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欠場多くても年間王者に? 米PGA、抜け道に困惑

米ゴルフウイーク誌記者 ジム・マッケイブ

男子ゴルフにスティーブ・ストリッカーという米国選手がいる。 米PGAツアーに興味がある人なら、大半は知っているのではないか。彼は人格者として知られ、ゴルフのマナーやメディアへの対応、他の選手との関係のどれをとっても、非の打ちどころのない選手である。

これまでトラブルという言葉とも無縁だったが、先日、珍しく彼の行為がちょっとした議論を巻き起こした。いや、正確には議論というか、米PGAツアーの関係者を慌てさせた。

出場試合数を絞ったストリッカー

ご存じかと思うが、ゴルフのプレーオフ、別名「フェデックスカップ」で優勝すると、1000万ドル(約9億8000万円)のボーナスがもらえるが、そこへ到達するにはツアーの試合に出場し、成績に応じたポイントを重ねることが前提だ。

そもそもプレーオフで勝ち進む上でもポイントが重要になっている。その裏には、選手にできるだけ多く試合に出てほしいという米PGA側の思惑があり、ポイントを稼ぐ際、試合に多く出場する選手には有利に、少ない選手には不利にと意図的に仕組まれている。

ところが今年、ストリッカーは米PGAの狙いに反し、出場スケジュールを絞った。全英オープンすら参戦を見合わせ、四大大会などを除けばわずか10試合しか出ていない。

想定外のプレーオフへの上位進出

今年2月23日に46歳になった。自分の体力と相談した結果ということのようだが、十分に休養をとりながらプレーしたことがプラスに作用したか、前半から着実に好成績を収めると、プレーオフにはフェデックスカップポイント20位で進出したのである。

上位進出は米PGAにしてみれば想定外といえたが、彼の場合、そこからさらに米PGAを慌てさせた。

ボーナス1000万ドルまであと一歩

4試合のプレーオフは、1試合ごとに出場選手が絞り込まれ、それぞれポイントで上位100位、70位、30位までの選手が次の大会に進む。

しかし、ストリッカーはプレーオフの第1戦に出場しなくとも、第2戦でプレーするための十分なポイントがあると読むと、なんとプレーオフ初戦を欠場したのである。

普通なら1試合でも休めば次のラウンドへ進む上でもポイント的に不利になるが、ストリッカーは2戦目から順に2位、4位タイ、2位タイという安定した成績を残し、着実にポイントを積み重ねた。もしも2位タイとなったプレーオフ最終戦に勝っていれば、年間わずか13試合に出場しただけで、1000万ドルのボーナスを手にする可能性もあったのである。

ウッズら多くが「この手があったか」

おそらくそのとき、米PGAのティム・フィンチェム・コミッショナーは機嫌が悪かっただろうと想像できる。なぜなら既に触れたように、米PGAはできるだけ多くの大会に出た人によりメリットがありますよと訴えてきたのに、ストリッカーが試合数を絞っても十分に年間タイトルに手が届く、という近道を示してしまったのだから。

よって、ストリッカーがプレーオフの最終戦に勝てなかったからといって、米PGA関係者がほっと胸をなで下ろしたかといえば、決してそうではない。タイガー・ウッズ(米国)、アダム・スコット(オーストラリア)、フィル・ミケルソン(米国)ら多くの選手が、ストリッカーの日程の組み方に感心してしまったからだ。「そうか、この手があったか」と。

そもそもウッズ、スコット、ミケルソンは試合を選ぶタイプ。彼らにしてみれば量より質を重視しているということになるが、それでも今年、ウッズとスコットは16試合、ミケルソンは21試合に出場している。ストリッカーはさらに少ない試合数で頂点に立つ一歩手前までいったのだから、彼らは一様に「参考になった」と含みのある言い方をしているのである。

有力選手、出場試合数を見直しか

今、ウッズやミケルソンが来季の出場試合数を見直そうと考えているのは間違いない。さらには、ストリッカーと同じようにプレーオフの欠場さえ意識しているかもしれない。特に来季の日程なら、その可能性が高い。

例年だとプレーオフは2試合行われた後、1週休みがあって、そのあとにさらに2試合が開催される。しかし、来年の秋はライダーカップがある関係で、4週連続で試合が行われることになっている。このことはもちろん選手には歓迎されていないが、多くは何かができるわけでもなく、出場するしか選択肢はないのだろう。

ただ、ウッズやスコット、ミケルソンといった実力のある選手なら、1試合ぐらい休んでも十分に巻き返しができる――そう考えているとしても不思議ではない。

さて、そうなってくると気が気でないのが米PGAだろう。図らずもストリッカーが示した抜け道を、どう防ぐか。思わぬ難題を抱え込んでしまった。

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