい。

地震保険単体は不可

竜巻の被害も火災保険で補償される(埼玉県越谷市)

損保会社が独自に販売する火災保険ではカバーされないのが地震や津波による損害だ。地震保険は一度に大規模な保険金支払いが発生する可能性がある。保険会社が保険金を支払えなくなる事態を防ぐため、国と民間が共同で運営している。地震保険にだけ入るということはできず、まずは民間の火災保険に入って、そこに地震保険を付ける仕組みになっている。

11年3月の東日本大震災以降、国民の地震に対する警戒心が強まり、契約件数は増えている。12年度には火災保険を契約した人のうち、56.5%と半分以上が地震保険を付けた。

東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険など大手損保で火災保険に加入した場合の保険料はいくらぐらいになるだろうか。例えば東京の鉄筋コンクリートのマンションで、建物の損害に1000万円、家財に1000万円の保険金が支払われる保険に加入するとしよう。この場合、年間の保険料は1万7000円程度。地震保険を付けるとここに1万6900円が加算される。火災保険、地震保険とも地域や建物の構造による損害の発生しやすさ、補償内容に応じて保険料が細かく変わる。

東京海上日動火災保険の井手丙午・火災グループリーダーは「マンションは廊下など共用部分も地震保険に入っているかを管理組合に確認した方がよい」とアドバイスする。地震で共用部分から自分の部屋にかけてひびが入った場合、共用部分が無保険だと保険を使った修繕ができなくなる場合があるためだ。

加えて気にとめておくべきなのは、今後待ち受ける保険料の引き上げだ。まず14年7月から地震保険の保険料が全国平均で15.5%上がる。広島など据え置かれる県も一部あるが、東京、神奈川などは約20%、大阪、埼玉、宮城などで約30%の値上げとなる。巨大地震発生のリスクが高まっていることを受けた値上げだが、南海トラフ巨大地震の被害想定は織り込まれていない。15年以降にもう一段の値上げが実施される見通しだ。

15年度には老朽化した建物の増加を受けて、損保各社が火災保険料を3~5%引き上げる見通しだ。地震保険と併せてさらに家計を圧迫することが想定される。では、どうすれば保険料の負担を減らすことができるか。ポイントは補償の範囲と保険の契約期間の2つだ。

長期契約だと安く

まずは補償の範囲。火災保険は補償が手厚くなるほど保険料が高くなる。高台の家やマンションの中層階であれば床上浸水など水災の補償が必要になることはほぼ無いのに、保険に入っているということがある。必要以上の補償が含まれていないかを確認し、絞り込むことで、保険料を抑えることができる。セゾン自動車火災保険のように補償ごとに保険を細かく分けて、必要なものだけを選んで入れる商品もある。

損害保険は1年契約で毎年更新するのが基本だが、保険期間を長くして契約することも可能だ。例えば東京海上日動の場合、保険期間を1年間から5年間に延長して一年ごとに支払うと、保険料は9%安く済む。さらに5年を一括払いにすると、1年契約より14%の割引になる。

地震保険も5年契約の一括払いにすると11%の割引になる。期間が長ければ長いほど割引率は高くなる。値上げ前に契約すれば期間中は保険料が上がることはないため、節約効果は大きい。貯蓄などでまとまったお金が手元にあり、当面は住宅を手放すことはないという人は長い期間を選ぶことも考えたい。(青森裕一)

保険料の基準を示す「算出機構」


 火災保険料が決まる仕組みは独特だ。損保会社が会員となっている損害保険料率算出機構という組織が参考となる保険料を示し、各社がそれにならっている。
 損保各社は本来、自由に保険料を決める権利を持っている。ただ、過去の火災や災害の発生確率や被害額をもとに決める保険料は、より多くのデータから算出した方が正確性が増す。そのため、機構が会員会社から集めたデータから算出する料率が共通の基準になっている。
 ただ、損保会社の間で保険料に差が出にくいという問題もあり、各社は保険に付随するサービスなどで他社との違いを打ち出している。

[日本経済新聞朝刊2013年10月30日付]

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