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論理的にグリーンを読めば5打は縮まる(2)

 6月に発売された「ロジカルゴルフ 実戦ノート」(日経プレミアシリーズ)が大好評の尾林弘太郎プロ。第1弾の前作「ロジカルゴルフ スコアアップの方程式」も大ヒットしたが、いずれも尾林プロが延べ2万人をレッスンしてきた「本当に上達する事柄」を論理的にまとめた力作である。「書斎のゴルフ」では特別にパッティングについて、論理的思考に基づく技術で腕前を上げる方法を指南してもらった。今回はその2回目。(日本経済新聞出版社「書斎のゴルフ Vol19」から)

尾林 練習法のその2は、ショートパットの狙い方です。1~1.5メートルの短い距離で曲がるラインのとき、どう狙うのかということです。

――1~1.5メートルのパットを入れられるか外すかは、スコアにものすごく影響しますよね。それだけに絶対に外したくないです。でも、そう思うと外してしまう。パットがうまい人はこの距離を必ず沈めてきますよね。

尾林 本当にそうですね。この短い距離を確実に沈められれば、プレーのリズムまでよくなりますから、実際はその1打よりももっとスコアがよくなりますね。では、短いパットの狙い方です。例えばこのフックする傾斜にボールを置いてみましょう。距離は1メートルちょっと。さて、どう打ちますか?

狙い、4分割してから決める

――そうですね、曲がりを考えて右カップの縁を狙います。でもこのケースで個人的によく起きるのは、そのまま右カップの縁をすり抜けてしまうというミスです。しっかり打ちたいと、ちょっと強く打ってしまうのですね。それで、そんなに強く打つならカップの真ん中を狙えばよかったと後悔します。

カップのセンターと右縁の中間
カップの縁
カップのやや外
さらに外側

尾林 なるほど。曲がる前に入れてしまえというプロもいますからね。でもこれは下りのパットではできませんし、カップの縁に蹴られることも多くなります。基本は、カップの先30センチ、OKの距離まで打ちます。この距離を打つとして、狙いを決めます。このときにカップか、カップの縁か、カップを外すかといったアバウトな決め方はしないということが重要です。もっと細かく、しっかりと4分割してから決めます。

――というと。

尾林 このフックラインの1メートルちょっとの距離なら、カップのセンターと右縁の中間、カップの縁、カップのやや外、さらに外の4つに目標を取って考えます。ボールをその目標に持っていくと、ボールの幅があるので、転がり具合がイメージできて、入るかどうかがわかりやすくなります。

――ボールの半分ずつの幅で、4通りの狙いを考えるというわけですね。

アドレスに入ったら何も考えず

尾林 その通りです。これぐらい細かく分けて狙いを定めて、カップから30センチの距離を打つ。素振りでしっかりとその距離だけを打てるようにメモリーを作って、アドレスに入ったら、何も考えずに、素振りと同じことを行います。

――その「何も考えずに」が大切ですね。構えてから「狙いはそれでいいのか」「もう少し右に打たないとまずいか」と、いろいろ思ってしまうことって多いですね。

尾林 それでは入るパットまで入らなくなってしまうでしょう。構えたらもう何も考えない。素振りのストロークをするだけ。それに集中します。そのことはパットだけでなく、すべてのショットにいえる大事なことです。

――そういえば、パットのとき、ボールに描かれているラインを狙いに合わせるのですが、アドレスしているとき、そのラインが目標に向いていないような気がするときがあります。そんなときにあれこれ考えてしまうんです。

矢印マーク、狙いに向ける

尾林 それをなくすためには、ボールの矢印マークをしっかりと狙いに向ける必要があります。矢印がしっかりとボールの真上に来るように置きます。これが手前側や向こう側に回っているだけで、真っ直ぐに見えないことがあるからです。ボールの矢印をしっかりと置くところから、パットに集中することです。

――確かにボールの真上に矢印が来ていないとき、傾いて見えるときがありますね。

尾林 ボールの矢印をしっかり置くというのは練習のときから行うことです。この小さなことでさえ、技術と集中力が必要です。おろそかにできないことです。侮ってはいけない。そしてしっかりと矢印をボールの真上に来るようにして、それがアドレスではどう見えるものなのかも、しっかりと訓練しておかないといけない。構えたときにはボールを真上から見ることができず錯覚も起こりやすいので、普段の練習からどう見えるのかを確認しておくことです。特に傾斜のあるグリーンにボールを置いたときは傾いて見えるものです。

――なるほど。練習のときから本番のパットと同じようにすることなのですね。

尾林 その通りですね。素振りをして、アドレスに入るときのルーティンも同じようにやる。パターのフェースを目標に合わせてから、グリップとスタンスを決める。私は小刻みに足踏みしながら体とボールの距離を合わせますが、大切なのは、最初にフェースを合わせることです。これもショットと同じですね。練習から習慣にしておけば、コースでもスムーズに行うことができます。

――心しておきます。

先に距離感、後で曲がり幅

ラインを読むときは距離感を先に考え、その後で曲がり幅を読む

尾林 練習法のその3です。これはラインの読み方です。先ほどのショートパットでもヒントが出ていたのですが、ラインは距離感を最初に測ってから、どれぐらい曲がるかを決めるということです。つまり、縦を読んでから、横を読む。縦が先で、横は後。その順番を間違えないようにしてほしいのです。

――となると、先ほどのショートパットでは、最初に30センチオーバーの距離感をしっかりと決めてから、カップのどこに打つかを決めたわけで、その順番が大切だということですね。

尾林 最初に狙いを決めて、それに合わせて強さを決めるのではないということです。「狙いをカップの縁と決めて、それで打ったら、強くてその縁を通り抜けた」といった話をされていましたが、まさにそれは順番が逆です。最初に強さを決めて、それから狙いを決める。この順番で行えば、そうしたミスは防げます。

――確かにその通りです。自分のボールをマークしてピックアップするとき、どうしてもカップを見て、どれぐらい切れるのかを最初に見極めようとしてしまいます。それからどれぐらい下っているのか、上っているのかを見てしまうのです。

尾林 確かにそうなりやすいですよね。しかし、ボールをピックアップしたとき、狙いをはっきりと定めてはいけません。スライスかフックかぐらいの大ざっぱな認識に止めておいて、まずは縦、つまりどれぐらい下っているのか、どれぐらい上っているのかをしっかりと見ます。ボールとカップの間に立って傾斜を見るわけです。

それもできればボールとカップを底辺とした二等辺三角形の頂点に立って見ると、どれぐらいの傾斜かがよくわかると思います。仮にカップの上のほう、5メートルぐらいのところにボールを置きましょう。この縦を横から見てください。

――下り傾斜ですね。

フックラインとわかり、カップの横30センチ近辺に目印となるティーを刺す
ティーとボールを結んだ線を引き、カップから1メートル手前のティーとを結ぶ
狙う目標が定まったらアドレスに入る

尾林 それを見たら、どこまで打つかを決めます。カップの手前1メートルとなりますよね。そこが目印となるように仮にティーを刺しましょう。次にカップの後方に回って横の傾斜を見ます。すると、フックラインであることがわかり、カップの横30センチに打てばいいことになります。

ここにもティーを刺しますね。こうして、このカップの横に刺したティーとボールとを結んだ線を引き、カップから1メートル手前のティーとを結びます。ここが狙う目標になるわけです。縦を見て、それから横を見た結論です。

――よくわかりました。この順番を知らずに、先に横を見てカップの右30センチと狙いをつけ、それから縦を見て下りとわかっても、最初に見た右30センチに打ってしまいやすい。結果、かなりカップをオーバーするというわけですね。先ほどショートパットで話した「カップの縁を狙って、強すぎて、縁をすり抜けた」というミスはまさに横を見てから縦を見たミスです。

尾林 本当にそうなりやすいので注意が必要です。どう切れるかに関心が集まってしまうのです。それよりも上りか下りかをまず見る。縦を見て、次に横。それが鉄則です。

――練習のときから、縦を先、横を後の癖をつけることにします。

(次回掲載は8月1日 文:本條強 協力:栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部)

 おばやし・こうたろう レッスンプロ。1962年東京都生まれ。16歳からゴルフを始め、22歳でレッスン活動をスタート。ジャンボ尾崎や中島常幸を育てた後藤修氏に師事し、延べ2万人を超えるゴルファーにレッスンしてきた。トップアマの和田貴之氏の指導をするほか、これまでに多くのアマチュアをシングル入りさせている。著書に「ロジカルゴルフ」がある。

書斎のゴルフ VOL.19―読めば読むほど上手くなる教養ゴルフ誌 (日経ムック)

著者:
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,280円(税込み)

ロジカルゴルフ 実戦ノート(日経プレミア)

著者:尾林 弘太郎
出版:日本経済新聞出版社
価格:893円(税込み)

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