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老後の負担増が不安… それでも備えすぎは禁物

ファイナンシャルプランナー 和泉昭子氏

 高齢者の公的医療や介護費用の自己負担が増えるようで、自分が老後を迎える頃はさらに負担が重くなるのではと不安です。個人年金保険などで手厚く備えておいた方がいいでしょうか。(千葉県、男性、48歳)

厚生労働省は医療費と介護サービス費を抑えるため、一定以上の所得がある高齢者の自己負担を増やす方向で議論を進めています。例えば70~74歳の高額療養費制度の上限は現行で月額8万円程度ですが、見直し案では12万円超。介護保険も一律1割負担の見直しや、高額介護サービス費の上限3万7200円を4万4400円と2割増にする案が出ています。

注意しておきたいのは負担増の対象となる「現役並みの所得者」あるいは「一定以上の所得者」の定義です。幅広い人が対象となる可能性があるからです。

介護保険の自己負担が現在の1割から2割に上がる目安として挙がっているのは年金収入が280万円程度。現役時代の収入が高かったり、企業年金があったりする場合は該当してもおかしくありません。

気をつけたいのが年金収入は280万円に届かないものの、不動産収入などがあって必要経費や公的年金控除額などを差し引いた合計所得金額が160万円を超えるような場合です。要介護3で月15万円の介護サービスを利用したとすると自己負担は1万5000円が3万円となります。

高額療養費の上限が引き上げられるメドとして浮上しているのは年収570万円(課税所得293万円)以上。70歳で入院し医療費が月100万円かかるとすると、課税所得が293万円未満であれば自己負担の上限額は月8万7430円だったのが12万8320円に増えます。

一時は下火だった変額個人年金保険や不動産投資は景気回復とともに盛り返してきました。2015年に控える相続税増税への対策もあって賃貸事業に関心を持つ中高年も増えています。負担増には自助努力で備える考えは理解できますが、備えを優先しすぎると家計の収入、支出、貯蓄のバランスを崩しかねません。老後の所得が増えるのに伴って負担も増す可能性にも目配りした方がいいでしょう。

和泉昭子(いずみ・あきこ)
 東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(ファイナンスMBA)。出版社、放送局を経て、フリーのキャスターに転身。95年にCFP取得。現在は生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナーとして、メディア出演や講演活動で幅広く情報発信。厚生労働省の提言型政策仕分けチームメンバー、日本年金機構運営評議会委員などを務める。お金に関する著書多数。株式会社プラチナ・コンシェルジュ代表取締役

[日本経済新聞朝刊2013年10月23日付]

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