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スペシャル IOC、競技を翻弄 分配金巡り各団体が規則変更

投票後に予定されていた野球・ソフトボールとスカッシュの記者会見はキャンセルされた。両団体のやるせない思いは察するにあまりある。国際オリンピック委員会(IOC)の意向に添うように、10年近い時間をかけてルールも組織も変えてきたからだ。まさにはしごを外された思いだろう。

多少なりとも自責の念がIOC委員たちにもあったのではないか。レスリングが1回目の投票で勝負を決めたが、過半数をわずかに1上回る49という獲得票数は決して多くない。1度はレスリングを除外した2月の理事会決定に首をかしげつつも、野球・ソフトとスカッシュへの同情票もかなり集まったと見ることもできる。

IOCのカラーロ・プログラム委員長は「このやり方を続けるか、10日に決まる新会長の下で違うやり方を取るか。いずれにしても、常により良いシステムを模索しないといけない」と言うにとどめた。

そもそも、各競技がこれほどまでに「オリンピックファミリー」に入りたがるのはなぜか。

IOCは収入の90%超を各国のオリンピック委員会や各競技の国際競技連盟(IF)、五輪の大会組織委員会に分配している。ロンドン五輪からのIFへの分配金は5億1960万ドル(約500億円)。1大会前の北京五輪の2億9600万ドルから75%の大幅増となった。

IOCは観客動員数、メディアでの露出など複数の項目に基づいて全競技をランク付けしている。これに従って分配金も傾斜配分する。ロイター通信によるとロンドン五輪ではA~Dの4段階にランク分けされ、最高の国際陸上連盟が得た分配金は4700万ドル。以下、Bランクの競技が2200万ドル、Cが1600万ドル、Dは1400万ドルだった。

リオデジャネイロ五輪に向けて新たに公表されたランクは、1つ増えてA~Eの5段階になった。最高のAランクは陸上に加えて体操と水泳がBから昇格。他にも柔道やボクシング、卓球などがランクが上がった一方で、逆に近代五種やホッケーのように降格された競技もある。

その結果、今回の3競技のようにルールを変えてまでIOCへの忠誠を競い合うことになる。生き残ったレスリングはIOCという外圧のおかげで競技の魅力が増すというのならいいが、国際野球連盟(IBAF)が五輪入りのために打ち出した7イニング制は本当に競技のためになるのだろうか、疑わしい例もある。IOCとすれば、スポンサーやテレビ局の期待に応え続けるには「変身」し続けることが必要なのだろうが、マイナー競技を翻弄する一方通行の力関係は時に傲慢とも映る。

(山口大介)

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