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猫の目株価の転換点探る ローソク足分析のキホン

 米金融政策や新興国景気の先行きを巡る不透明感から株式相場の方向性が見えにくくなっている。銘柄を選ぶ際には業績や為替などが重要な判断材料になるが、株価の短期的な流れを読むうえではむしろ資金需給がカギを握る。需給の良しあしから転換点を読み解こうとするのがローソク足分析だ。ローソク足の仕組みや活用方法を解説する。

ローソク足は相場のグラフを表す記号で、株式に限らず為替や金などほとんどの市況情報に使われる。白い四角と上にのびた縦線がろうそくの形に似ているため、この名前が付いた。「その形から株価の勢いや需給などが読み取れ、たとえば一本調子で値上がりした株の売却のタイミング判断などに有効なサイン」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)だ。

図Aのように、取引開始時に付ける始値から値上がりして終えれば、白い長方形を描く。長方形を実体、白色を陽線と呼ぶ。実体が大きいほど買いの勢いが強いことを表す。始値から下落して取引を終えれば実体を黒色で示し、陰線と呼ぶ。

流れが一目で

その日の高値と実体の差は上に棒線を伸ばして表し、上ひげと呼ぶ。安値と実体の差をつなぐ棒線が下ひげで、上下のひげを含む全体の長さが1日の変動幅だ。ローソク足の利点は「終値が前日比100円高」の場合、上昇基調の100円高なのか、下落基調の100円高か区別できる点だ。

前日終値を1000円。図Bのように取引開始時に900円で始まり、1100円で終えた場合はトレンドは上げ潮だ。だが1200円で寄りついて1100円に下がれば100円高といっても株価の勢いは弱い。前日比較だけでは読み取れない流れもローソク足なら一目で分かる。

ひげの長さも重要だ。上ひげが長いと高値で売りが膨らみ、下ひげが伸びていれば押し目買いが多かったことを表す。両方とも長ければ売り買いが交錯し、強弱感が拮抗した証拠だ。買い手、売り手とも動きが鈍く、膠着感が強いとひげや実体は短くなり、エネルギーが小さいことを示す。

図Cは三井物産株のローソク足チャート。5月22日は一時1600円台まで上昇したが、ローソク足は上ひげが長く伸びた陰線となった。株価が天井を打つ局面で現れやすい形だ。その後は長い陰線を連続して引いた。売り方優勢で、下落トレンドが強まった。

一方、6月21日にはひげがほとんどない陽線がみられた。その日1日がほぼ一本調子で上がったから、買い手の勢いが強かったわけだ。25日には始値と終値が同じである十字型の線も引いた。売り優勢だった需給が売り買い拮抗に変わったといえる。相場の底入れ局面ではこうした形になることが多く、果たして株価は戻り歩調に入った。

組み合わせて活用

ローソク足はいくつかを組み合わせてサインを読み取る方法もある。例えば「三空」。その日の安値が、前日の高値を上回る水準で取引され、ローソク足の間に隙間(窓)が3回続けてできることを指す。買いの勢いが非常に強い半面、反動安への警戒サインでもある。安値を切り下げて3回窓ができれば、逆の意味のシグナルになる。

陰線が切り下がる形で3本連なる「黒三兵(三羽ガラス)」や、前日の長い実体の中に違う色の線を引いた実体がすっぽり収まる「はらみ線」といった組み合わせもある。いずれも、株価反転のサインだ。

株価の方向性を読み取ることができるツールとして活用する投資家は多いが、ローソク足を額面通りに解釈するのは禁物だ。ローソク足が示すサイン通りに株価が動かないケースも非常に多いためだ。

グローバル化や売買高速化など市場環境が目まぐるしく変化するなか、日本株を左右する要因が増えている。教科書通りに、あるいはローソク足にともったシグナル通りに株価が動くとは限らない。チャート分析に詳しいインベストラストの福永博之代表取締役は「1日の売買高など他の指標も組み合わせて分析するのが好ましい」と話す。ローソク足は株価の先読みや売買機会を探るヒントの一つとして活用すればよい。(酒井隆介)

一目均衡表・騰落レシオ… 様々なテクニカル分析


 株式投資において、ローソク足を使ったような売買判断をテクニカル分析と呼ぶことがある。テクニカル分析にはチャート上に「雲」に似た形の線を引く「一目均衡表」や、相場のリズムをもとに描く「サイコロジカルライン」、物色の広がり方をみる「騰落レシオ」などさまざまな方法がある。過去の値動きを基に作る移動平均も代表的なテクニカル分析で、短期の移動平均が長期の移動平均を下から上に突き抜けた場合は「ゴールデンクロス」と呼び、上昇局面に入ったことを示す。
 テクニカル分析に対して、景気や業績などをベースにするのがファンダメンタルズ分析。どれも一長一短があり、それぞれの分析手法の特性を生かすことが大切だ。

[日本経済新聞朝刊2013年8月28日付]

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