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ファン発掘、広告塔奔走 J2札幌社長・野々村芳和(上)

読みのいいMFとしてJ1で通算118試合、J2で36試合に出場し、2001年の引退後は衛星放送のスカパー!などで解説者を務めてきた。そこから転じての社長就任にはかなりのインパクトがある。昨年11月、札幌取締役の石水勲(石屋製菓元社長)から社長就任を薦められ、開いた口がふさがらなかったと野々村芳和(41)は振り返る。「石水さんは真顔。僕は半笑い」だった。

クラブ上昇の起爆剤を自認

就任は今年3月。「僕が選ばれたのは『変わった感』が出せるからでしょうね」。札幌はJ1に上がっても定着できず、今季はまたJ2。経営面でも債務超過を解消できずにいる。異彩を放つ新社長は自身が上昇のエネルギーを生み出すための起爆剤であることを自認する。

00年に市原(現千葉)から札幌に移り、J1昇格に貢献した功があり、一般的な知名度では選手たちをしのぐ。その強みを最大限に生かして、クラブの広告塔として表に出ている。

本人がその役割を楽しみ、スタッフは社長を使った奇抜なファンサービスのアイデアを次々と出す。「ののさんおねだり回数券」はその一つ。社長(ののさん)は3枚組の回数券の購入者に「新しいお客さんを連れてきて」とおねだりする。それに対して、抽選で当たった3人は社長に特別のおねだりができる。

話題づくり、メディア活用

先月、野々村は銀婚式を迎えた男性ファンの願いを聞き入れ、その夫人の誕生日にサプライズで自宅を訪ねてプレゼントと花束を渡した。もちろんこれは話題づくりの意味合いが濃い。

「広告宣伝費がほとんど取れないので、クラブに興味を持ってくれる人を増やすにはメディアに何かを扱ってもらうしかない」

今季のホーム開幕戦の3月10日を「サトウさんの日」とし、北海道在住のサトウさん(漢字は問わず)にチケットを310円で販売。800人ものサトウさんを集めた。

5月3日の京都戦では豪華なサービス付き入場券(2人1組)を「ハンマープライスチケット」としてオークション形式で販売した。

失敗恐れず果敢に攻める

高級車での送迎、練習をベンチで見学、豪華シートで元札幌の吉原宏太が隣で試合の解説、選手との写真撮影、そして甘いマスクで人気の社長とのディナー。入札の末、30万円の値が付いた。さらに7月27日の鳥取戦での第2弾では落札額が36万1円になった。

中には「外れ」のアイデアもあるが、失敗を恐れず果敢に攻めながらクラブが変わっていこうとする意志が伝わる。ベトナム代表のFWレコンビンを「東南アジア出身のJリーガー第1号」として獲得したのも同じ流れに沿っている。

「クラブが1万人の熱心なサポーターのためのサービスばかり考えるようになり、2万人、3万人を呼ぶための発想が出てこなくなっていたような気がする」と野々村は話す。

「コンサドーレを全く知らないという人もいるんですよ。その人たちにどうアプローチするかを考えていく必要がある」。だから自ら先頭に立って「いま、札幌が面白い」と思わせるニュースを発信する。

(敬称略)

〔日本経済新聞夕刊10月21日掲載〕

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