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大飛球捕らえる美しい守備 西武・秋山翔吾(上)

バッティングにおけるミートのうまさとパワー、走塁スピード、守備力、そして強肩――この5つの能力を備えた選手を、大リーグでは「5ツールプレーヤー」といい、高く評価する。

1980年代から90年代の初めにかけて日本一に8度輝いた西武の黄金期を支えたセンターの秋山幸二(現ソフトバンク監督)はこうした能力を兼ね備え、当時は挑戦することさえ難しかったメジャーリーガーに野手として「最も近い男」と呼ばれた。

万能選手への可能性秘める

今の西武も「5ツールプレーヤー」になる可能性を秘めた選手がセンターを守っている。これも不思議な縁なのだろう。同じ姓を持つ秋山翔吾(25)だ。八戸大(現・八戸学院大)を出てプロ3年目。打って、守って、走って――。

昨年秋のキューバとの親善試合には侍ジャパンの一員として出場。今春開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の最終メンバーからは漏れたが、守備範囲の広さと強肩は日本球界トップクラスと誰もが認める存在になっている。

「美しい守備」という表現がピッタリだ。183センチの大きな体が俊敏に外野フィールドを疾駆する。落下点までまさに一直線。まったく無駄のない走りでボールをキャッチする。

打球の行方察知するレーダー

昨年9月の楽天戦では牧田の放った左中間への本塁打性の飛球をフェンス際でジャンプ一番スーパーキャッチ。実況のアナウンサーも思わずうなったビッグプレーだった。

「自分のエリアに来たのは全部とってあげたいし、投手にあそこに打たせれば大丈夫と思ってもらいたい」と秋山はいう。

打者のバットにボールが当たった瞬間に走り出す。後方へ飛んだ大飛球のときには、ボールから目を離すことも。「そうしないとスピードが出ないし、走る距離も伸びない」

打球から視線を切りながらも、まるでそこに道があるかのように落下点まで駆ける。どんな"レーダー"を使って、ボールの行方を察知しているのか。「打球が上がった角度と、打者が振った感じと……あとは日々の練習ですかね」

後方への飛球、決して逃さず

前方への飛球は、少し苦手という感じが本人にはある。だから、定位置よりもやや前目に守備位置をとる。それでも後方に飛んだ打球は逃さない。前の位置で守るのは、後方への打球の自信の表れなのだろう。

「外野の飛球を常に10の力で全力で追っていくのはけっこう難しい。でも、秋山はそれができる。そして捕球してから投げるまでのスピードとコントロール。プロの世界ではそうしたものも大事だが、それも優れている」。西武の守備走塁コーチである河田雄祐はそう評する。

「ほかの球場ではまだまだ、というところもあるけれど、西武ドームは一番守り慣れている球場なので。フェンスとの距離感や打球の感覚は何となく頭の中で分かります」と秋山。

西武ドームのセンターフィールドは"自分の庭"。鋭いライナーも大飛球もまさしく見せ場。右中間、左中間へと打球を追って駆け回る。

=敬称略

〔日本経済新聞夕刊9月30日掲載〕

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