2018年7月18日(水)
トップ > 特集 > コラム > 記事

TPP前夜 変わる「聖域」
写真は語る

(2/2ページ)
2013/9/17 3:30
保存
共有
印刷
その他

「甘味資源作物」 関税率328%(砂糖) 島の黒糖 輸出に活路

新たに植えるサトウキビの株をつくるため畑を刈る農家(沖縄県・伊江島)

新たに植えるサトウキビの株をつくるため畑を刈る農家(沖縄県・伊江島)

できあがった加工黒糖をチェックする北部製糖の従業員。アジアで飲食店を展開する「えんグループ」がこの一部を香港に向け輸出している

できあがった加工黒糖をチェックする北部製糖の従業員。アジアで飲食店を展開する「えんグループ」がこの一部を香港に向け輸出している

 砂糖の原料となるサトウキビは、主に日本の南端の沖縄県や鹿児島県の南西諸島で栽培されている。台風が常襲するこのエリアでは作物転換が難しく、サトウキビ栽培と製糖業が地元経済を支える存在となっている。白砂糖は輸入品との品質の違いがほとんどなく、関税撤廃となれば国産がなくなる可能性が指摘されている。黒糖はミネラル分が多いなど外国産と比べて差別化が可能なため、沖縄県の北部製糖(浦添市)では輸出用加工黒糖を生産している。健康志向の強い台湾や香港の人々に人気で、食の安心や安全への関心の高まりからアジアを中心に海外での引き合いも強まっている。沖縄県の砂糖輸出額は2010年から増加傾向にあり、昨年は約2900万円と過去最高を記録した。

粗糖が山となって保管されている倉庫。他の原料の糖蜜などとあわさり、加工黒糖はできあがる(沖縄県今帰仁村の北部製糖)

粗糖が山となって保管されている倉庫。他の原料の糖蜜などとあわさり、加工黒糖はできあがる(沖縄県今帰仁村の北部製糖)

「コメ」 関税率778% 直播きOK 労力省く鉄粉米

鉄粉をコーティングした種もみが磁石に吸い寄せられた。農機メーカーのクボタは今まで、全国約5400戸の農家にこの種もみを普及させた

鉄粉をコーティングした種もみが磁石に吸い寄せられた。農機メーカーのクボタは今まで、全国約5400戸の農家にこの種もみを普及させた

(右から時計回りに)鉄粉をコーティングする前の種もみ、コーティング直後、日がたつにつれてさびていき、最終的には赤茶けた色になる(上)

(右から時計回りに)鉄粉をコーティングする前の種もみ、コーティング直後、日がたつにつれてさびていき、最終的には赤茶けた色になる(上)

 日本が生産技術を最も蓄えてきた穀物で、食料自給率や国土保全の面から重視されてきた。いままで農家は手間のかかる苗づくりに時間と労力が費やされてきた傾向があった。農業・食品産業技術総合研究機構は、その手間を軽減するために鉄粉でコーティングした新タイプの直播(じかま)き用種もみを開発した。自重でしっかりと田んぼの中に植わり、鳥などに食べられる被害がなくなったと評判だ。農機メーカーのクボタが実用化し、全国で多くの農家が実際に使い始めている。

携帯端末で日々の農作業記録を蓄積できる「アグリノート」。勘に頼っていた部分をデータ化し、広大な田んぼの管理を効率的に行う(新潟県新発田市)

携帯端末で日々の農作業記録を蓄積できる「アグリノート」。勘に頼っていた部分をデータ化し、広大な田んぼの管理を効率的に行う(新潟県新発田市)

タブレット用のソフト「アグリノート」は地図から作業日誌のメニューに入ることができるため、いつどこで何の作業をしたかが一目でわかる

タブレット用のソフト「アグリノート」は地図から作業日誌のメニューに入ることができるため、いつどこで何の作業をしたかが一目でわかる

 新潟県新発田市の大規模稲作農家、下條荘市さんは田んぼの一部で鉄コーティング米を使っている。「いずれは作付面積の半分にまで広げたい。タブレットを使って広大な田んぼの管理も行っている」と話す。外国産米との価格競争をにらみ、農地が大規模化していく中で新たな技術が農家の生産性向上を手助けしている。

(写真部 瀬口蔵弘、寺沢将幸)

  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ特集トップ


日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報