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大物16歳・コがプロ宣言 パット巧者に明るい未来

ゴルフライター 川野美佳

女子ゴルフの世界ナンバーワンアマチュア、リディア・コ(ニュージーランド)がついにプロ転向を決意したようだ。

今季メジャー最終戦のエビアン選手権(9月12~15日)では宮里美香が最終ラウンドを単独トップで迎えたものの、思うようなゴルフができずにスサン・ペテルセン(ノルウェー)に優勝を譲り、悔し涙を流した。

宮里美、最終日に優勝争いから脱落

ボギーが先行する苦しい滑り出し。我慢を強いられるのは百も承知のメジャー最終日だったが、スコアを伸ばしたかった7番パー5で4打目のアプローチがグリーン手前の傾斜を上り切らず、足元に転がり落ちる不運に見舞われた。それを何度も繰り返す悪夢の展開で「8」をたたいて優勝争いから脱落すると、前日まで積み重ねた貯金をすべて吐き出して通算イーブンパーの19位タイに甘んじた。

そんな中、最後までペテルセンを苦しめ優勝を争ったのが同組で回った16歳のコだった。最終的には勝ったペテルセンに2打及ばなかったが、並み居る強豪を抑え単独2位に食い込む勝負強さを見せた。

否定から一転、コ「来年にはプロに」

「メジャーの舞台で優勝に近づけたのだから、とても満足です。単独2位はメジャーでのベストフィニッシュ。良いプレーができてよかった」とアラレちゃんメガネの奥の瞳を輝かせたコは、続くセリフで記者たちを驚かせた。

「次に皆さんにお会いするときは、プロになっているかもしれませんよ! 来年にはきっとね」。これまでコはかたくなにプロ入りの噂を否定してきた。憧れのミシェル・ウィー(米国)にならい「スタンフォード大学に入ってゴルフ部で活躍するのが夢」と語り続けてきたのだ。

また8月下旬に行われた米女子ツアーのカナダ女子オープンでアマチュア初の大会連覇を達成したときには、「賞金? もらえなくても全然構いません(笑)。プロになったら賞金がすべて。お金のために戦わなければならなくなります。でも今は純粋に競技を楽しむことができる。プロになるかどうかは私が決めることではなく、両親や周りの人が一番良い方法とタイミングを考えてくれるはず」と模範解答で記者の質問をけむに巻いた。

数々の最年少優勝記録を塗り替え

改めてコの経歴を振り返ると、いかに彼女が非凡な才能の持ち主であるかがよくわかる。14歳で豪州女子ツアーのニューサウスウェールズ・オープンに勝ち、プロ大会史上の世界最年少優勝記録を更新。15歳で欧米両ツアーの最年少V記録を塗り替え、これまでにプロの試合で計4勝を挙げてきた。

しかもここ2シーズンで米女子ツアーに15試合出場し、全てで予選を突破。今季は優勝、2位、3位、4位(タイ)がそれぞれ1回ずつあるほか、ベスト10に6回も食い込んでいる。

連覇したカナダ女子オープンの優勝賞金は30万ドル(約3000万円)。本人は「気にしない」というが、もしプロに転向していれば昨年と今年のその試合だけでおよそ6000万円を手にしていたことになる。ちなみに2013年は出場11試合の獲得賞金が93万ドル(約9200万円)を超え、賞金ランクは6位に相当するのだから驚きである。

世界ランク4位、アマでやり残しなし

ロレックスランキング(女子世界ランキング)は現在4位。全米女子アマのタイトルもすでに獲得済みとあれば、もはやアマとしてやり残したことは皆無といっていいだろう。「来年はプロになっているかもしれません」と控えめながらプロ宣言を行ったのは、当然の成りゆきといえる。

しかし、アマとしてこれだけの戦績を収めたからといって、プロになってすぐに結果を出せるかというとそうではない。ウィーの例を出すまでもなく、注目され、期待される者にこそ、ゴルフの神様は試練を用意する。失うものがないチャレンジャーの立場から、守るべきものを両手いっぱいに抱えたプロになれば、プレッシャーのかかり方もまったく違う。プロになった途端、一気に色あせてしまったプレーヤーは枚挙にいとまがない。

何があってもマイペース、大物の証し

コにとって最大の強みはパッティングのうまさ。グリーンの読みとストロークのタッチは、少し前に騒がれたウィーやレキシー・トンプソン(米国)をしのぐ力を持っている。パットが入れば大崩れは少なく、好不調の波も当然小さくなる。やや気になるのはプレーが遅いことだが、何があっても周囲を気にせずマイペースを貫くのは大物の証しなのかもしれない。

マイペースは試合選びにも表れ、すでに出場権を獲得しているシーズン最終戦のCMEグループ・タイトルホルダーズに出るか出ないかは「今のところクエスチョンマーク」。「トーナメントの直前までテストがあるので練習する時間がほとんどありません。去年出られなかったので今年は出たいけれど、時期的には少し難しいかも」と打ち明けている。

晴れてプロになったあかつきにも、アマ時代と変わらぬ伸び伸びプレーでマイペースを貫くことができれば、コの前に広がる未来は明るい。

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